シンガポールの少子高齢化問題は
実は日本よりもずっと深刻化している!
ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。
いま私が住んでいるシンガポールでは、日本と同じように「少子高齢化」が社会問題となっています。国連が発表している「World Populaton prospects: The 2015 Revision」によると、国の総人口に占める「60歳以上の人」の割合は、2015年時点で日本が33.1%、シンガポールが17.9%ですが、なんと2050年には、日本が42.5%、シンガポール40.4%になると予想されています。これを見ると、シンガポールは日本よりも急速に高齢化が進む見通しだということがわかります。
なお、シンガポールの合計特殊出生率は1.24(2015年時点)。日本は1.45(2015年時点)なので、少子化問題もシンガポールのほうが深刻なのです。
しかし、シンガポールはそれでも順調に経済成長を続けています。2017年の経済成長率(実質成長率)は、日本が1.6%だったのに対し、シンガポールは2倍以上の3.6%でした。
シンガポールが経済成長を続けられる一因として、外国人労働者が多いことが挙げられます。人口が少ないシンガポールは、かなり前から外国人労働者を積極的に受け入れ、労働力をがっちり確保してきたのです。
2017年6月時点で、シンガポールの人口は約561万人ですが、そのうちシンガポール人・永住者は397万人。ということは、残りの約160万人が外国人です。また、永住者の中にも日本人などの外国人が多数含まれているので、いかに多くの外国人がシンガポールにいるかがわかります。
シンガポールでは、外国人の家事労働者に
家事や子守、介護などを任せるのが一般的
シンガポール政府は、建築業、製造業、サービス業(外国人家事労働者など)に従事する一般の労働者から、中間管理職、専門技術者、研究者、弁護士、医師、会計士、IT系人材などの高技術労働者、富裕層に至るまで、国の経済成長に貢献する人材を戦略的に確保する政策を採っています。

拡大画像表示
特に「外国人家事労働者」が多いのが特徴であり、これが日本とは異なる部分です。外国人家事労働者には、家事のみならず、子守や介護などを任せることもできるので、働き盛りの世代が育児や介護で働けなくなる、といった問題を避けることができます。
また、デリバリーサービス、清掃などのスタッフも多数揃っているので、中流以上の家庭となると、買い物、掃除などは徹底してアウトソーシングし、移動は安いタクシーを活用して時短に努め、時間を有効活用しながら生産活動に注力する傾向が強いです。
一方の日本は、2018年4月時点で有効求人倍率が1.59倍となり、慢性的に人手不足の状態が続いています。今後、少子高齢化がさらに進めば、すでに人手が不足している介護や医療の現場などを筆頭に、さまざまな分野で人手不足が深刻化することは間違いありません。
日本でも「留学生30万人計画」などの政策により、
在留外国人の人数は加速度的に増加している
ですが、もちろん日本もただ手をこまねいているだけではありません。シンガポールと同様に、外国人の労働力の確保を徐々に進めてきています。
最近、私は久しぶりに日本に一時帰国をしていました。そのときに印象的だったのは、外国人の姿が増えていたことです。しかも、明らかに観光客ではない外国人が増えています。身近なところだと、たとえばコンビニのスタッフなど、外国人の方が増えたという印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
内閣府は、「毎年20万人の移民を受け入れつつ、合計特殊出生率が人口を維持できる水準に回復すれば、今後100年間は人口の大幅減を避けられる」という試算を出しています(2014年)。この展望の下に規制緩和などを実施することで、少しずつ在留外国人数は増えてきています。
2017年末の在留外国人数は256万1848人で、前年末に比べ17万9026人(7.5%)増加し、過去最高になりました。256万1848人の内訳は、永住者29.2%、特別永住者12.9%、留学12.2%、技能実習10.7%、技術・人文知識・国際業務7.4%、高度専門職0.3%などです。
政府は「留学生30万人計画」を推進していますが、「留学生」の伸び率は前期比12.3%増、日本人の労働力不足が著しい分野を外国人労働者で解消する目的で設けた「技能実習」は、前期比で20%増と、ともに大幅に伸びました。
政府は、留学生たちが卒業後に日本で定職に就き、労働力となってくれることを期待しています。また、最長5年間の技能実習を終了した外国人には、さらに最長で5年間就労できる在留資格ができる、というルールも設けられました。政府はこのようにあの手この手を使って、外国人労働者の数をさらに増やしていこうと計画しています。
こうした計画は、日本の未来を占ううえで、非常に大きな意味を持ちます。町に高齢者ばかりがあふれて、どの業界も人手不足という恐ろしい状況を打破するには、どうしても外国人労働者に頼っていくことが必要です。そのため、前述の「留学生30万人計画」がうまくいくか否かがカギになるのです。
移民が増加してもシンガポールの治安がいい背景には、
外国人労働者への厳しい規制が存在している
外国人労働者の増加というと、治安の面を心配する方も多いかもしれません。シンガポールは凶悪事件の発生件数が少ない、治安がいい国ですが、あれだけ移民が多いのに良好な治安を維持できている背景には、さまざまな厳しい法律や規制があります。
例えば、殺人や銃器の発砲、多量の麻薬所持といった禁を犯すと死刑になります。また、不法入国・不法滞在もむち打ちの厳罰に処されます。さらに、外国人労働者を対象とした規制には、驚くようなものも多くあります。たとえば女性の外国人ヘルパーは、なんと妊娠したら国に強制送還されます。工事現場のスタッフも怪我をして働けなくなったら、国に帰るしかありません。このような、日本では考えられない徹底した数多くの規制が、治安維持に貢献しているのです。
しかし、シンガポールは外国人労働者に厳しい法律や規制を用意する一方で、不慣れな外国人労働者に対しては「ブロークンイングリッシュでOK」という大らかな風潮があります。そのため、言語やマナーが完璧ではない外国人労働者でも働きやすい環境が整っているのです。
同じく少子高齢化という壁に直面しているものの、国の規模や地理、歴史的な背景などが大きく異なるので、日本がシンガポールを完全にマネするというのは難しいでしょう。ですが、法律などの面で外国人労働者を受け入れる準備をしつつ、日本の企業や国民は外国人労働者に対して、もう少し寛容さを持って接するなど、同じく少子高齢化の進む日本がシンガポールに学べることはたくさんあるのではないでしょうか。
『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社プラスα新書)
経済成長率3.5%で、定年退職は67歳。人口減少に影響されない社会保障制度が完備され、優秀な外国人労働者を優遇し、なおかつ教育環境も高水準な国・シンガポール。日本もお手本にしたい、少子高齢化でも老後不安がゼロのシンガポールが実行している合理的で賢い政策を、現地在住のファイナンシャルプランナーならではの視点で紹介!
※クレジットカードの専門家2人が選んだ、2022年の最強カードは?
⇒【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2022年版】
「おすすめクレジットカード」を2人の専門家が選出!
全8部門の“2022年の最優秀カード”を詳しく解説!
▼節約の第一歩はATM&振込手数料が無料のネット銀行選びから!▼ | |
---|---|
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() |
【2022年5月2日時点】 ■編集部おすすめのネット銀行はこちら! |
|||
普通預金金利 (年率、税引前) |
定期預金金利(年率、税引前) | ||
---|---|---|---|
1年 | 3年 | 5年 | |
◆イオン銀行(イオンカードセレクト保有者) ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.05% (「イオン銀行Myステージ」の 「ゴールドステージ」の場合) |
0.01% | 0.01% | 0.01% |
【イオン銀行おすすめポイント】 2018年4月に始まった「イオン銀行Myステージ」で「ゴールドステージ」になれば、普通預金金利が0.05%に!「ゴールドステージ」になるには、イオン銀行スコアが100点必要なので、「イオンカードセレクト」の保有(+10点)、インターネットバンキングの登録(+30点)、最低1000円からの投信自動積立の口座振替(+30点)、最低500円からの外貨普通預金積立の口座振替(+30点)といった条件をクリアするのがおすすめ。さらに、「ゴールドステージ」になれば、イオン銀行ATMの手数料は24時間いつでも何回でも無料なのはもちろん、他行ATMの入出金手数料と他行あて振込手数料がそれぞれ月3回まで無料になる! |
|||
【関連記事】 ■【イオン銀行の金利・手数料・メリットは?】イオン銀行利用者は「イオンカードセレクト」が必須!簡単に普通預金が定期預金並みの金利0.05%にアップ! ■「イオン銀行Myステージ」で簡単にステージを上げる攻略法を伝授! 普通預金金利が0.10%になり、各種手数料もお得な「プラチナステージ」になる方法は? ■定期預金金利に匹敵する普通預金があった! 普通預金の金利がメガバンクの100倍以上で各種手数料もお得な「イオン銀行」を使え! |
|||
◆東京スター銀行 ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.10% (※1) |
0.002% | 0.002% | 0.002% |
【東京スター銀行のおすすめポイント】 コンビニATMの出金手数料は、月8回までなら24時間365日いつでも無料なので使いやすい。さらに、給与振込や年金受取の口座に指定すると、普通預金金利が「0.001%⇒0.10%」に大幅アップするのもメリット。また、通常の定期預金のほか、年利0.05%の「スターワン1週間円預金」や「スターワン円定期預金+」など、お得な金融商品を数多くラインナップ。 ※1 東京スター銀行を給与振込口座に指定した場合。※2「スターワン円定期預金+」(インターネット限定、50万円以上)の場合。 |
|||
【関連記事】 ■【東京スター銀行の金利・手数料・メリットは?】「ATM手数料」や「振込手数料」がお得なネット銀行。さらに、給与振込で普通預金金利が100倍にアップ! |
|||
◆楽天銀行 ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.10% (楽天証券口座保有者の 「マネーブリッジ」適用時) |
0.02% | 0.02% | 0.02% |
【楽天銀行のおすすめポイント】 「楽天証券」との口座連動サービス「マネーブリッジ」を利用すれば、普通預金金利がメガバンクの100倍の0.10%に大幅アップ! しかも、楽天証券の申し込みページから「楽天証券の口座+楽天銀行の口座」を同時に開設できるので、普通預金金利が高金利な「マネーブリッジ」の利用も簡単! また、「マネーブリッジ」を利用しても特に投資をする必要はないので、とりあえず楽天証券の口座も開設して、楽天銀行の普通預金だけ利用してもOK! |
|||
【関連記事】 ■【楽天銀行の金利・手数料・メリットは?】楽天証券との口座連動により普通預金金利が5倍に!振込や口座振替などで「楽天ポイント」も貯まる! ■「楽天証券+楽天カード+楽天銀行」で積立投資すると、ポイント還元率が1%以上になって得! 獲得した楽天ポイントは、株や投資信託の購入にも活用可能! ■「楽天銀行」と「楽天証券」はセットで使うのが得!預金金利が5倍、配当金受取で現金プレゼントなど、証券と銀行の連携でさらに得するサービスが充実! |
|||
|
|||
普通預金金利 (年率、税引前) |
定期預金金利(年率、税引前) | ||
1年 | 3年 | 5年 | |
◆SBJ銀行 ⇒詳細ページはこちら! | |||
最大0.10% (※1) |
0.20% (※2、3) |
0.30% (※3) |
0.35% (※3) |
【SBJ銀行のおすすめポイント】 ほかのネット銀行と比べても、定期預金金利の高さはトップクラス! さらに、セブン-イレブン(セブン銀行)やミニストップ(イオン銀行)、ファミリーマート(E-net)のATMなら、出金手数料が最低でも月10回まで無料でお得なほか、他行あて振込手数料も最低で月5回まで無料なので、月に何回も振込をする人にもおすすめ! ※1 通常の0.02%分の利息に加えて、月内の最低残高(上限1000万円)に対して0.08%分の追加利息を受け取れる「普通預金プラス」の場合。※2 「100万円上限定期預金<ミリオくん>」の場合。※3 2022年7月20日までの「SBJ モアキャンペーン」適用時。 |
|||
【関連記事】 ■【SBJ銀行の金利・手数料・メリットは?】定期預金がお得で、魅力的な商品も多い外資系銀行。ATM手数料や他行あて振込手数料の安さもメリット! |
|||
◆ソニー銀行 ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.001% | 0.02% | 0.02% | 0.02% |
【ソニー銀行おすすめポイント】 外貨に強いネット銀行。Visaデビット付きキャッシュカードの「Sony Bank WALLET」なら海外事務手数料が0円なので、海外での買い物がクレジットカードよりお得! 優遇プログラム「Club S」のステージなどにより、ATM出金手数料は月4回~無制限で無料、他行あて振込手数料は最大月11回まで無料! 毎月無料で決まった金額を、他行から手数料無料で入金できる「おまかせ入金サービス」も便利。 |
|||
【関連記事】 ■【ソニー銀行の金利、手数料、メリットは?】外貨に強いネット銀行。Visaデビット搭載のSony Bank WALLETならクレジットカードよりお得に海外ショッピングが可能 ■「ソニー銀行」の顧客満足度調査の評価はなぜ高い? 手数料や金利で突出したメリットが見当たらなくてもなぜかユーザーから支持されている理由はどこだ!? |
|||
※ 100万円を預けた場合の2022年5月2日時点の金利(年率、税引前)。金利は税引き前の年利率であり、利息には20.315%(国税15.315%〈復興特別所得税含む〉+地方税5%)の税金がかかります。また、最新の金利は各銀行の公式サイトをご確認ください。 |