2018年は4.8%の成長見込みと
新興国経済が調子を取り戻している
新興国経済が調子を取り戻しています。国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」によると新興国経済は2017年が4.5%、2018年が4.8%で成長すると見られています。
新興国経済は2003年頃から、いわゆるBRICs(=ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字をとったもの)ブームで高度成長しました。
しかし、その後ブームが一巡したことに加え、新興国の経済成長と密接な関係がある世界の貿易量の成長が伸び悩んだことなどから、2011年以降はモタモタした展開でした。
しかし下の表のように、ここへきて世界の貿易量は力強くリバウンドする兆候を見せています。
ドナルド・トランプが大統領に当選したとき、「これでアメリカの経済成長は加速し、ドルも強くなる」と考えた投資家が多かったです。しかし、トランプ大統領は議会と協調することが下手で、彼の打ち出した成長戦略は、これまでのところことごとく法案成立までこぎつけることができず、不発に終わっています。それを受けて、貿易加重ドル指数も軟調です。
一般に、ドル安の局面では米国の投資資金は新興国に向かいやすいですし、海外からの資金流入は新興国経済の安定に寄与します。
大統領就任時、「新興国に対して厳しい態度を取るに違いない」と予想されていたトランプ政権ですが、実際に政権が始動してみると驚くほど弱腰で、新興国各国首脳や実業界はホッと胸をなでおろしています。
これらのことは、実業界や投資家の関心が再び新興国へと向かう可能性があることを示唆しています。
実際、先の第1四半期決算発表シーズンでも、新興国と関係の深い2つの機械メーカー、すなわちキャタピラー(ティッカーシンボル:CAT)とディーア(ティッカーシンボル:DE)が、久しぶりに良い決算を出し、投資家の注目を浴びました。
そこで今日はこれらの2銘柄を紹介します。
【キャタピラー】
新興国での売上げが増大した世界最大の建設機械メーカー
キャタピラーは、1925年に創業された世界最大の建設機械メーカーです。同社の2016年の売上高は385億ドルでした。
同社は建設、鉱業、石油・天然ガス産業向け機械を作っているほか、ディーゼル・エンジン、ガス・タービン、ディーゼル兼電気機関車なども作っています。
同社の売上高の57%は、海外です。
ここ数年の同社の業績は、中国経済の減速とそれに伴う資源の消費の鈍化で、鉱業を中心とした新規投資の絞り込みの影響をモロに受け、低迷していました。
しかし、4月末に発表された第1四半期決算では、EPSが予想63セントに対し1.28ドル、売上高が予想92.7億ドルに対し98.2億ドル、売上高成長率は前年比+3.8%と、ひさしぶりに予想を大きく上回りました。
売上高が伸びた原因は、販売数量の伸びです。なかでも、鉱山会社へのアフターマーケット部品の販売が好調でした。一方、エネルギー&運輸は微増、建設は横ばいでした。
地域別の売上高を見ると、アジア太平洋は、中国が好調で+12%でした。オーストラリアのアフターマーケット部品も好調でした。南米は+14%でした。北米は横ばいでした。つまり、新興国での成長が、好業績の大きな要因となっているのです。
2017年のEPSは予想3.26ドルに対し、新ガイダンス3.75ドルが提示されました。売上高は予想382.4億ドルに対し、新ガイダンス380から410億ドルが提示されました。
【ディーア】
世界最大の農業機械メーカーは、南米市場の売上げが回復
ディーアは、1837年に創業された世界最大の農業機械メーカーです。農業機械に加えて建設機械、芝刈り機なども作っています。2016年(同社の決算は10月末〆です)の売上高は266億ドルでした。
部門別売上高構成は、次の通りです。
上のパイチャートの中で「金融サービス」というのは、農業機械を割賦で販売するサービスを指します。一般に米国の農家は事業規模が大きく、資産の面からもキャッシュフローの面からも余裕のある農家が多いです。このためディーアの金融サービス部門の債権は、きわめて健全であると考えられています。
同社の売上高のうち、米国ならびにカナダが占める割合は63%です。
同社の過去3年の業績は、穀物市況の低迷で農家が農業機械の買い替えを見合わせたこと、南米を中心とする新興国経済の低迷などの影響でじり貧でした。しかしここへきて、同社の業績は持ち直す兆候を見せています。
先に発表された第2四半期(4月期)決算では、EPSが予想1.69ドルに対し2.14ドル、売上高が予想72.7億ドルに対し72.6億ドル、売上高成長率は前年比+2.2%でした。
地域別に見ると、米国カナダ売上高は-5%、海外は+14%でした。中でも、南米市場の回復が著しかったです。実質販売価格は+2%でした。一方、部門別売上構成では、建設機械が+7%でした。
第3四半期売上高は予想62.4億ドルに対し、新ガイダンス69.2億ドルが提示されました。
【今週のまとめ】
新興国関連で業績を伸ばす機械メーカーに要注目!
建設機械、農業機械の銘柄は、新興国経済の成長鈍化で長く低迷していました。しかしここへきて新興国経済は再加速する様相を呈しており、それに伴いこれらの機械メーカーの株も脚光を浴びています。
中でも、新興国と関係の深い機械メーカーで、先の決算でも好業績を発表したキャタピラーとディーアには注目です。
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示
【今週のピックアップ記事!】 | |
■ | 2017年の米国株式市場の値動きと上がる銘柄を予測! 米国株のプロ2人が注目する「3つのトピック」と、それらのトピックに関連する狙い目の銘柄を紹介! |
■ | 海外リート型の毎月分配型投資信託から大量の資金が流出する異常事態が発生中! 減配リスクが低く、安定分配が可能な毎月分配型投信を見分ける方法は? |
【※米国株を買うならこちらの記事もチェック!】
⇒米国株投資で注意が必要な「為替」と「税金」とは?「特定口座(源泉徴収あり)」か「NISA口座」で投資をして、口座内に「米ドル」を残さないのがポイント!
※証券や銀行の口座開設、クレジットカードの入会などを申し込む際には必ず各社のサイトをご確認ください。なお、当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。 |
【2024年11月1日時点】
「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社 |
◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ | |
米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
約4900銘柄 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)※買付時の為替手数料が無料/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
【マネックス証券のおすすめポイント】 外国株の取扱銘柄数はトップクラス! また、米国株の買付時の為替手数料が0円(売却時は1ドルあたり25銭)となるキャンペーンが長期継続しており、実質的な取引コストを抑えることができる。さらに、外国株取引口座に初回入金した日から20日間は、米国株取引手数料(税込)が最大3万円がキャッシュバックされる。米国ETFの中で「米国ETF買い放題プログラム」対象21銘柄は、実質手数料無料(キャッシュバック)で取引が可能。米国株の積立サービス「米国株定期買付サービス(毎月買付)」は25ドルから。コツコツ投資したい人に便利なサービス。米国株は、時間外取引に加え、店頭取引サービスもあり日本時間の日中でも売買できる。また、NISA口座なら、日本株の売買手数料が無料なのに加え、外国株の購入手数料も全額キャッシュバックされて実質無料! 企業分析機能も充実しており、一定の条件をクリアすれば、銘柄分析ツール「銘柄スカウター米国株」「銘柄スカウター中国株」が無料で利用できる。 |
|
【関連記事】 ◆【マネックス証券の特徴とおすすめポイントを解説】「単元未満株」の売買手数料の安さ&取扱銘柄の多さに加え、「米国株・中国株」の充実度も業界最強レベル! |
|
◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ | |
米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
約5300銘柄 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
【SBI証券のおすすめポイント】 ネット証券最大手のひとつだけあって、米国から中国、韓国、アセアン各国まで、外国株式のラインナップの広さはダントツ! 米国株は手数料が最低0米ドルから取引可能で、一部米国ETFは手数料無料で取引できる。また、2023年12月1日から米ドルの為替レートを「0円」に引き下げたので、取引コストがその分割安になった。さらにNISA口座なら米国株式の買付手数料が無料なので、取引コストを一切かけずにトレードできる。米国株を積立購入したい人には「米国株式・ETF定期買付サービス」が便利。また、米国株の信用取引も可能。さらに、リアルタイムの米国株価、48種類の米国指数および板情報を無料で閲覧できる点もメリットだ。米国企業情報のレポート「One Pager」、銘柄検索に使える「米国株式決算スケジュールページ」や「米国テーマ・キーワード検索」、上場予定銘柄を紹介する「IPOスピードキャッチ!(米国・中国)」など情報サービスも多彩。「SBI 証券 米国株アプリ」は「米国市場ランキング」「ビジュアル決算」「銘柄ニュース」などの機能が充実している。 |
|
【関連記事】 ◆【SBI証券の特徴とおすすめポイントを解説!】株式投資の売買手数料の安さは業界トップクラス! IPOや米国株、夜間取引など、商品・サービスも充実 ◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社! |
|
◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ | |
米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
約4750銘柄 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
【楽天証券おすすめポイント】 米国、中国(香港)、アセアン各国(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)と幅広い銘柄がそろっており、米国株の信用取引も利用可能! 指定の米国ETF15銘柄については買付手数料が無料で取引ができるのもお得。さらに、2023年12月からは米ドル⇔円の為替取引が完全無料! NISA口座なら米国株の売買手数料が0円(無料)なのもメリットだ。米国株の注文受付時間が土日、米国休場を含む日本時間の朝8時~翌朝6時と長いので、注文が出しやすいのもメリット。米国株式と米国株価指数のリアルタイム株価、さらに米国決算速報を無料で提供。ロイター配信の米国株個別銘柄ニュースが、すぐに日本語に自動翻訳されて配信されるのもメリット。米国株の積立投資も可能で、積立額は1回3000円からとお手軽。楽天ポイントを使っての買付もできる。銘柄探しには、財務指標やテクニカル分析などの複数条件から対象銘柄を検索できる「米国株スーパースクリーナー」が役に立つ。 |
|
【関連記事】 ◆【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実! ◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい! |
|
◆DMM.com証券(DMM株) ⇒詳細情報ページへ | |
米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
約2400銘柄 | 無料 |
【DMM.com証券おすすめポイント】 米国株の売買手数料が完全無料なので、取引コストに関しては割安! ただし、配当金が円に両替される際の為替スプレッドが1ドルあたり1円と高いので、配当狙いで長期保有する人は注意が必要だ。他社と違う点としては、外貨建ての口座がなく、売却時の代金や配当が自動的に米ドルから円に交換されること。米ドルで持っておきたい人には向かないが、すべて円で取引されるため初心者にとってはわかりやすいシステムと言えるだろう。また、米国株式と国内株式が同じ無料取引ツールで一元管理できるのもわかりやすい。米国株の情報として、米国株式コラムページを設置。ダウ・ジョーンズ社が発行する「バロンズ拾い読み」も掲載されている。 |
|
【関連記事】 ◆DMM.com証券「DMM株」は、売買手数料が安い!大手ネット証券との売買コスト比較から申込み方法、お得なキャンペーン情報まで「DMM株」を徹底解説! ◆【証券会社比較】DMM.com証券(DMM株)の「現物手数料」「信用取引コスト」から「取扱商品」、さらには「最新のキャンペーン情報」までまとめて紹介! |
|
【米国株の売買手数料がなんと0円!】 |
※ 本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。 |