闇株新聞[2018年]

世界のヘッジファンドの年間投資収益率7年連続でインデックスファンドに大敗北!闇株新聞が解説する「ヘッジファンド」の今

2016年5月27日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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「ヘッジファンド」というと、世界の富裕層や年金基金から巨額の資金を集め、あらゆる商品に縦横無尽の売買を仕掛けて荒稼ぎしているイメージがあります。ところがここ数年は雲行きが怪しくなっている模様。金融・経済・政治などあらゆる闇を解説する刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、今どきのヘッジファンド事情を考察します。

なんでもアリのヘッジファンドが
インデックスファンドに負け続け!?

 市場全体が上がっても下がっても利益を上げる「絶対収益」を追及するヘッジファンドですが、リーマンショック後の2009年頃から収益が上がらず苦しむところが増えています。ヘッジファンド全体の投資収益率はこの7年間、株価指数「S&P500」にも大きく負け続けているのが実情です。

 昨年(2015年)も、「S&P500」の年間投資収益率がマイナス0.7%であったのに対し、ヘッジファンド全体のそれはマイナス1.0%と下回り、またも敗北を喫してしまいました。

 ヘッジファンドは顧客から、投資残高に対し平均年1.5%の「運用報酬」と、年間の運用益に対し平均20%の「成功報酬」を取っています。株価指数に連動するよう構成され、タダみたいな運用報酬しか取らないインデックスファンドETFにすら負け続けるのであれば、存在意義が疑われます。

 事実、世界のヘッジファンドには現在3兆ドルの運用残高がありますが、今年は初めてETFの運用残高に抜かれる見込みです。まあ成績がこのありさまでは致し方ないでしょう。

ヘッジファンド苦境でも豪快に稼ぐ!
高額所得ランキングに見るツワモノ達

 さて、米国のヘッジファンド専門誌『Absolute Return+Alpha』では、毎年この時期になると「ファンド主宰者の高額所得ランキング」を発表しています。あくまでも主宰者個人の所得ですが、彼らは結果に応じた報酬を受けており、当然ながらその金額はファンドの成績に連動します。

 ライバルたちが惨敗する中でも勝ちまくり、羽振りのよい主宰者は誰なのか? その顔ぶれから「ヘッジファンドの今」を紐解いてみましょう。

 2015年に高額所得ランキング1位の座に君臨した人物は、2人います。一人は「シタデル」のケネス・グリフィン氏であり、もう一人は「ルネッサンス・テクノロジー」のジェイムス・シモンズ氏。両者の昨年1年間の取得額はそれぞれ17億ドル(約1870億円/1ドル=110円で計算。以下同)でした。

ケネス・グリフィン氏は「シカゴの天才」の異名をとるファンドマネジャーで、2年連続のトップです。リーマンショックで大損失を被って以降、成功報酬を受け取らずにファンド価値の回復に努め、2013年にランキングに返り咲いた「律義者」です。氏の主宰する「シタデル」は前FRB議長バーナンキ氏がシニア・アドバイザーに就いていることでも知られています。

 余談ですが、グリフィン氏には3人の子供がいる夫人との間で、離婚騒動の真っ最中。氏の居住するイリノイ州では平均慰謝料・養育費が年収の32%だそうで、2015年も600億円ほどを召し上げられることにになりそうです。そうしたことも氏の仕事に邁進するエネルギーになっているのかもしれませんね。

 もう一人のトップ、ジェイムス・シモンズ氏はクォンツの雄「ルネッサンス・テクノロジー」の創業者であり、「天才数学者」とも称される人物です。氏は現在78歳でとっくに第一線を引退し、ファミリーマネーの運用だけ行なっているはずですが、それでも17億ドルを「稼いでしまった」ようです。

 「ルネッサンス・テクノロジー」は2015年の一時期、とつぜん日本の株式市場に現れ大暴れしたのですが、また静かになってしまいました。『闇株新聞』では2015年8月4日にその活動をご紹介する記事を書いていますが、はたして東京市場ではどれほどの荒稼ぎをしたのでしょうか?

シカゴの天才、数学者、ジャンクボンドの雄etc
トップ5のそうそうたる顔ぶれと「敗軍の将」たち

 3位には世界最大のヘッジファンドと言われる「ブリッジウォーター」のレイモンド・ダリオ氏と、ここ数年で3度も高額所得ランキング1位になっている「アパルーサ・マネジメント」のデビット・テッパー氏が、14億ドル(1540億円)で並びました。

 「ブリッジウォーター」はグローバルマクロの雄であり、「アパルーサ・マネジメント」はディストレスやジャンクボンドの雄ですから、まさに二人は「ヘッジファンドの両巨頭」と言えます。

 5位にはこれまでランキング上位に見かけなかった「ミレニアム・マネジメント」のイスラエル・イングランダー氏が11億ドル(1210億円)でランク入りしています。「ミレニアム・マネジメント」は1989年創業、全世界に1800人の従業員がおり、332億ドル(3兆5420億円)の資金を運用しています。販売を外部に委託してオーダーメイド型の運用を行っているようで、東京にも事務所があります。今後もっと注目しておく必要がありそうです。

 さて、勝者があれば敗者も生むのが相場の世界。2015年の運用成績が悲惨だったファンドに「グリーンライト・キャピタル」があります。主宰者はデビッド・アインホーン氏、アクティビストとして有名な人物です。同ファンドは株式のロング・ショート運用を行っていましたが、2015年は何と20%ものマイナスだったようです。

 ちなみにアインホーン氏の小型版が「サード・ポイント」のダニエル・ローブ氏です。最近もセブン&アイHDのクーデター劇で名前が出てきましたが、2015年の運用成績はやはりマイナスだったようです。

参考記事:「セブンイレブンの「育ての親」、鈴木敏文氏が引退したセブン&アイへの2つの懸念」(週刊闇株新聞 2016年4月21日公開)

 最後に、世界のヘッジファンドはほとんどがケイマン諸島やBVIやマン島など、オフショア金融センターを本籍地にしていることをつけ加えておきます。「パナマ文書」の影響で、そのうち「租税回避しているヘッジファンドもけしからん」という批判が出てくるかもしれませんね。

ヘッジファンドと聞いても多くの読者には「遠い存在」に思えるかも知れません。しかし、彼らは日本の株式市場・為替市場に歴然と存在し、日々売買を繰り返しています。いわば、皆さんと同じ土俵で戦っているライバルですから、その動向を知ることは必要ではないでしょうか。相場のプロも愛読し参考にしている刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では、ヘッジファンドの動向はもちろんほかでは読めないさまざまな情報を、独自の切り口から分析・発信しています。あなたの投資のセカンドオピニオンとして、ぜひ購読をご検討ください。

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