今の日本株は「空売り」するな！冷静な判断でリスクを取っていこう

 とにかく強い相場が続いています。2月1日の日経平均は連日で昨年来高値を更新、週間ベースでは12週連続で上昇しました。1958年12月～59年4月の17週連続上昇以来、54年ぶりの長期連騰記録です。

 54年前は高度経済成長期の前半で「岩戸景気」と呼ばれる時期です。奇しくも、安倍晋三首相の祖父である岸信介氏が首相でした。東京タワーが完成、東海道新幹線の着工が決まり、経済成長率が2ケタに達した時期で「投資が投資を呼ぶ」といわれました。

 そして今、日本で深刻な問題になっているのが、この高度経済成長期に作られた大量のインフラが寿命・更新時期を迎えていることです。皮肉なことに、この老朽化したインフラの更新需要が、今後のわが国の景気を力強く支える見通しです。

 なんというか、祖父はインフラを新規に整備して経済を拡大させ、孫は祖父時代に作られた老朽化したインフラを更新させ、こちらも景気浮揚・経済拡大につなげる。時代のめぐり合わせを感じますねぇ。

成り上がり投資には空売りは必要なし

 それはともかく、売り方にとっては地獄のような相場が12週間続いています。私は、当コラムで、あなたが株式投資で成り上がりたいのなら、「ギャンブルはするな。空売りはするな。買いで勝負しろ」というアドバイスをしてきたつもりです。

 ここで再確認しておきたいのですが、確かに株式投資はギャンブル的な側面はありますが、ギャンブルとは全く違います。長々と説明しませんが、ギャンブルは絶対に「ゼロサム」です。しかし、株式投資は「プラスサム」がありえるのです。これがギャンブルと株式投資の絶対的な違いです。

 次に空売りの損益線は「利益限定・損失無限」です。一方、買いは「利益無限・損失限定」です。どちらの損益線に夢があるでしょうか。

 私は、圧倒的に、「買い」の損益線に魅力を感じます。なんたって、利益が無限なんですから（笑）また、相場格言でも、「買いは家まで、売りは命まで」というものもあります。

 なお、誤解のないように書いておきますが、私は空売りを否定するものではありません。下げ相場や、上げ相場の中での調整局面、ボックス・もみあい局面では、空売りを臨機応変に使うことは当然ありです。

 しかし、当コラムの題は、「最下層からの成り上がり投資術！」であり、今の手元資金はショボイし、株式投資に対するリテラシーは低い投資家が、株式投資で儲けて、金持ちに成り上がるための投資術・投資思考をご紹介しています。

 要するにいいたいことは、空売りは、あなたが金持ちになった後に、相場環境や必要に応じて、その便利な手法を活用すればよいでしょう。言い換えれば、あなたが成り上がって金持ちになるまで、空売りは封印です！！（笑）

 もう少し、踏み込んでいえば、空売りを好む投資家は理性的なタイプ・理屈好きなタイプが多いような気がします。空売りを嫌う投資家は、その逆です。そして、今のような上昇トレンドが発生すると、空売り派は理路整然と曲がり、踏み上げをくらうのです。

外国人の買いが一服するまで相場は天井を打たない

 ところで、確かに足元の日本株は、テクニカル上の過熱感は否めません。しかし、外国人投資家の買い意欲は強く、また、個人投資家、とりわけ、信用個人の手の内が良好なことに加え、ヘッジファンドを中心に、日本株を持たざるリスクが強く意識されているとみられるため、圧倒的に買い方有利の需給が継続しているのです。

 一方、当然のことながら売り方は総評価損状態になっているとみられ、今週以降も、評価損の膨張に耐えられなくなった売り方の買戻しが一巡するまでは、相場は天井を打ちそうにありません。

 とりわけ、外国人の日本株買いが一服しない限りは、売り方が枕を高くして、スヤスヤと眠ることはないでしょう。

 実際、1月第4週（21～25日）の投資部門別株式売買動向では、外国人は11週連続で買い越しました。11週連続の買い越しは11年12月～12年3月までの12週連続以来の長さです。この11週累計の買越額は2兆9581億円に達しました。

 さすがに目先は、外国人の買い越し金額の増加ペースは鈍るかもしれません。しかし、買い越し額が劇的に減少したり、あるいは、売り越しに転じない限り、東京株式市場の需給悪化はないでしょうね。

 一方、信用取引の評価損益率は1月25日申し込み時点でプラス5.23％と前週のマイナス1.81％から改善しました。評価損益率がプラスに転じたのは2006年1月以来、7年ぶりのことです。借金して株を買っている連中の評価損益率のプラスは、通常なら天井到達のサインのひとつです。

 しかしながら、1月以降、信用の規制緩和で、個人投資家は同じ担保をもとに1日に何度でも売買できるようになったため、従来の経験則が通用するかはなはだ疑問です。

信用の規制緩和がもたらした新世代デイトレーダーの誕生

 実際、今回の規制緩和を受け、デイトレーダーの存在感が大きくなっており、約1000万円の保証金を使って、1日の売買合計額が十数億円に膨らむ投資家が相次いでいるということです。

 ただし、彼らの多くは、その日のうちに売買を終結させることが多いため、信用買い残が積み上がり難く、将来の株式需給が悪化し難いとみられます。このため、「評価損益率プラス＝天井サイン」とは、安易に決め付けられそうもないのです。

 宵越しの株を持たず、リスク管理を徹底している彼らデイトレーダーに、凄まじい破壊力のある武器が与えられた結果、従来の経験則が通用しなくなったと考えておく必要があるでしょう。

 また、彼らデイトレーダーの資金が集中する銘柄群に関しては従来に比べボラティリティーが高まり、かつ、株価の一方通行に拍車が掛かった感じがしてなりません。

 例えば、1月29日、前場総じて堅調だったバイオ関連株に急落が相次ぎました。

いまはテクニカルを駆使して冷静に売買するべし

 具体的には、バイオ株の代表格のナノキャリア（4571）は、9時54分に48万円の高値を付け、前場は46.5万円引け。しかし、後場は12時40分の47.6万円を高値に急落。結局、前日比7万円（16.91％）安の34.4万円、ストップ安売り気配で取引を終えました。

 カイオム（4583）、ＵＭＮ（4585）、アンジェス（4563）、メディネット（2370）などのバイオの人気株も似たような動きとなりました。

 このバイオのナイアガラは、テクニカル的に過熱感が非常に強まっていたことに加え、「ｉＰＳ再生医療、承認制に 厚労省案、罰則付きで法規制」との一部報道が、嫌気・利食い売りのきっかけになったとの指摘もありました。

 なお、株式投資で成り上がりたいなら、あなたは高ボラを求めて、やはり彼らが集う銘柄を弄るべきです。しかし同時にテクニカルを駆使して冷静に売買しないとなりません。また、「しまったは手仕舞え」を厳格に行わないといけません。

 今の相場は、あなたが信頼すると考える、テクニカル指標を駆使して、リスク・テイカーになれば、成り上がるきっかけとなる種銭を十分つかめるだろうし、種銭を膨らませることが高い確率で可能だと思います。是非、がんばってください。

【※関連銘柄の株価チャートはこちら！】

◆ナノキャリア（4571）

◆カイオム・バイオサイエンス（4583）

◆UMNファーマ（4585）

◆アンジェス MG（4563）

◆メディネット（2370）