KOA(6999)は抵抗器で国内シェアを三分、車載向けが強み
KOA(6999)は、電気・電子回路に欠かせない抵抗器で世界有数のシェアを誇る企業です。抵抗器は電圧を分配したり、電流を一定に流したりする目的で使われます。抵抗器は、コンデンサやコイルなどとともに受動部品と言われます。同社の抵抗器のシェアは、国内ではローム(6963)やパナソニック(6752)と肩を並べてシェアを三分しています。同社の株価は2018年に2950円の高値をつけましたが、2月5日終値は1228円です。
KOAの特徴は、自動車向けが強いことです。以前は「ウォークマン」などのアナログオーディオ機器やパソコン向けが中心でしたが、過去20年の間に自動車向けを強化する戦略に大きく舵を切りました。厳しい環境で使われる自動車向けの抵抗器は高い信頼性が求められ、安かろう悪かろうでは通用しません。安く作るより、丁寧に作って品質を高める戦略をとったのです。アジア諸国と比べて人件費が比較的高い日本で生き残るための戦略でもありましたが、功を奏しました。現在、同社の売上げの約4割が自動車向けを占め、他の産業機器も含めると売上げの過半は高品質の抵抗器が占めます。
EVや自動運転の普及で抵抗器の需要は飛躍的に増加
今後、電気自動車(EV)や自動運転の普及に伴って、自動車向けの抵抗器の需要はますます高まることが予想されます。EVは電池やモーターなどから構成され、周辺には多くの回路が必要です。自動運転も、例えば、高速走行中に障害物を素早く認識して分析するには、通信速度や情報処理能力を格段に高める必要があり、大量の回路が必要になります。回路が増えるほど、必要な抵抗器は増えます。
1台の自動車にどれだけの抵抗器が搭載されるのでしょうか。同社によると、伝統的な内燃機関(エンジン)自動車の場合、1台に使われる厚膜抵抗器の数は約3000個とのこと。これがハイブリッド車になると約4700個の厚膜抵抗器が必要になり、エンジン車と比べて使用量は約1.5倍に増えます。EVでは約4000個の厚膜抵抗器が必要で、エンジン車と比べて使用量は約1.3倍に増えます。
短期業績は低迷も1年以内に底打ち、株価も上昇か
ハイブリット車やEVの普及や、自動車の電動化が進むことで、KOAをはじめとする受動部品メーカーは大きな恩恵を受けることが予想できます。自動車向けの電子部品の技術的課題は発熱で、熱に強い設計ができるかどうかが投資判断する上では重要です。KOAは単品売りではなく、ソリューション志向で顧客に対応しており、特に熱設計には力を入れています。こうしたことから、将来が楽しみな企業と考えています。
ただ、短期的な業績の見通しは、米中貿易摩擦等によるグローバル自動車販売の低迷で厳しいものがあります。需要の減退とモデルミックスの悪化で製品単価も厳しく利益は今期は急減しています。今後は需要が回復すれば、来期以降の業績は自動車販売の増勢を受けて1年以内に底打つと考えています。
(DFR投資助言者 山本潤)
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