2015年10月からの年金一元化で今までより不利になった公務員。定年も60歳のままでこれでは老後破産のリスクが高まってしまう。それを防ぐための4つの方法を紹介しよう。もちろん、サラリーマンだって使える方法だ。
保険の見直しで退職金の減額を補いつつ
投資も始めて継続し定年後も働き続ける!
老後破産を防ぐというとすぐ投資を思い浮かべる人も多いだろうが、ファイナンシャルプランナーで生活設計塾クルー取締役の深田晶恵さんは、それより先にやるべきことはあると言う。
【アクション1】保険を見直す!
遺族年金や公的健康保険といった社会保障に加えて、公務員は職場の保障が民間サラリーマンより恵まれている。しかし、外交員に勧められるまま、民間の保険に入りすぎて いるケースが多いという。「警察官で1億円の生命保険に入っている人も。心配しすぎなんですね」(深田さん)。月額 1万円程度のグループ保険で十分の公務員が多いという。 保険というコストを減らして身軽になり、その分を老後資金に回していこう。
「まずは保険の見直しです。公務員向けセミナーの講師をするようになって10年以上たちますが、ほとんどの公務員の方は保険に入りすぎです。共済組合の付加給付など、民間より職場の保障が充実しているのに、勧められるままに民間保険にどんどん入っています。職場で加入するグループ保険は、3000万円の死亡保障でも40代後半で保険料は1万円足らず。これだけで十分な人は多いです」(深田さん)
仮に40歳の人が保険料の支払いを月2万円少なくするだけで、60歳までに480万円となり、もし退職金が減額されてしまっても、それをカバーできるのだ。
【アクション2】貯蓄を増やす
保険の見直しで浮いたお金が出たり、子どもが大きくなって教育費がかからなくなった時は貯金を増やすチャンス、深田さんがいうところの「タメキ」だ。そこを逃さず貯蓄を増やして、老後の大波に備えよう。目安としては、現在40歳として「年間不足分×25年分+特別支出」(深田さん)。年間不足分が60万円なら25年分で1500万円。これに病気等の備えとして500万円程度。ざっくり2000万円ほどを目標に貯めていこう。
こうした浮いたお金を使わないで貯金を厚くすることも大切だ。
これに病気等の備えとして500万円程度。ざっくり2000万円ほどを目標に貯めていこう。
「子どもの教育費などで貯金が減る時期はいつかといった貯金残高の推移のイメージを持ち、中長期的な目標を立てましょう」(深田さん)
【アクション3】老後も働く
年金が支給される年齢が引き上げられたことで、2012年度以降に退職した公務員は、民間同様に、年金が支給されない期間が発生している。2026年度からは65歳になるまで無年金となる。これを受けて、政府は民間の再雇用にあたる再任用制度を充実させ、最大5年間働けるようにする方針だ。ぜひこの制度を活用しよう。そのためには健康に気を配るのと同時に、若手職員への気配りも大切。特に管理職だった人は偉ぶらないなどで嫌われないようにしたい。
また、公務員の定年は60歳。ただ、年金支給の開始年齢の引き上げで、2026年度からは65歳になるまで無年金となる。これを受けて、政府は民間の再雇用にあたる「再任用」制度を拡充する方針だ。定年後もできればフルタイムで働きたい。
【アクション4】投資を始める
退職金という大きなお金を手にすると、それまで投資について何の勉強もしてこなかった人ほど、ドカンと大きな勝負に出てしまい、結局大損する羽目になりがち。退職前から少額でチャレンジし、自分に向いた投資商品や投資法を見極めよう。NISAで始めるのもいいし、2017年からは税制面でより有利な個人型確定拠出年金(DC)も、公務員が利用できるようになる予定だ。こうした情報をこまめに収集・活用して、少しでも年金のマイナス部分を補おう。
もちろん投資も大きな自助努力になる。定年退職した人がいきなり大金を投じる、いわゆる「退職金運用病」に注意すべしという深田さんも「退職前から少しずつ練習しておくことは必要」と語る。若い人なら投資信託の積み立てを始めるなどで無理のない投資を始めてみよう。
2017年1月からは公務員も個人型確定拠出年金(DC)に加入できる見通しだ。NISAよりも税制のメリットが大きいDCは、定年に向けた資産形成に有利だ。
「老後も運用するなら、今が50歳でも30年ほどの時間があり、リスクをとって増やしにいける時間も増えます。DCはそのための効率的な器です」(後藤さん)
自分の老後のお金は自分で作る。こうした取り組みを1日でも早く始めて欲しい。
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