◆今日の内容を10秒でチェック!
・日経平均は小幅反発、キオクシアHDやフジクラが急伸
・ソフトバンクGが大幅安、堀場製作所は「物言う株主」保有で大幅高!
・米FOMC、来年の利下げ回数は? 注目株は「高配当・NISA」で東亜合成
【1】今日の株式相場&話題株 早わかり!
小幅反発、キオクシアHDやフジクラが急伸
【今日の相場】
日経平均株価は小幅反発! 5日の米国市場で主要株価指数は上昇した。9月の個人消費支出(PCE)価格指数が予想に一致した一方、12月のミシガン大学消費者調査はインフレ見通しの改善(低下)を背景に消費者心理が改善。利下げ期待と底堅い景気を拠り所に株価は堅調に推移した。一方、日経平均株価は上昇スタートもすぐに下落に転じると、ソフトバンクグループの下落が重石となり午前はマイナス圏で推移。午後には持ち直したが、先週末終値を挟んだ一進一退となった。ただ、東証プライム全体では値上がりが8割弱と多く、プライム売買代金上位でも、キオクシアホールディングスやフジクラなど大幅高の銘柄が見られた。
日経平均株価は5万円台を維持しつつも、来週にかけて重要イベントが目白押しとあって、方向感に乏しくなっている。今日のX(旧ツイッター)の音声チャット「スペース」配信では、注目イベントと株式市場への影響、それに配当株や株主優待株、IPO(新規株式公開)株などの注目銘柄について解説しているので、年末相場を乗り切るための参考にしてほしい。
【※Xスペース配信(12月8日)はコチラから】
⇒https://x.com/ZAiClub/status/1997876954469679454
【日経平均】50581.94円→(+90.07円)
【グロース250】670.99↑(+3.48)
【NYダウ】47954.99ドル↑(+104.05ドル、5日)
【ナスダック】23578.128↑(+72.992、5日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【今日の話題株】
◆ソフトバンクグループ(9984)
1万8655円(-630円)
データセンターなどデジタルインフラへの投資を専門とするデジタルブリッジ・グループを買収する方向で協議していると伝わった。一方、出資先のオープンAIは、アルファベット傘下のグーグルの躍進などで競争激化の懸念が台頭。また、ソフトバンクGについては、半導体株や電線株に比べ、業績面での裏付けが乏しいとの指摘が一部である。
◆堀場製作所(6856)
1万6150円(+885円)
「物言う株主(アクティビスト)」として知られる香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントによる大量保有が判明した。保有割合は9.90%。保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」で、経営改善などに対する期待が高まった。株価は年初来高値を更新。ちなみに、三陽商会は英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)による大量保有が判明した。
◆三菱重工業(7011)
4208円(+125円)
米国のヘグセス国防長官が、日本などの同盟国に対して、数年以内に国内総生産(GDP)比で5%まで国防費を引き上げる目標を導入するよう求めた。防衛支出が不十分な同盟国は「報い」を受けるとも警告しており、防衛予算拡大への思惑が高まっている。
【2】月曜コーナー「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米FOMCや注目AI株決算、「高配当・NISA」で東亜合成
先週の日経平均株価は+237.96円(+0.47%)。週を通して日銀の追加利上げ観測を背景とした長期金利の上昇が重石になった一方、米国での次期連邦準備理事会(FRB)議長を巡る報道や利下げ期待が株価を下支えした。
今週は米国で9日(火)から連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。直近の雇用関連の経済指標が弱かったこともあり、予想通り利下げが決定される見込みだ。一方、FRB内ではすでに追加利下げに関して意見が大きく分かれている。政策金利見通し(ドット・チャート)が示す2026年の利下げ回数を巡っても見解は分かれそうで、ここが焦点となる。市場は、2026年の2~3回の利下げをメインシナリオとしているため、来年の利下げ回数の中央値が2回未満となった場合には利下げ期待が後退してしまう。一方、来年初めに発表予定の次期FRB議長は、トランプ大統領寄りで利下げに前向きな人物が選ばれる見通し。意外にも利下げ期待が維持される形で無難に消化することもあり得る。
米国では他に、半導体大手のブロードコムやIT大手のオラクルなどが決算を発表する。ブロードコムはAI向けの急成長を背景に、これまで通り、市場予想を上回る安定感のある決算が期待される。一方、オラクルは、ソフトバンクグループやオープンAIとの共同AIインフラ投資計画「スターゲート」の関連で、前回決算では受注が市場予想をはるかに上回り株価が急伸。ただ、その後は財務不安やオープンAIの競合躍進を受け、株価が低迷している。懸念を払しょくできるような経営陣からのコメントがあるかどうかに注目したい。
国内では、米国金利が落ち着いている中でも上昇が止まらない長期金利の動向を引き続き注視したい。金利上昇の背景には、日銀の追加利上げ観測や中長期的な財政不安などがある。2026年度本予算の規模に関する報道や、9日に海外で予定されている日銀の植田和男総裁の発言次第では、金利が大きく動く可能性がある。
【仲村の今週の注目銘柄・テーマ】
東亜合成(4045)「12月高配当株」「2025年NISA余り枠」
1600.5円(+5.5円)
日経平均株価は引き続き方向感に欠ける動きが続いている。こうした中、今月中に実需に基づく着実な買いが期待される12月高配当株の中でも、2025年NISA(少額投資非課税制度)の余り枠での買いも期待できそうな、購入単価が低めの銘柄として同社に注目したい。
化学メーカーで、瞬間接着剤「アロンアルフア」などをはじめ幅広い製品を扱う。事業ポートフォリオも幅広いが、今後期待できる成長ドライバーはモビリティと半導体の2つだ。モビリティでは、リチウムイオン電池用バインダーや車載電池用接着剤、半導体では半導体製造用の各種薬剤などが期待されている。それぞれ世界で高いシェアを誇る製品群で占められていて、半導体分野の高品位ウエハ製造用の高純度液化塩化水素は世界シェアNo.1だ。
PBR(株価純資産倍率)1倍割れの是正を目指し、中期経営計画期間(2023~2025年度)は総還元性向100%以上を続けている。一方、依然としてPBRは0.82倍にとどまり、2026年度から始まる次期中計でのさらなる株主還元の強化が期待される。なお、10月には株主優待の導入も発表している。

仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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