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米国株の「決算発表シーズン」が今週から開幕!金利環境がよく、資金が米国に流れ込んでいる今、来週以降のテクノロジー株や石油株の決算に期待!

2018年7月9日公開(2022年3月29日更新)
広瀬 隆雄
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第2四半期決算発表シーズンがスタート!
今週は期待薄だが、来週以降は好調に?

 今週から、2018年第2四半期の決算発表シーズンが始まります。今週の主な企業の決算発表日とコンセンサス予想は、以下の通りです。

■今週に決算発表する主な企業
 日付 銘柄(ティッカーシンボル) EPS 売上高
7月10日(火)寄付前 ペプシコ(PEP) 1.53ドル 160.9億ドル
7月12日(木)寄付前 デルタ・エアラインズ(DAL) 1.72ドル 116.5億ドル
7月13日(金)寄付前 シティグループ(C) 1.57ドル 185.9億ドル
7月13日(金)寄付前 JPモルガン・チェース(JPM) 2.23ドル 272.2億ドル
7月13日(金)寄付前 ウエルズファーゴ(WFC) 1.12ドル 216.9億ドル

 ペプシコは、食品・飲料など景気の影響を受けない商品を売っています。しかし、このところのドル高で利益は圧迫されているはずです。だから、あまり大きな期待を寄せることは出来ません。

 デルタ・エアラインズは、燃料コストの高騰が今後の収益に与える影響が懸念されます。

 シティグループ、JPモルガン・チェース、ウエルズファーゴの各銀行は、最近、長短金利差が狭まっていることが気がかりです。

 なぜなら銀行は、主に短期市場で資金を調達し、それを長期で貸付ける、ないしは長期債の購入に充てるからです。上のチャートのように金利差は狭まっているのだから、銀行の純金利マージンは圧迫を受けているはずです。

 加えて第2四半期中、世界の金融市場のボラティリティーは、第1四半期に比べると低かったです。これは、各行のトレーディング部門が利益を出しにくい環境だったと言えると思います。

 以上の理由から、銀行株の決算にも多くは期待できません。

 すると、今週から始まる第2四半期決算発表シーズンは、やや精彩に欠くスタートにならざるをえないと思います。

 しかし来週以降、決算シーズンは尻上がりに好調になると見ています。その理由はテクノロジー株や石油株の決算発表が始まるからです。

 この2つのセクターは、素晴らしいEPS成長を記録すると思われます。アナリストのコンセンサスでは、テクノロジー株のEPS成長率は前年比+24.6%、石油株は+142.5%が見込まれています。特に石油株に関しては、このところの原油価格の上昇で収益環境は改善している筈です。

S&P500の予想PERを見る限り
アメリカ株はまだまだ割高ではない!

 今年のS&P500指数のEPSは、160.99ドルがコンセンサスとなっています。来年は176.91ドルです。

 向こう12カ月のEPS予想に基づいた現在のS&P500の株価収益率(PER)は、16.2倍です。これは過去5年間の平均値とピッタリ一致しています。つまりアメリカ株は、適正なバリュエーションだということです。

予想に反して停滞する長期金利は
株式にとってはポジティブな要因に

 一方、長期金利に目を転じると、10年債利回りは2.84%で取引されています。

■米国10年債利回りチャート/日足・1年
米国10年債利回りチャート/日足・1年米国10年債利回りチャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示

 年初、「今年は長期金利がいよいよ3%を超え、ずんずん高くなるだろう」と言われていました。しかし実際には、景気が強い割に債券利回りは低い水準のままです。

 そのひとつの理由は、いまアメリカだけでなく、世界各国で長期金利は下がり気味になっていることによります。つまり。アメリカ国外では景気拡大局面に「中だるみ」が見られるのです。

 このまま直ぐに世界経済が暗転し、景気が悪くなるという風には、私は考えていません。世界経済は「小休止」した後、再び元気を取り戻すと思っています。

 足下で諸外国の景気がアメリカより減速しているため、「アメリカに投資資金を集中させよう!」という結論を下す投資家が増えています。海外からの投資資金が、米国財務省証券だけではなく、投資適格社債やジャンクボンドなどに流入しています。

景気の先行指標と言われる「ジャンク債ETF」は
2月の安値と同水準

 下は、米国のジャンク債を組み込んだETF(上場型投信)、iシェアーズ・アイボックス・ハイイールドETF(ティッカーシンボル:HYG)の過去1年の株価の推移です。

■iシェアーズ・アイボックス・ハイイールドETF(HYG)チャート/日足・1年
iシェアーズ・アイボックス・ハイイールドETF(HYG)チャート/日足・1年iシェアーズ・アイボックス・ハイイールドETF(HYG)チャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示

 普通、このETFの株価が下落しているときは、企業の資金のやりくりが困難になっていることを示しています。同じ理由から、このETFは景気の先行指標であるとも考えられています。

 このETFの株価推移を見ると、2月に米国市場全体が急落した際、ETFが売られていることがわかります。そして現在の水準は、2月の安値とほぼ同じです。ETFの株価が横這いになっているということは、企業のおカネの借りにくさには、あまり変化は出ていないことを示唆していると思います。

中国ではシャドーバンキング抑制政策などにより
「金詰り」になっている

 中国では、これと好対照に「金詰り」を訴える経営者が多いです。中国政府はシャドー・バンキング(=銀行の帳簿に載らない隠れた融資)の抑制政策を進めています。折悪く米中貿易戦争がエスカレートしていることもあり、上海総合指数は高値から20%を超える調整となりました。

決算シーズンにおける米国株のリスクは
米中貿易戦争とトランプ政権

 そこでアメリカに話を戻し、「この決算シーズンにリスクはあるのか?」ということについて考えてみたいと思います。

 まず、ハイテクが米中貿易戦争の焦点として浮かび上がりつつあることから、アメリカのハイテク企業の経営者から、貿易戦争のエスカレートを危惧するコメントが飛び出すかもしれません。これが、決算カンファレンスコールの聞きどころのひとつになるでしょう。

 それと、トランプ政権の言っていることがコロコロ変わるので、経営者は安心して長期の経営計画を立てにくくなっています。それは、設備投資計画に影を落とすリスクがあります。特に、半導体製造装置などは影響を受けやすいと思います。

【今週のまとめ】
いくつかのリスクはあるものの、
全体としては素晴らしい決算発表シーズンに

 今週から2018年第2四半期の決算発表シーズンがはじまります。今週は銀行株など、経営環境がそれほどよくない企業の決算ばかりなので、いまひとつ冴えないスタートが予想されます。しかしハイテク株、石油株などの決算は大いに期待できます。

 全体としては今期も素晴らしい決算発表シーズンになるでしょう。いまは金利環境も良いし、おカネは世界からアメリカへ集まっています。

 リスクとしては、米中貿易戦争のとばっちりを受けやすい、設備投資の動向に敏感なビジネスが、見通しの暗転を訴えるかもしれないということです。

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