あなたの投資判断は「正しかった」か?
株を買ったあと、株価が上がれば「正しい判断だった」と思い、下がれば「間違いだった」と後悔する。これは人間として自然な心理ですが、投資においては危険な思考パターンになります。
なぜなら、「結果」と「判断の質」は別物だからです。
サイコロを振って1が出たとき、「6を予想したのは間違いだった」と言えるでしょうか。6分の1の確率で起きる出来事が起きなかったことは、予測の誤りではなく、確率通りに起こった現象に過ぎません。
投資においても同じことです。
十分な情報と論理に基づいた判断をしたうえで、市場が自らの想定外の動きをした場合、その判断は「間違い」ではありません。
「5年ルール」:投資判断の正否を5年後の自分の視点から逆算する
私が当コラムで提唱してきた考え方の1つに、「5年後の自分はこの判断をどう見るか」という問いがあります。今の判断の正否を、5年後の視点から逆算して評価するのです。
たとえば、ある優良企業の株が市場全体の急落に巻き込まれて30%下落したとしましょう。
その企業のビジネスモデル・競争優位性・経営陣の質を改めて確認してみると、それらは特に変わっていませんでした。
では、このような状況で、その企業の株は売るべきでしょうか、買い増すべきでしょうか。
「今日の株価」だけを見ると売りたくなります。しかし、「5年後の自分」の視点で見れば、その企業のビジネスの本質が変わっていないのに、株価下落で売ることは長期的に見て明らかな誤りだとわかります。
[参考記事]
●「なんであの時、あの株を買わなかったのか」。5年後に後悔しないためのポートフォリオ構築術。ジェフ・ベゾスの「後悔最小化フレームワーク」とは?
ウォーレン・バフェットが自身の成功について、「運の要素が大きい」と語っていることが示唆するもの
投資の世界で最も成功した人物の1人であるウォーレン・バフェットは、自身の成功について、「運の要素が大きい」と繰り返し語っています。
アメリカという市場経済の中に生まれたこと、複利が機能するだけ長く生きられたこと、1930年代のような大恐慌を投資の最盛期に経験しなかったこと──これらはすべて「運」だとバフェットは語っているのです。
[参考記事]
●ウォーレン・バフェット、最後の「株主への手紙」は投資家へのいわば“遺言”。投資とは経済だけでなく、人生観そのものを問う営みだ
ウォーレン・バフェットが長年CEOを務めてきたバークシャー・ハサウェイ(BRK-A)の長期チャート(3ヵ月足) ※ウォーレン・バフェットは2025年末でCEOを退任し、現在は会長職
この謙虚さは、単なる謙遜ではありません。
「自分の判断がすべて正しかった」という錯覚を戒める重要な認識です。長期投資家として成功するためには、「自分は完璧な予測者ではなく、正しいプロセスを続ける実践者だ」という自己認識が必要です。
正しい判断は常に良い結果をもたらすとは限りません。しかし、正しいプロセスを長く続けることは、高い確率で良い結果をもたらします。
これは、私が当コラムを通じて最も伝えたいことの1つです。
投資の世界で「予測が当たった」ことに自信を持つより、「なぜその判断をしたか」を説明できることのほうが、長期的には大切です。プロセスに自信があれば、短期的な結果に一喜一憂することなく、長期的な視点を保つことができるのです。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中。著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』発売中。
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