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「一戸建て vs 集合住宅」「大都市 vs 地方都市」…複数の軸でアメリカと日本の不動産投資を比較! グロース株に近いのは? 高配当株に近いのは?

2025年10月1日公開
ポール・サイ
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 今回は「アメリカでの不動産投資」と「日本での不動産投資」をいくつかの観点から比較して考えてみたいと思います。そこには株式投資にたとえて考えることのできる特徴もあるのです。

アメリカの不動産投資:「一戸建て」と「集合住宅」を比較

 アメリカで不動産投資を考える際には、まず「一戸建て」か「集合住宅」かを区別する必要があります。

●集合住宅…購入者の大半が投資家であり、賃料収入と入居率による利回りで価格が決まる純粋な投資市場。

●一戸建て…投資家だけでなく「消費者的買い手」も多く、二重市場の性格を持つ。

 一戸建てでは、賃料は入居者の支払能力で決まりますが、物件価格は「良い学区に住みたい」「子育て環境を重視したい」といった生活者の需要でも押し上げられます。

 結果として、利回りは3%前後と低いにもかかわらず、価格は高止まりする傾向があります。

 これはサンフランシスコやシリコンバレー、シアトル郊外のベルビュー、ロサンゼルスなどで典型的に見られる現象です。

 この構造は、株の世界でいえばグロース株に近いことになりますが、それよりもむしろ、バーキンバッグや金(ゴールド)、ビットコインのような「価値保存資産」としての性格が強いと言えるでしょう。

[筆者のアメリカでの不動産投資について取り上げた参考記事]
投資心理学:投資家が克服すべき「アンカリング効果」とは? 市場に提示された現在の価格や値動きではなく、資産が持つ本質的価値を冷静に見極めよう

アメリカの不動産投資:「大都市」と「地方都市」を比較

 アメリカの不動産投資でも大都市と地方都市では次の通り、その性格が異なります。

●大都市(ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シリコンバレー、シアトルなど)…長期的な値上がり益を狙う

 利回りは3%以下のケースも多く、収益性よりも長期的な値上がり益を狙うのが投資の動機。株の世界でいえばグロース株的。

●地方都市(中西部や南部の二級都市)…キャッシュフロー重視

 物件価格は安く、利回りは8~10%水準になるケースがある。キャッシュフロー重視の「高配当株」的投資。ただし、人口減少や産業衰退に伴う空室リスクは大きい。

日本の不動産投資:「東京」と「地方都市」を比較

 日本では「人口減少」というマクロの逆風を避けて通れません。ただし、次の通り、都市によって大きな違いがあります。

●東京…大都市型「グロース市場」

 東京は人口集中や企業活動の集積、再開発によって、低利回りでも物件価格が上昇しやすい市場です。ここでは、米国のロサンゼルスやサンフランシスコに似た構造が見られます。

 投資家だけでなく「消費者的買い手」も市場に多く、資産を「価値保存」する場としての性格が強いです。

●地方都市…高利回りの「バリュー市場」

 札幌や福岡、仙台といった地方の中核都市は、物件価格が安いため、グロス利回りは5~8%程度が一般的です。これは株の世界でいう「高配当株」に近く、安定的なキャッシュフローが魅力になる不動産投資です。

 ただし、建物の老朽化による家賃下落や人口減少に伴う空室率上昇のリスクは避けられません。

 とはいえ、札幌や福岡は近年、家賃下落や空室増加が限定的で、安定利回りを維持できて、良好な投資成果を上げやすい状況でした。リスクが顕在化しなければ、バリュー投資として成功する可能性が十分にある市場です。

不動産投資を株式投資にたとえて考えると…

 ここまで述べてきたアメリカと日本の不動産投資の特徴を整理し、株式投資にたとえると、次のようにまとめられるでしょう。

●アメリカ・日本の大都市(サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、東京など)

 利回りは低いが、価格は投資家需要と消費者需要で支えられる。グロース株や価値保存資産に近い。

●アメリカ・日本の地方都市(アメリカ中西部、日本の札幌・福岡など)

 利回りは高いが、人口動態や需要減退のリスクを抱える。高配当株に近い。

結論:不動産市場は「成長性を追うか」、それとも「安定収益を追うか」という2つの視点で整理できる

イラスト:いらすとや

 不動産市場は株式市場と同じく、「成長性を追うか」、それとも「安定収益を追うか」という2つの視点で整理できます。

 投資家にとって重要なのは、単に利回りを見るのではなく、都市ごとの需給構造や市場参加者の性格を理解することです。

 アメリカと日本を比較して見てみると、大都市は「価値保存・成長重視」の場、小都市や地方都市は「利回り・バリュー重視」の場として棲み分けが見えてきます。

 株式投資と同じように、両者をどう組み合わせるかが、不動産投資戦略の鍵となるのです。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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