【今回のまとめ】
1.ツイッターは初値設定の範囲内の限り、割安だ
2.取引開始は11月6日か7日
3.成り行き買いは、しないこと
4.寄り付き後、最初の崩れを待て
米国株式市場は高値で伸び悩み
先週の米国株式市場は高値で伸び悩む商状でした。ダウ工業株価平均指数は+0.3%、S&P500 指数は+0.1%、ナスダック総合指数は-0.5%でした。
ツイッターの新規株式公開
さて、今週の目玉は、何と言ってもツイッター(ティッカーシンボル:TWTR)がニューヨーク証券取引所に上場されるイベントでしょう。
結論から言えば、初値レンジ(23から25ドル)の上限、つまり25ドルで取引が開始されるのであれば、ツイッターは「買い」だということです。
なぜなら時価総額を過去12カ月の売上高で割り算したPSR(Price to Sales Ratio)で見ると、ツイッターは最近新規株式公開されたネット企業の中で、けっして飛びぬけて割高な水準ではないからです。

ただ売上成長率を見るとツイッターは100%以上で成長しており、既に+60%程度に鈍化しているフェイスブックなどに比べるとまだまだ売上成長率には勢いがあります。
これはフェイスブックが満を持して、利益が出るようになってから株式を公開した事が影響しています。もちろん、利益が出ていることは良い事ですが、その半面、ユーザー・ベースの多さを売上高に結びつける努力(=これを業界用語でマネタイゼーションと言います)は既にかなり進捗しており、その分、「刈り取られていない収益機会」は少なくなってしまっていたわけです。
その点、ツイッターはまだまだマネタイゼーションの余地が大きいです。投資家は売上高成長率を最も重視します。その意味では(PSRでほぼ同じなら、より急成長が見込まれるツイッターを買った方が有利だ)と多くの投資家が判断するのは当然だと思います。
トレードに際しての注意点
ツイッターの新規株式公開の引受幹事団には、日本の証券会社の名前はありません。それは取引開始前、つまり売り出しの値段(=23ドルから25ドル)で日本の投資家がツイッター株を買う事は、たぶん出来ないということです。
するとツイッターの株を日本の投資家が買えるのは、同社株がニューヨーク証券取引所に上場された後ということになります。
問題はツイッターの前人気に比べて、今回売り出される株数(7000万株)が少なすぎる点です。

もし初値レンジの上限である25ドルで値決めされたとして、調達金額は17.5億ドルになります。これはアメリカのIPOとしては大きな規模になりますが、それでもフェイスブックの時と比べると、かなり金額が小さいです。すると上場初日に買い注文が殺到して、寄り付きの値段がべらぼうに高くなってしまうリスクがあるのです。
なお上場日はこれまで11月7日が予定されていましたが、前人気が高いため、主幹事のゴールドマン・サックスは予定より一日早く予約を締め切る意向のようです。このため、11月6日に取引が始まってしまう可能性が出てきました。
私が聞いているところでは、日本の証券会社は上場初日からツイッター株を取り扱い始めるところもあると聞いています(編集部注:SBI証券などで取り扱い予定)。
上場初日にトレードする際の注意点
ツイッター株を、皆さんが是非、上場初日にトレードしたいというのなら、どういう点に気をつけるべきでしょうか?
まず寄り付き前に成り行き注文を入れることだけは、避けて下さい。
これはどうしてかといえば、寄り付き値段がいくらになるかは、まったくの博打であり、誰にも予想できないからです。
今、仮に初値レンジの上限の25ドルで前夜に値決めされたとして、上場初日の初値が25ドルになる保証はありません。取引開始は30ドルかもしれないし、35ドルかもしれないし、40ドルかもしれないのです。言うまでも無く、高く寄り付くほど、ツイッターの割安感は消滅してしまいます。
個人投資家の場合、限られた投資資金で株式投資をするわけですから、値決め価格から計算して、ちゃんと予算の枠内に収まっていると思って成り行きの買い注文を入れても、初値がとんでもない高値だと、あっと言う間に予算オーバーになってしまうのです。
ニューヨーク証券取引所の寄り付きは現地朝9時半(日本時間の夜11時半)ですが、新規株式公開する銘柄の取引開始はそれより1時間前後、遅れるケースもあります。これは殺到する注文を整理するのに時間がかかるからです。
もし、どうしても夜遅くまで場況を見届ける事ができないのなら、たとえば「30ドルまで」という風にちゃんと指値を切って、注文を入れて下さい。これは「成り行き注文が出来てきたのを見たら、50ドルだった!」というような、パニックを避けるためです。
最初のダウンティックをしぶとく待て
私がツイッターの株を上場初日にトレードするなら、まず寄り付きは外します。仮に30ドル、あるいは35ドルで寄り付いたとしても、慌てず、様子を静観して下さい。
「早く買い注文を入れないと、逃げられてしまう!」と考えるのは、どの投資家も同じです。このような場合、機関投資家は何を考えているか? といえば、最初のダウンティック(=値段が下がる事)を注視しています。
どんなホットディールでも、「フリッパー(flippers)」と呼ばれる、目先筋は必ずいます。フライパン返しで、ハンバーグをひっくり返す(flip)ように、割り当てられた株を早々に処分する投資家が出て来るのです。
IPOが最初のダウンティックを見た瞬間に、フリッパーたちは我先に持ち株を処分に走ります。強気一辺倒だった株価が「ダダダダッ」と崩れるのは、そういう局面です。
腰の据わった大口機関投資家は、そういう目先筋の売り物が切れた瞬間をめがけて、買い注文を入れます。だから、初値がついて、その後、最初の崩れが来て、その値崩れが一巡した瞬間が、出動する最初のポイントになります。
予期せぬパターンに注意
さて、そう書くと極めて単純なのですが、実際には大型のIPOの場合、このセオリー通りに運ばないことも多いのです。
例えばフェイスブックのIPOの場合、ナスダックのシステムがパンクして、寄り付きが遅れました。投資家が一番嫌うのは、自分の入れた注文が「出来ているのか、出来てないのか?」わからない状況です。自分の手持ちのポジションが把握できない事ほど、投資家を不安に陥れる恐怖はありません。
このためフェイスブックのIPOの際には成り行き注文のキャンセルが殺到しました。その注文キャンセルが、さらにシステムの負荷を増大させ、混乱が混乱を呼んだのです。
可能性としては低いと思いますが、もしツイッターのIPOが値決め価格より低い値段で取引開始されたなら、ゼッタイに手を出してはいけません。公募価格割れに割安は無いのです。
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