トランプ大統領が行う
一般教書演説に注目が集まる
1月30日(火)、ドナルド・トランプ大統領が一般教書演説を行います。一般教書演説とは大統領が上院・下院の議員に対して米国の現状と今後の課題について説明するスピーチを指します。
いまアメリカは景気が良いですし、去年の暮れに税制改革法案が成立したばかりなので、トランプ大統領は大いに気分を良くしていると思います。
その余勢を駆って、今回の一般教書演説では1.7兆ドルの大型インフラ投資計画を今回のスピーチの中でぶち上げると言われています。
トランプ大統領が推し進める
大型インフラ投資計画とは?
今回の大型インフラ投資計画では、老朽化が目に余るアメリカの高速道路、空港、高速鉄道、港湾施設、ダムなどを刷新することが提案されます。このような公共工事は、アメリカがずっと後回しにしてきたことですし、長期で見ればアメリカの競争力を高めることに寄与すると思われます。
ただ、細かい点では懸念点があります。
まず、1.7兆ドルの予算は「ポン!」と連邦政府が出すわけではありません。実際には、州政府が地方債(ミュニボンド)を発行して賄われることになると思います。
しかし、いまアメリカの州政府は、年金の積み立て不足の問題を抱えているところが多いです。だから、これ以上負担を増やしたくないと考えています。
そこで、州政府が「名前を貸す」カタチで表面的な発行体になるけれど、実際のリスクは民間企業や市町村が負うような債券を出すと予想されます。そのような債券を、私的活動債(PAB)と呼びます。
私的活動債は、高速道路通行料など、特定のプロジェクトから上がる収入を財源とします。そこには、民間企業も公民連携(PPP)というカタチで参画します。
地方債は、去年だけで4300億ドルも発行されており、これに今回の1.7兆ドルの大型インフラ投資のための発行が重なると需給関係を損ない資金調達コストが上昇する懸念があります。
また、公民連携(PPP)は、過去に不正の温床になる、不採算プロジェクトで落札業者が潰れるなど、とかく運営が難しい事で知られています。
このように、今週発表される大型インフラ投資計画はツッコミどころが色々あるのです。
しかし、大型インフラ投資計画がぶち上げられると、関連銘柄が一度は買われると考えるのが自然です。そこで今日は、それに関連する企業を挙げることにします。
【ヴァルカン・マテリアルズ】
米国南部で事業展開する全米最大の建設骨材の会社
ヴァルカン・マテリアルズ(ティッカーシンボル:VMC)は1909年に創業された全米最大の建設骨材の会社です。アメリカ合衆国の地図を横に真二つに分割したとき、下半分の地域、すなわち南部で事業展開しています。一般に、南部は北部より経済成長率が高いです。
建設骨材は重くてかさばるため、ローカルに調達するのがベストです。ヴァルカン・マテリアルズが南部に建設骨材調達ベースを築いているということは、南部においてはコスト面で他社より有利なことを意味します。また同社は、無尽蔵と言ってよいほど圧倒的なリザーブを抱えており、どのような需要の急増にも対応できます。
建設骨材の価格は強含んでおり、同社の2017年第3四半期の平均価格はトン当たり13.03ドルでした。これは前年同期比+26%です。
このヴァルカン・マテリアルズは、トランプ大型インフラ計画関連で私の一押し銘柄です。
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【USコンクリート】
アップル新本社の基礎工事にも関わったコンクリート会社
USコンクリート(ティッカーシンボル:USCR)はコンクリートの会社です。売上高の79%を生コンが、21%を建設骨材が占めています。
USコンクリートは、ニューヨーク(売上高の39%)、カリフォルニア(同24%)、テキサス(同9%)の3州を中心に操業しています。これらの州は、いずれも活発な建設市場です。
生コンは工場でミックスした後、ミキサー車で固まらないうちに建設現場まで運ばなければいけません。その関係で消費地に近いところに立地することが極めて重要になります。
商業・工業向け建設工事が売上高の57%を占め、住宅が26%、道路・公共工事が17%となっています。
USコンクリートは、アップルの新本社の基礎工事に対してコンクリートを提供しました。その他、現在進行中のプロジェクトとしては、テキサス州ダラスに建設中のフェイスブックのデータセンター、ニューヨークのラガーディア空港改良工事、シリコンバレーのグーグル・ベイビュー・キャンパス建設工事などを担当しています。
同社は、買収によりどんどん業容を拡大している関係で、2011年以降、売上高は年率平均+20.5%で急成長してきました。
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【グラナイト・コンストラクション】
政府からの公共事業を得意とする老舗の建設会社
グラナイト・コンストラクション(ティッカーシンボル:GVA)は、道路など公共工事の請負業者です。同社は1922年に創業された老舗で、高速道路、橋梁、鉄道の敷設などを得意としています。
主な施工実績としては、ノースカロライナ州のインターステート・ハイウェー建設、オハイオ州コロンバスのトンネル工事、テキサス州ヒューストンの高速道路建設、ニューヨーク州タリータウンのタッパンジー橋架け替え工事などです。
グラナイト・コンストラクションの受注の大半は、政府が施主です。
2016年の売上高は25.1億ドル、前年比+6.1%でした。また2017年第3四半期の時点での受注残は、42.3億ドルでした。
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【今週のまとめ】
トランプ大統領の一般教書演説を見越して
インフラ投資計画関連の3銘柄で勝負しよう!
今週火曜日のトランプ大統領の一般教書演説では、1.7兆ドルの大型インフラ投資計画が注目を浴びるでしょう。その財源や公民連携というプロジェクト形態を巡って、色々懐疑論も出ています。
しかし、これがぶち上げられれば関連銘柄が一度は相場になると考えるのが自然でしょう。ヴァルカン・マテリアルズ、USコンクリート、グラナイト・コンストラクションの3銘柄で勝負したいと思います。
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