【今回のまとめ】
1.先週のNY株式市場は軟調だった
2.悪い米雇用統計を織り込むところから今週は始まる
3.「QE3」期待がぶり返す可能性もアリ
4.決算シーズンへの期待は低い
米雇用統計は市場予想を下回った
先週(4月2日~)の米国株式市場では、ダウ工業株価平均指数は-1.2%、S&P500指数は-0.74%、ナスダック総合指数は-0.36%となりました。
セクター別で見ると、石油・天然ガスは-1.89%、素材は-1.81%、金融は-1.34%で、このあたりのパフォーマンスが悪かったです。
さて、先週は週末の6日(金)に米国の雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数は+12万人で、これは市場予想の+20.5万人を大きく下回る数字でした。

なお、先週金曜日はグッドフライデー(聖金曜日)で、欧米の株式市場は休場でした。
したがって、今週はこの悪いニュースを織り込むところからマーケットが始まると予想されます。

同じく6日(金)に発表された失業率は8.2%でした。
再び「QE3」への期待が盛り上がる可能性もある
先週火曜日以降の相場が安かった主な理由として、3日(火)にFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録が公開され、そこで「QE3(追加的量的緩和政策第3弾)」への言及がまったくなかったことが挙げられるでしょう。
しかし、週末に発表された非農業部門雇用者数の数字が悪かったことで、再び「QE3」への期待が盛り上がる可能性もあります。
つまり、今回の悪いニュースを「相場にとってはプラスだ」と解釈することもできるわけです。
ただし…
FRB(連邦準備制度理事会)が「QE3」を控えている理由の1つに最近のガソリン価格の高騰があり、その面では、ガソリン価格の騰勢は全然衰えていないため、投資家の願いがスンナリかなえられる保証はありません。
足元のガソリン価格高騰の一因は、イランに対する経済制裁でイラン産原油を世界各国がボイコットしていることがあります。
そのイランと国連安保理事会の常任理事国6カ国との対話が今週13日(金)に予定されていて、注目されています。
米国は決算発表シーズンに突入する
今週のもう1つの目玉は決算発表で、10日(火)のアルコア(ティッカー:AA)がトップバッターになります。
全体的に見ると、今期の決算はあまり良くない結果に終わりそうで、最近の原油高が米国企業にとってのマージン圧迫要因となっています。
また、米ドル安が一服してしまったので、輸出成長に対する不安が出ています。

最近の決算発表シーズンを見ていて、今後の業績見通し(会社側ガイダンス)を上方修正する企業と下方修正する企業では、後者のほうが多くなっているという点も気になります。
こうした諸々の点を反映して、2012年第1四半期のS&P採用企業の利益成長率は、わずか+3.2%にとどまるというのがコンセンサスになっています。

逆の言い方をすれば、昨年12月以降、アメリカの株式市場がずっと堅調だったのは、決して収益期待がその原動力ではなかったということです。
緩和期待、つまり、「QE3」への願望こそが、マーケットがかろうじて持ちこたえていた要因だったのです。

今週(4月9日~)の決算発表予定は上のとおりです。
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