ファーウェイ・テクノロジーズに対する
米国の輸出規制が発表される
先週5月15日、米国商務省は中国のファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei Technologies:華為技術)に対する輸出規制を発表しました。これは、アメリカが中国のハイテク企業に対し「鉄のカーテン」を下ろそうとするような行為です。
ファーウェイは、1987年に中国の深センに設立されたネットワーク機器メーカーで、スマホ、PC、タブレット、スイッチ、ルーター、ストレージなどを作っています。世界170か国で事業展開しており、米国のシスコ・システムズや韓国のサムスンなどのライバルです。
ファーウェイに対する米国の“意地悪”は
今回が初めてではない
アメリカのファーウェイに対する“意地悪”は、去年から始まっていました。
2018年12月1日、ファーウェイの孟晩舟財務部長が、アメリカの要請によりカナダのバンクーバーで当局に拘束されました。彼女の身柄はアメリカに引き渡され、そこで裁判にかけられることになると思います。身柄拘束の理由は、ファーウェイがイランへの経済制裁に協力せず、虚偽の申告をして取引を行ったことです。
孟晩舟財務部長はファーウェイ・テクノロジーズの副会長であり、ファーウェイの創業者、任正非の娘でもあります。
米国からの輸出規制が
ファーウェイに与える影響は大きい
アメリカの半導体メーカーならびにデザイン・ソフトウェア企業は、年間100億ドルにものぼる部品やサービスをファーウェイに対し納入しています。
ファーウェイと商売している92社の部品サプライヤーのうち、33社はアメリカ企業です。つまりファーウェイは、中核部品の少なからぬ部分をアメリカに依存しているのです。
中国は「中国製造2025」という国家目標の下、イノベーションによってリードされる経済へと体質改善してゆく方針を打ち出しています。次世代通信インフラである「5G」は、その重要なプロジェクトのひとつです。
しかし、5Gを実現するためのいろいろなコア技術を考えた場合、現在の中国には「歯抜け」になっている部分が散見されます。具体的に言うと、5Gの実現には下のようなコンピタンスの動員が必要となります。
1)半導体デザイン
2)RFフロント・エンド
3)半導体製造
4)スマホなどのデバイス
5)ネットワーク・インフラストラクチャ
ファーウェイは、これらのうち1)、4)、5)を自社で行っています。しかし、2)と3)に関しては自社では行っておらず、中国国内に実力あるサプライヤーもありません。
2)に強い企業は、ブロードコム(ティッカーシンボル:AVGO)、村田製作所(コード:6981、日本)、クアルコム(ティッカーシンボル:QCOM)、スカイワークス・ソリューションズ(ティッカーシンボル:SWKS)が挙げられます。また、3)に関しては、TSMC(台湾)、サムスン(韓国)、インテル(ティッカーシンボル:INTC)などに依存しています。
つまり中国は、アメリカから一切部品供給を断たれた場合、独力で5Gを構築するのが現状では困難なのです。だから、これから急いでそれらの製品の内製化を進める必要があります。
ファーウェイへの輸出規制により
株価急落のリスクが出てきた米国企業も!
今回、米国商務省が発表した規制では、米国企業がファーウェイに部品を提供しようとする場合、まず政府から許可を得ることが必要となります。これにより、次のような米国企業が影響を受けることになります。
◆ネオフォトニクス(ティッカーシンボル:NPTN)
ネオフォトニクス(ティッカーシンボル:NPTN)は、トランスミッター、レシーバー、スイッチなどの光学・エレクトロニクス部品メーカーです。ネオフォトニクスの製品は、100G/200G/400G/600Gの通信ネットワークを実現するのに不可欠で、データセンターや通信会社に納入されるネットワーク機器に組み込まれます。特にファーウェイとの取引が売上高に占める割合は46%と高く、今回の輸出規制の影響を大きく受けます。
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◆ルメンタム(ティッカーシンボル:LITE)
ルメンタム(ティッカーシンボル:LITE)は、光学トランスミッション部品やレーザー部品を作っています。売上高の38%が通信会社、12%がデータセンター、35%が消費者・工業向け製品です。ファーウェイが売上高に占める割合は11%です。
⇒ルメンタムの最新株価・チャートはこちら!
◆インファイ(ティッカーシンボル:IPHI)
インファイ(ティッカーシンボル:IPHI)は、高速アナログ/ミックスト・シグナル半導体デザイン会社です。インファイの半導体は、帯域幅ボトルネックを解消し、レイテンシー(遅延)を最小化するために使用されます。ファーウェイが売上高の14%を占めています。
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◆コーボ(ティッカーシンボル:QRVO)
コーボ(ティッカーシンボル:QRVO)は化合物半導体メーカーで、ガリウムひ素などに基づいた半導体を一貫生産しています。ガリウムひ素半導体がミサイルに代表される防衛関連産業で使用されることから、歴史的にコーボならびコーボ製品は、国策の見地から特別な扱いを受けてきました。ファーウェイが売上高の12%を占めており、ある意味、アメリカ政府が一番中国に渡したくない製品を作っている企業と言えます。
⇒コーボの最新株価・チャートはこちら!
◆スカイワークス・ソリューションズ(ティッカーシンボル:SWKS)
スカイワークス・ソリューションズ(ティッカーシンボル:SWKS)は、アンプ、チューナー、レシーバーなどのアナログ半導体を作っており、それらは携帯の基地局などで活躍しています。ファーウェイが売上高に占める割合は10%以上です。
⇒スカイワークス・ソリューションズの最新株価・チャートはこちら!
◆クアルコム(ティッカーシンボル:QCOM)
クアルコム(ティッカーシンボル:QCOM)は、スマホに使用されるCDMAチップを作っています。ファーウェイが売上高に占める割合は10%以下です。
⇒クアルコムの最新株価・チャートはこちら!
◆ザイリンクス(ティッカーシンボル:XLNX)
ザイリンクス(ティッカーシンボル:XLNX)は、FPGA(ソフトウェアでプログラムが可能な半導体)のデザイン会社です。ザイリンクスの半導体は、ネットワーク機器などに使用されます。ザイリンクスは、売上高の約半分を代理店経由で販売しているため、最終顧客の厳密なデータは取りにくいです。地域別では、日本を除くアジア太平洋が売上高の45%を占めています。
⇒ザイリンクスの最新株価・チャートはこちら!
このほかに、ネットワーク・テスターなどの検査・計測装置も輸出規制に引っ掛かることが懸念されます。
上記の企業のうちの一部は、「5G関連銘柄」として株式市場でもてはやされてきた人気株だけに、中国と商売できなくなると株価急落のリスクもあります。
ファーウェイの輸出規制の実施により
中国が米国製品のボイコットを打ち出す可能性も
さらに今回、米国がファーウェイに対し輸出規制を発表したことで、今後中国がアメリカ製品ボイコットを打ち出す可能性があります。
その場合は、アップル(ティッカーシンボル:AAPL)などのハイテク製品のみならず、スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)のようなハイテクに無縁なサービス業やブランドも巻き込まれる可能性があります。
【今週のまとめ】
ファーウェイへの輸出規制により、
投資家に対しても思わぬリスク・シナリオが出現!
米国商務省が、中国のファーウェイ・テクノロジーズに対し輸出規制を発表しました。アメリカの意図は、中国が5Gを完成することを邪魔する点にあります。
しかし、ファーウェイへの輸出規制を行うことで、ファーウェイと商売をしているアメリカの企業も大きなビジネスを失うリスクがあります。そのことは、「5G関連株なら堅いだろう」と高を括っている投資家にとって、思わぬリスク・シナリオが現れたことを意味します。
今後、この問題がどう転ぶか、細心の注意を払いたいと思います。
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