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金(ゴールド)は高すぎて買えないが、安全資産は欲しい…代替先は「不動産」と「パイプライン」がおすすめ! 土地には希少性があり、安定収益も生まれる

2025年10月24日公開
ポール・サイ
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 2025年10月22日(水)、米国・シアトルからザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている元フィデリティ投信トップアナリストのポール・サイさんが、ストックボイス社が手掛ける経済・マーケット番組「WORLD MARKETZ」(TOKYO MX 月~金 22時~23時)に生出演した

ポール・サイさんプロフィール

 今回の放送では、安全資産として上昇を続け、最近は乱高下している「金」の代替資産はあるのかという話題に。ポールさんが注目するカテゴリとその理由、具体的な銘柄名も教えてくれたので、さっそくチェックしていこう。

安全資産として金が上がり続けた後、乱高下。金の代替資産として「不動産」と「パイプライン」がいい

 番組は、米政府閉鎖が長期化し、アメリカ経済や金融市場にどんな影響があるのか、アシスタントの新宮志保さんがシアトル在住のポールさんに質問するところから始まった。

 「アメリカは政府閉鎖を何度も経験しており、長期的な影響はほとんどなかった」とポールさん。短期では、給与支払いの遅延などにより、消費マインドが冷えたり、失業率が一時的に上昇したりするけれど、米10年債利回りがそこまで低下していないことを見ても、市場はそこまで大きく反応しておらず、影響も一時的なものにとどまるようだ。

 すると、番組MCの渡部一実さんが、ポールさんが現地時間の朝4時や5時から、アロハシャツを着て出演してくれたのに、渡部さん自身は寒いという理由でアロハシャツを着ていないことに恐縮しながら、「次回からは自由な服装で出ていただいて結構でございます」と話しかけると、新宮さんが大笑い。

(出所:WORLD MARKETZ)

 これにポールさんは「アロハシャツはいっぱい持っていますので、ローテーションします」と返して、さらなる笑いを誘っていた。

 そして、番組は金(ゴールド)の話題に。

 金は史上最高値をずっと爆走して、NY金先物が4400ドル付近に到達してから、一気に下がって乱高下となっている状況をポールさんがどう見ているか、渡部さんが聞いた。

NY金先物 日足 (出所:TradingView)

 ポールさんがここで「今日は金の話になるだろうと思って、黄色のアロハシャツを着てきた」ことを明かしながら、金はお金の元祖で、人間の長い歴史の中で希少性と心理的な影響の組み合わせで価値が生まれているとコメント。

 金が上昇している背景には、地政学的にいろいろな心配があることや、米政府機関閉鎖、米政府の負債の大きさ、インフレなどがあり、安全資産への需要が高まったようだ。

 渡部さんは続けて「金は資金の逃げ先だけれど、今から投資するのはハードルが高い。金の代替となるものをなにかご紹介いただければ」とポールさんに促した。

 金は他の資産との相関性がそこまで高くないため、分散投資にとってはいい資産だけれど、今は買うタイミングではないとポールさん。金以外の候補として挙げられるのは「不動産」と「パイプライン」だという。

「不動産」と「パイプライン」は土地に希少性があり、安定的な収益が生まれる

 まず、「不動産」から見ていくと、土地は希少性がある点が金と同じで、収益も生まれるため、保管コストがかかる金よりよい面があるそう。

 一方で、不動産には借金の問題があり、不動産会社の株価はそのことで上下するものの、個人の場合は、不動産価格が下がったところで買ったり、長期の固定金利で買うことで借金のリスクもかなり減らせるようで、ポールさんも実践しているとのこと。

 おすすめできる不動産の銘柄は、借地権リートのW.P. Carey, Inc.(ティッカー:WPC)とNational Retail Properties(ティッカー:NNN)だとポールさん。

 配当利回りが高く、トリプルネット・リースといって、固定資産税・保険料・修繕費などの運営コスト全てをテナントが負担する分、実質的に土地代だけで買える仕組みも存在するため、投資妙味があるようだ。両銘柄について詳しくは以下の記事でご覧いただきたい。
【※関連記事はこちら!】
不動産はいつ投機資産になり、いつ安全資産になるのか? 金(ゴールド)を超える「生産性のある希少資産」──不動産・農地・森林の特徴とは?

 ポールさんが注目する、もう1つの金の代替資産は「パイプライン」だ。

 パイプラインは、日本であまり存在せず、アメリカでは大きな存在のカテゴリだそう。環境規制や住民の問題で新しいものを作るのが難しい分、パイプラインの土地は希少性が高いほか、アメリカは世界2番目の産油国で埋蔵量もかなり大きく、パイプラインを使わなくなることがないため、代替投資先として向いているそう。

 パイプラインの会社は今まで、MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ、エネルギー事業を主な収益源とする共同投資事業形態)の仕組みが多く、税務上の手続きなどが発生するため、投資家は買いづらかったとのこと。

 ただ、Plains All American Pipeline(ティッカー:PAGP)とキンダー・モーガン(ティッカー:KMI)などが、普通の会社に仕組みを変えたことで買いやすくなっており、注目してもいいようだ。

 PAGPは原油安もあり、結構下落しているけれど、パーミアン盆地でパイプライン、湾岸でターミナル運営などをしており、配当利回りは8%ほどの業界大手だという。

PAGP 週足 (出所:TradingView)

 もう1つのおすすめ、KMIも業界大手。天然ガスや原油だけでなく、精製品や他のガス、貯蔵のパイプラインも運営しており、収益は長期契約や手数料ベースで構成されて安定的なようだ。

KMI 週足 (出所:TradingView)

 ここまで話を聞いていた渡部さんが「不動産やパイプラインは何か、エネルギーや大地に根差しているような感じですね」と共通点を見出すと、ポールさんは土地の希少性について語り始めた。

 例えば、アメリカの牛肉業の人は、和牛などのブランド牛でなければ、1頭当たり1万円か2万円しか儲からないけれど、農場の土地の値段が上がるから儲かっているそう。

 また、アメリカのビリオネアも土地や農地、森を保有していて、Weyerhaeuser(ティッカー:WY)という林業の会社を買ってもいいし、トランプ大統領が再選し民間刑務所を進めていく関係で、刑務所のリートが上昇したそう。

 日本で買えるリートは選択肢が少なく、ETFやいろんな不動産がミックスされたリートファンドなどしかないけれど、アメリカに視野を広げるといろいろな分野のリートがあり、配当投資家にとってはおすすめとのことだった。

 ここまで、10月22日(水)放送の「WORLD MARKETZ」に出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオ(直近2年半で140%上昇)を見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※ポール・サイ氏初の著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』が2025年11月に発売


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