「勝者のゲーム」と資産運用入門

米国・イスラエルがイランを攻撃
地政学リスクで株価はどうなる?太田忠の勝者のポートフォリオ 第231回

2026年3月10日公開
太田 忠
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米国とイスラエルによるイラン攻撃で最高指導者のハネメイ氏が死亡

 イランの最高指導者ハメネイ師が死亡―。

 2月28日(土)に世界中を大きなニュースが駆け巡った。米国とイスラエルによるイランへの攻撃が始まり、最高指導者であるハメネイ氏の死亡が報じられた。ハメネイ氏は86歳。前最高指導者であるホメイニ氏の後継者として1989年から37年間に渡りイランの最高指導者として絶大な権力を発揮。欧米からは「独裁者」の烙印を押され、人権侵害などの抑圧者の代表格となった。そのハメネイ師が殺害されたことでイラン側は報復。エネルギー輸送の要所であるホルムズ海峡を封鎖した。

 今回のイラン攻撃の目的は単に独裁政権を潰すことだけにあるのではない。それはイランに対する中国の影響力を完全に断ち切り、中国の無謀な野望を叩きのめす強い意図がある。イランと中国は2021年3月、25年間に及ぶ経済・軍事両面の戦略協定を結んだ。これに基づき中国は米国の制裁下にあるイランから安価な石油の供給を受けている。今回の攻撃の直前には中国がイランに対艦巡航ミサイルを売却するとの観測もあった。イスラム革命体制が存続する限り両国の蜜月は続く公算が大きい。2025年7月にもイスラエルとイランは交戦したことがあったが、中東情勢の緊張は米軍のアジア展開に支障をきたしている。

中東有事勃発に日経平均は急落。恐怖指数を表す日経平均VI指数も高騰

 こうした背景があるのだ。中国はイランに最先端の防空システムを提供したが、完全に破壊された。また、中国はイランの産業エネルギー・プロジェクトなどに1000億ドル以上もの巨額の投資をしており、その多くはイラン政府への融資の形となっている。全く同じ構図がベネズエラと中国との間であったが、こちらもマドゥロ政権の崩壊でズタズタにされた。イランにおいても中国はズタズタにされた形だ。米国の制裁対象のベネズエラやイランと手を組むことで彼らと人民元でやり取りし、世界通貨としてのドルから離れようとしたが、中国は今、世界の原油市場に戻り、米ドルで物資を購入しなければならない。なぜなら、トランプ大統領は中国への原油供給の20%を寸断したからである。原油供給だけでなく、中国製品を売りつける貿易国も失ったことになる。

 この有事でマーケットはすぐさま反応した。週明け月曜日の日経平均は一時1565円安の5万7285円をつけたものの、海外短期筋の断続的な先物買いで下げ渋り793円安の5万8057円。かろうじて5万8000円台を維持したがハメネイ師亡き後もイランへの攻撃が続き、中東情勢長期化を懸念した売りが出て3月3日(火)は1778円安、そして翌日3月4日(水)は2033円安と急落した。一時は2661円安の5万3618円まで売られてマーケットの恐怖度合いを測る日経平均VI指数は64.21とトランプ関税ショック時と同水準にまで上昇した。

地政学リスクが起こった時の対処法は「歴史に学べ」

 「地政学リスクが起こった時にはどうしたらいいのですか?」

 起こってから質問されても困る。起こる前から「起こった時にどうすべきか?」を理解しておく必要がある。当コラムがスタートしたのは2021年10月13日だが、およそ4ヶ月後の2022年2月26日にロシアによるウクライナ侵攻が発生。その後、数回に渡り地政学リスクについて解説した。もちろん覚えていないだろう。私がいつも口にしている「賢者は歴史に学ぶ」という観点での備えがあれば、地政学リスクが起こった時に「慌てたり」「おどおどしたり」「方向を見失ったり」しない投資家でいられるはずだ。過去の経験値、すなわち実践に生かせる投資スキルが重要になってくる。有事の際の下落率、有事が起こってから安値を付けた日数、その後の反発はどうなのか。過去の有事を振り返ると、最も巻き込まれているのが米国市場のためNYダウの動きで簡単に点検してみよう。

 まず思い出されるのが2001年の9.11同時多発テロだが、9日後に14.3%安を記録。1990年のイラクのクゥエート侵攻では16日後に同じく14.3%安となっており、この2つの有事の下落率が突出していた。2003年のイラク戦争では2.5%安、1991年の湾岸戦争は0%安、1980年のイラン・イラク戦争では4.3%安、さらに大きく遡って1941年の真珠湾攻撃では8.8%安という記録がある。では、第二次世界大戦はどうだったのか? マーケットが閉鎖されていたためデータが存在しない。言えることは、有事における株価下落はいずれも一時的であり、早期に戻るケースがほとんどだ。したがって、株式市場には古くから「開戦は買い」の経験則がある。

地政学リスクが起こった際の株式マーケットのポイント

 地政学リスクが起こった際の株式市場のポイントを整理すると、以下のようになる。

① 有事発生から底値までの期間は短い
   ・15日程度で底値を付ける習性がある
   ・株価低迷は長期化しない
② 株価の下落も限定的
   ・株価の下落率は1ケタ、大きくても15%程度
③ 株価の回復も早い
   ・ほぼ3カ月以内に元の水準を回復することが多い

【結論】有事において「開戦は買い」(相場格言)が経験則

 最近の地政学リスクの事例は、先ほど触れたウクライナ侵攻だ。2022年2月にウクライナ東部の親ロシア地域で「ロシア系住民への虐殺が行われている」との自作自演でロシアが一方的な侵攻を仕掛け、自らの勢力圏を広げるために武力行使したのが発端だが、この地政学リスクで世界のマーケットは揺さぶられた。あれから4年が経過。いまだ停戦していないのは残念だが、、ウクライナ侵攻も上記の3つの条件を満たしている。

 今回の中東情勢を巡る地政学リスクについても、①②③を各自で点検していただきたい。今後の動向については皆さまと答え合わせをしながら見守りたい。

過去の有事も冷静に対処した「勝者のポートフォリオ」は泰然自若を貫く

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」は年初からのロケットスタートが続いている。まさに私が年初に申し上げた「午尻上がり」だ。2月末時点の年初来パフォーマンスは+19.8%で終了し、TOPIX+15.5%、日経平均+16.9%、グロース+15.2%をアウトパフォーム。累計パフォーマンスは+185.0%となり月間最高値を更新した。当面の目標であった+150%を1月に達成、次のターゲットは+200%の早期達成である。我々は圧倒的な勝ち組投資家であり、今後もマーケットに勝ち続ける采配をしていく。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

 私が運用する「勝者のポートフォリオ」連動型個人ファンドも7億351万円(昨年来+3億5328万円、+101%)となり、年初来でもすでに1億5187万円増(+28%)という凄まじさだ。目標の自由億(10億円)はすでに射程圏内にある。本格的な金融相場を楽しみつつ、資産運用に全力で取り組んでいきたい。

次回セミナーは3月18日開催。中東情勢に対するマーケット対処法を伝授

 「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスであり、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。

 次回のWebセミナー開催は3月18日(水)20時より開催。テーマは『中東情勢緊迫化でマーケット急落、地政学リスクにどう対処すべきか?』を予定している。株式市場は上昇しているのに資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象を受ける。「どうすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい方々は奮ってご参加願いたい。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能。投資のヒントが満載である。

 スペシャル講義は投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家にとって必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などを詳しく解説している。ぜひとも参考にしていただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

 

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