米議会が「ねじれ構造」になっても
「インフラストラクチャー法案」はすんなり通過
アメリカの老朽化したインフラストラクチャーを何とかしたい!というのはトランプ大統領の懸案のひとつです。
おもしろいことに、トランプ大統領のやることなすことすべてに反対している民主党も、ことインフラストラクチャーに関する限りトランプ大統領と同意見です。
11月6日に実施された米国中間選挙では、民主党が下院を、共和党が上院を支配しました。つまり「ねじれ構造」になったわけです。その場合、殆どの法案は下院の民主党が阻止すると思われますので、なにも決まらない状態になると思います。
ただ数少ない例外として、インフラストラクチャー法案は、あんがいスンナリと通過する可能性があるのです。その理由は、インフラストラクチャーの刷新は民主党の公約でもあるからです。
米政界の重要ポストである下院議長は
民主党のナンシー・ペロシで決まり?
議会が本格的に始動するのは、来年早々です。そこで、幾つかの見どころがあると思います。まず、民主党が過半数を獲得した下院ですが、「下院議長が誰になる?」という問題があります。
大方の予想では、8年ぶりにナンシー・ペロシ議員(民主党、カリフォルニア州選出)が下院議長に返り咲くと見られています。
下院議長は、アメリカ政治では大統領、副大統領に次ぐ3番目に重要なポジションで、隠然たる権力を持ちます。
下院を支配した民主党は
ロシア疑惑でトランプを叩いておきたい
今回、民主党が下院を支配したことで、「2016年の大統領選挙の際、ドナルド・トランプがロシア政府からの支援を受けたのではないか?」といういわゆるロシア疑惑事件に対する調査など、これまで民主党がやりたくてもやれなかった事に関して追求するチャンスが生まれます。
したがって、新年早々下院は次々に証人を下院の公聴会に召喚し、「政治ショー」を繰り広げると思います。
折からトランプ大統領に関しては、「『プレイボーイ』のプレイメイトやAV女優との不倫事件の揉消し工作に際して、選挙法に違反する資金の授受にトランプ本人が直々に関与したのではないか?」という疑惑が再燃しています。
つまりトランプ大統領は、新年から守勢に回ることを強いられるわけです。
先週、トランプ大統領は、ジェフ・セッションズ司法長官をクビにしました。司法省がロシア疑惑に対する調査を継続していることに、トランプ大統領が苛立っているからです。マシュー・ウィテカー司法長官代行がジェフ・セッションズの代りになりますが、「ロバート・ムラー特別捜査官が行っているロシア疑惑の捜査を早々に切り上げさせるのではないか?」と見られています。
ただ、ナンシー・ペロシは、トランプ大統領を弾劾し、罷免に追い込むところまではしたくないと考えています。せいぜいトランプにとって都合の悪いことを公聴会でどんどん暴き、2020年の大統領選挙で民主党の候補者が有利に選挙戦を戦えるように支援する程度の考えだと思います。
ナンシー・ペロシは、インフラストラクチャー法案を
「最後の花道」にして引退したい?
まだナンシー・ペロシは下院議長になったわけではありませんが、彼女が下院議長に決まった場合、必ずしも長く務めると決まったわけではなく、2020年で退くシナリオもあると思います。その場合、インフラストラクチャー法案がナンシー・ペロシの長い政治キャリアで最後の花道になるということです。
別の言い方をすれば、インフラストラクチャー法案が成立するために、ナンシー・ペロシはトランプ大統領を必要とするし、トランプ大統領も身辺のいろいろな疑惑に関し下院から手加減してもらおうと思えば、ナンシー・ペロシの顔色をうかがう以外にないのです。
こうした理由から、ロシア疑惑、プレイメイト疑惑の調査と並行して、来春、インフラストラクチャー法案がとんとん拍子に進んでゆくシナリオもありうるのです。
インフラストラクチャー法案の上程で
活気づく5つの関連銘柄
さて、いよいよインフラストラクチャー法案が上程されれば、関連銘柄が俄かに動意付くことが予想されます。具体的な銘柄としてはヴァルカン・マテリアルズ(ティッカーシンボル:VMC)、マーチン・マリエッタ・マテリアルズ(ティッカーシンボル:MLM)、グラナイト・コンストラクション(ティッカーシンボル:GVA)、ユナイテッド・レンタルズ(ティッカーシンボル:URI)、フルアー(ティッカーシンボル:FLR)などになります。
【※過去の「インフラストラクチャー法案」関連の記事はこちら!】
⇒トランプ大統領の「一般教書演説」で重大発表が!? 「大型インフラ投資計画」がぶち上げられた場合、値上がりが期待できる関連銘柄を3社紹介!
「ヴァルカン・マテリアルズ」
米国最大の建築国材業者
ヴァルカン・マテリアルズは、1909年に創業された米国最大の建設骨材の業者です。アメリカの地図を北と南の2つに分断した場合、下半分の地域だけで事業展開しています。
南部の建設市場は、北部より急成長しています。
建設骨材は、重くてかさばります。したがって、遠くへ運ぶほど運搬コストで不利になります。つまり、ローカルな供給拠点をどれだけ確保しているかが重要になるわけです。その点、ヴァルカン・マテリアルズは米国南部に圧倒的な拠点を確保しており、非常に有利です。
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「マーチン・マリエッタ・マテリアルズ」
M&Aで大きくなった建築骨材の大手
マーチン・マリエッタ・マテリアルズも建設骨材の大手で、テキサス・インダストリーズなどのライバルを買収して大きくなりました。
マーチン・マリエッタ・マテリアルズは、アメリカを東半分と西半分に二分した場合、主に東半分で操業しています。ただ、最近はM&Aによりコロラド州など西半分へも触手を伸ばしています。
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「グラナイト・コンストラクション」
高速道路や橋梁などの公共事業に強い建設会社
グラナイト・コンストラクションは、1922年に創業された公共工事に強い建設会社です。高速道路、橋梁、鉄道の敷設を得意としており、インフラストラクチャー法案で最も恩恵をこうむる銘柄のひとつだと考えられています。
グラナイト・コンストラクションの最近の主な施工実績としては、ノースカロライナ州のインターステート・ハイウエー建設、オハイオ州コロンバスのトンネル工事、テキサス州ヒューストンの高速鉄道建設、ニューヨーク州タリータウンのタッパンジー橋の架け替え工事などです。
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「ユナイテッド・レンタルズ」
全米で事業展開する建機レンタル会社
ユナイテッド・レンタルズは、建機レンタルの会社です。建機だけでなく、仮設資材、道路工事の標識など、建設工事にまつわる一切合財の必要品を貸し出しています。全米に事業展開しているので、どこで何が建設されようがユナイテッド・レンタルズに商売が回ってきます。
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「フルアー」
世界最大級のエンジニアリング会社
フルアーは世界最大級のエンジニアリング会社で、あらゆる種類の工事を請け負うことが出来ます。とりわけ、設計など付加価値の高い仕事を得意としています。
受注に際しては、いわゆる「コスト+フィー」方式で受注することを心がけており、コスト・オーバーランから来る倒産リスクを日頃から極小化することに努めています。
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【今週のまとめ】
来春からいよいよ動き出す
インストラクチャー法案の関連銘柄に注目!
中間選挙が終わり、下院は民主党が支配しました。しかし、トランプ大統領の掲げるインフラストラクチャー法案は、来年早々動き出すと考えられます。同法案はトランプ大統領だけでなく民主党も乗り気なので成立する可能性は十分にあります。
投資家としては、インフラストラクチャー法案の関連銘柄に注目しておくといいでしょう。
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