【今回のまとめ】
1.ギリシャの国民投票が7月5日に設定された
2.切詰め疲れが出ているので、結果は予断を許さない
3.土壇場でトロイカから譲歩が出る可能性も
4.ギリシャの方が交渉は一枚上
5.相場は不安の壁を駆け上る
6.ユーフォリア的な買いが殺到したら、売り
ギリシャ政府が7月5日に国民投票を設定
ギリシャ政府が7月5日に国民投票を実施します。欧州委員会(EC)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)から成るトロイカから提案された救済条件を呑むべきかどうかを、直接国民に問うためです。
ギリシャ国民の間には切詰め疲れが出ている
今回、提示された条件には、一層の財政切詰め、年金のカット、増税などが含まれています。
2009年にギリシャの財政問題が発覚して以来、同国はずっと財政削減と増税に取り組んできました。下のグラフにみられるように、あと少しで財政は均衡するところまで来ています。

しかしギリシャの国民の間には「切詰め疲れ」が出ています。国民投票を実施すれば、たぶんトロイカの条件を呑み、EU残留を希望するという意見が勝つと思われますが、不満を持っている国民も多いので、予断を許しません。
欧州連合は国民投票が大嫌い
今回、ギリシャ政府が直接、この条件を呑むかどうか国民に問うのは、トロイカに対しプレッシャーをかける意味があります。
なぜなら欧州連合(EU)は国民投票が大嫌いだからです。
それぞれ国民性や言語の違う欧州の国々が、共通通貨を使用し、ひとつの経済圏を作るに際しては、高度な利害の調整が必要だし、各国の国民が、しぶしぶ譲歩している問題も数多くあります。それらの大半は、民意から少し距離を置いたところ、すなわちブリュッセルに集まった官僚たちの、高度に専門的で、政治的な駆け引きによって調整されているわけです。
だから、ひとつの国が国民投票をすると、それは連鎖的に他の国でも「わが国も国民投票を実施してEUに加盟し続ける意義を直接国民に問うべきだ」という世論の高まりを招き、場合によってはEUそのものが瓦解しかねません。
「イングランド銀行を破産させた男」のエピソードを思い出せ
実際、1992年に欧州各国で相次いで国民投票を実施する羽目に陥った際、市場に不安が走り、英国は欧州為替相場メカニズム(ERM)と呼ばれる為替変動幅を一定のレンジ内に抑え込む協定から脱退を余儀なくされました。ジョージ・ソロスはその時、ポンド売りを仕掛け、「イングランド銀行を破産させた男」という評判を取ったのです。
この時の苦い経験は、まだ欧州連合の関係者には鮮明に記憶されています。つまり土壇場で「対決は避けたい」という譲歩が、トロイカ側から出る可能性が高いのです。
IMFはすでに実質的な譲歩を余儀なくされている
譲歩の話をすれば、国際通貨基金(IMF)は、実質的に、もう譲歩を余儀なくされています。IMFは6月5日、12日、16日、19日に支払期限が来たギリシャの借金について「それは月末一括払いで良いです」と大目に見てきました。
しかし今回、ギリシャが7月5日に国民投票を設定したということは、6月30日の支払期限には当然、お金を払わないことを意味するので、これは本来であればデフォルトです。しかしIMFはすでに「6月末になっても支払が無かった場合でも、それはデフォルトとは認識しない。話し合いによって支払スケジュールを策定しなおす」と発表しています。
ギリシャは交渉上手であることを知っておく
われわれ投資家が理解しないといけないことは、ギリシャ政府は極めて交渉上手だという点です。
ギリシャのヤニス・バルファキス財務相は、「ナッシュ均衡」の理論を打ち立て、ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のジョン・ナッシュ教授と同じ、ゲーム理論の専門家であり、二人は研究を通じて交友関係を結んでいました。
ギリシャは小国であり、経済的にも行き詰っているから、駆け引きも洗練されていないに違いないという先入観を持つ市場関係者が多いですが、それは投資家の無知です。
ギリシャ問題が一件落着した後が重要
さて、交渉が行われている間は、欧州中央銀行やアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は市場を刺激するような発言は一切、控えると思います。
アメリカの格言に「相場は不安の壁を駆け上る」というのがありますが、むしろ懸念材料は、あった方が、相場は長持ちするのです。
むしろ怖いのは、ギリシャ問題が一件落着した後です。
なぜならギリシャ問題が片付けば、FRBは市場に対して利上げをシグナルし始めると予想されるからです。
米国株はギリシャ問題が解決したというニュースが出ると、ユーフォリア的な買いが入ると思われますが、そこがド天井になるリスクもあるのです。
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