「勝者のゲーム」と資産運用入門

ニュース主導で株価が乱高下するマーケット。
暗躍する“うぜぇ★やつら”に気をつけろ!太田忠の勝者のポートフォリオ 第236回

2026年4月14日公開
太田 忠
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米国とイランの停戦合意発表を受け、4月8日の日経平均は2870円高

 日経平均株価は2870円高、上げ幅は歴代3位を記録―。

 4月8日(水)の東京市場。米トランプ大統領が設定した米国とイランの停戦交渉の期限が同日午前9時に迫る中、楽観と悲観が入り混じり売り買いが交錯する状況が続いていたが、ついにその日を迎えた。トランプ氏は「期限までに合意できなければイランの橋と発電所を破壊する」と警告。自身のSNSには「今夜、ひとつの文明全体が滅び、二度と復活することはないだろう」と書き込んだ。米国がイランの原油輸出拠点であるカーグ島の施設を攻撃したと伝わり、前日のNY市場では原油先物価格は一時117ドル台まで上昇していた。

 ちょうど午前7時半頃、パキスタン政府が米国とイランが2週間の即時停戦に合意したと発表。パキスタンは4月11日(土)に両国の代表団を首都イスラマバードに招き、紛争の恒久的解決を目指す協議が行われることになった。ホルムズ海峡が早期に開放されるとの期待で原油先物は91ドル台に急落。日経平均は歴代3位の2870円高となり株式市場は上昇方向へ力強く動いた。ちょうどこの日は4月10日(金)のマイナーSQを控えた「魔の水曜日」。予期せぬことが起こりやすい水曜日だが、今回はまさかの急騰劇となった。そして、4月のマイナーSQも無事に通過した。

 このところ本コラムは一貫して中東情勢を巡る地政学リスクを取り上げている。2月28日(土)に米国とイスラエルがイランを攻撃する形で始まったが、3月の株式市場は急落した。日経平均の月間パフォーマンスは7786円安、下落率は13.2%という惨憺たる結果である。下落値幅はもちろん過去最大、13.2%の下落は2008年9月に記録した13.9%にほぼ匹敵する。2008年9月といえばリーマンショックが起きた時だ。翌月の10月に23.8%安を記録し、世界中が投げ売り状態となり阿鼻叫喚を経験したのは忘れられない。

地政学リスク発生からマーケットへの織り込みはパターン化

 今回の地政学リスクが起きた時、私は「過去の地政学リスクの経験値を生かそう」「賢者は歴史に学ぶ」と述べた。株式市場において地政学リスクは過去に何度も経験してきたことであり、イベント発生後にマーケットはどう織り込むかはパターン化されている。過去の検証結果に当てはめて3月2日(月)の東京市場が始まるまでに次の仮説を立てることがマーケット参加者には求められていた。

① 有事発生から底値までの期間
 ・15日程度で底値を付ける習性→3月23日(月)までに株価は底入れする
② 株価の下落も限定的
 ・大きくても15%の下落→50022円(2月27日終値5万8850円から15%下落)
③ 株価の回復も早い
 ・3か月後に元の水準を回復→6月1日(月)には5万8850円を回復

シナリオの事前構築とリスク管理を徹底すれば、相場急落の不安も無用

 このシナリオさえ事前に立てておけば、今の自分の投資スタンスが相場下落に耐えられるかどうかが判断できると思う。ある個人投資家が私に質問してきた。

 「3月21日(土)朝には日経平均先物の最安値が5万1000円を切り驚きました。底値が週明けの月曜日で済むのか不安です。有事からの回復が速いことなどは理解していますが、実際に有事となると不安な気持ちになってしまいます。ご意見お聞かせ頂けますと幸いです」

 この投資家は地政学リスクのパターンを理解しているにもかかわらず「不安でたまらない」との意味不明な質問だ。よく聞いてみると「リスクを取り過ぎていた」とのこと。リスク管理がなっていないが故の不安だ。有事発生時に点検を怠っていたと言わざるを得ない。

ニュースで乱高下する株価はノイズ。ヘッジファンドに決して付き合うな

 中東情勢を利用してマーケットを振り回しているのは誰か? 海外の短期筋たち、すなわちヘッジファンドである。私が「うぜぇ★やつら」と言っている連中だ。彼らにはファンダメンタルズなどお構いなしだ。瞬間、瞬間を狙って「上昇」あるいは「下落」の儲かる方向にポジションを傾ける。現物株の売買では流動性が十分ではなく機動的な行動が取れない。そのため「日経平均先物」という世界中で24時間取引されている、きわめて流動性の高い先物取引を用いる。これによって先物主導による株価上昇、株価下落を自由自在に操ってボラティリティを高めることで地政学リスクをネタに大儲けしようとハッスルしている。

 しかも今回の地政学リスクではトランプ大統領、イスラエル、イランの政府高官などの発言や見解が毎日目まぐるしく変化。その一挙手一投足がネタとなり「ニュース主導」の値動きはまことに激しい。短期の個人投資家は追証・ロスカットに直面し、長期投資家も戸惑い意気消沈する局面が連発した。だが、そもそもこうした値動きはノイズと心得るべきである。だから、投資家としては、このようなネガティブ・イベントを単に「怖い」とか、「苦痛だ」といった精神状態で打ちひしがれていてはいけない。ここから何かを読み取り、適切な投資行動をし、将来につながる前向きな取り組みが必要である。以前に私が述べたことだ。

4月10日で日経平均は最高値から76%戻しを達成。6月1日に全戻しが濃厚

 地政学リスクのセオリーを使って現状認識をすると、今回の日経平均の底値は3月23日(月)の5万686円(有事発生15日目、下落率13.9%)がほぼ確定的である。有事発生前の2月27日(金)の最高値5万8850円から15%下落した5万22円を一度も下回っていない。有事による下落幅8164円に対し、底値から4月10日(金)時点の5万6924円における上昇幅は6238円。すなわち、すでに76%戻しを達成している。「半値戻しは全戻し」という相場格言があるが、有事発生から3か月後の6月1日(月)には5万8850円を回復しているというのが現時点での有望シナリオ。引き続き、イラン情勢について注視していきたい。

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスである。毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。

明日15日にWebセミナーを開催。地政学リスクと今後の投資戦略を解説

 次回のWebセミナーは明日4月15日(水)20時より開催。テーマは『3月は歴史的急落、中東情勢を巡る投機的動きに惑わされるな』を予定している。毎回300名近くの参加者で盛況である。今年に入って上下動の激しい株式市場で資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象を受ける。「どうすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい方々は奮ってご参加願いたい。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能。投資のヒントが満載である。

 また、スペシャル講義は投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家にとって必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態…など詳しく解説している。ぜひとも参考にしていただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

 

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