発表されたばかりの今期(2018年3月期)の業績予想から算出した「理論株価」で、時価総額が大きな上位30銘柄の割安度を発表! トヨタやNTT、ソフトバンクなど、日本を代表する上場企業30銘柄のうち、もっとも割安な銘柄は?
6月前半、日経平均株価が2万円を回復し、株式市場への関心が高まってきた。ちょうどこの時期は3月決算企業の前期の結果と今期の予想が更新される時期で、それに基づいて算出される「理論株価」も大きく変動するタイミング。発売中のダイヤモンド・ザイでは「上場全3648銘柄の最新理論株価」を公開しており、上場企業の株価が「割安」なのか「割高」なのかを判断できるので注目だ。今回はダイヤモンド・ザイに掲載中の「最新理論株価」のデータから、上場企業全3648銘柄の中でも、関心が高い時価総額上位30銘柄の「最新理論株価」と「割安度」を紹介! 日本を代表する大企業の中で、割安度が高い銘柄をチェックしよう!
メガバンク3行やゆうちょ銀など
金融株の割安度が高い!
株は割安なときに買って値上がりしたら売るのが基本。ただし、割安かどうかを判断するのが難しい。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などで判断することもできるが、過去のデータやライバル企業と比較する必要があり、それらの数字だけでは判断ができないのだ。そこで役に立つのがダイヤモンド・ザイの「理論株価」だ。実際の株価が理論株価より安ければ割安、実際の株価が理論株価より高ければ割高という具合に、簡単に割安株を発見することができる。
ダイヤモンド・ザイでは上場全3648銘柄の理論株価を掲載しているが、多くの人が気になるのは時価総額(株価×株数、数字が大きいほど企業価値が高いことを示す)が大きい日本を代表する銘柄だろう。今回は、その時価総額ランキング上位30銘柄の「割安度」をお見せしよう。
◆時価総額ランキング上位30銘柄の理論株価と割安度 | |||||
会社名 | 株価(6/5) | 理論株価 | 割安度 | 最新の株価 | |
1位 | トヨタ自動車(7203) | 5968円 | 8455円 | 29%割安 | |
2位 | NTTドコモ (9437) | 2735円 | 3407円 | 20%割安 | |
3位 | 三菱UFJFG (8306) | 711.5円 | 1534円 | 54%割安 | |
4位 | ソフトバンクグループ(9984) | 9135円 | 1万1140円 | 18%割安 | |
5位 | JT(2914) | 4183円 | 2049円 | 104%割高 | |
6位 | KDDI(9433) | 3073円 | 4140円 | 26%割安 | |
7位 | 三井住友FG (8316) | 4121円 | 1万220円 | 60%割安 | |
8位 | ゆうちょ銀行 (7182) | 1398円 | 3086円 | 55%割安 | |
9位 | 日本郵政(6178) | 1364円 | 3892円 | 65%割安 | |
10位 | キーエンス(6861 ) | 5万1790円 | - | - | |
会社名 | 株価(6/5) | 理論株価 | 割安度 | 最新の株価 | |
11位 | ソニー(6758) | 4174円 | 4423円 | 6%割安 | |
12位 | ホンダ(7267) | 3117円 | 5999円 | 48%割安 | |
13位 | キヤノン(7751) | 3943円 | 4328円 | 9%割安 | |
14位 | みずほFG(8411) | 197円 | 496円 | 60%割安 | |
15位 | 任天堂(7974) | 3万4570円 | 1万5431円 | 124%割高 | |
16位 | 武田薬品工業 (4502) | 5806円 | 3723円 | 56%割高 | |
17位 | ファナック (6954) | 2万2345円 | 1万2405円 | 80%割高 | |
18位 | 信越化学工業 (4063) | 1万240 | 8651円 | 18%割高 | |
19位 | セブン&アイHD(3382 ) | 4815円 | 4668円 | 3%割高 | |
20位 | 日産自動車(7201 ) | 1080円 | 1998円 | 46%割安 | |
会社名 | 株価(6/5) | 理論株価 | 割安度 | 最新の株価 | |
21位 | 東日本旅客鉄道 (9020) | 1万960円 | 1万3109円 | 16%割安 | |
22位 | ファーストリテイ リング(9983) | 3万8120円 | 1万4185円 | 169%割高 | |
23位 | パナソニック(6752) | 1470.5円 | 1368円 | 7%割高 | |
24位 | 村田製作所(6981) | 1万6010円 | 1万4197円 | 13%割高 | |
25位 | ブリヂストン (5108) | 4843円 | 5461円 | 11%割安 | |
26位 | デンソー(6902 ) | 4831円 | 6398円 | 24%割安 | |
27位 | 東京海上HD(8766) | 4864円 | 6946円 | 30%割安 | |
28位 | 東海旅客鉄道 (9022) | 1万8685円 | 2万6833円 | 30%割安 | |
29位 | 三菱商事(8058) | 2235.5円 | 5780円 | 61%割安 | |
30位 | 日本電信電話 (9432) | 5347円 | 1万60円 | 47%割安 | |
※株価、時価総額ランキングは2017年6月5日時点。 |
時価総額ランキング上位30銘柄のうち、理論株価と比較して割安な銘柄は20銘柄もあった。もっとも割安な銘柄は、時価総額ランキング9位の「日本郵政(6178)」。買収した海外物流会社の減損が響き、前期は2007年の民営化して以来、初めての最終赤字となった。ただ、今期は子会社の「ゆうちょ銀(7182)」が利益を押し上げ、物流も回復するとして、微減収ながら最終利益は4000億円の黒字に転換すると見込んでいる。野村不動産HDの買収が白紙になり、成長戦略に不透明感が漂うものの、これを受けて理論株価は前回(2017年5月号)の3818円から若干上昇した。
次に割安な銘柄は、時価総額ランキング29位の「三菱商事(8058)」。今期は9%増収・2%最終増益を計画、理論株価は前回の4673円から大幅にアップした。実際の株価は2月中旬以降は下落基調だったが、5月末に底打ち、6月からは次第に回復に向かっている。以下、割安な銘柄には「みずほフィナンシャルグループ(8411)」や「三井住友フィナンシャルグループ(8316)」などの銀行株、「ホンダ(7267)」や「日産自動車(7201)」などの自動車関連株、「日本電信電話(9432)」や「KDDI(9433)」、「NTTドコモ(9437)」などの情報・通信株などが並ぶ。
ソニーは前回の割高から割安に転換!
JTや任天堂、ファーストリテイリングは超割高!
今日の結果でもっとも注目したいのは「ソニー(6758)」。前回は実際の株価が理論株価に対して割高だったが、今回は割安に転換した。
同社は前々期、2期ぶりに最終黒字に復帰したが、前期は3度も下方修正を出した。当然、理論株価も下方修正のたびに低下し、前回(2017年3月発売号、株価は3月3日時点)では実際の株価が3602円に対して理論株価は2606円で、38%も割高となっていた。

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しかし、今期は最終利益が前期比3.5倍に拡大すると会社は予想している。業績予想の発表を受けて実際の株価は上昇してきたが、理論株価はそれを上回る上昇となり、割安に転換。つまり、「ソニー」にはお買い得サインが点灯中というわけだ。
「ソニー」同様、今回の理論株価の算出で割高から割安に転換して、お買い得になっている銘柄は全上場企業3648銘柄のうち165銘柄にのぼる。ダイヤモンド・ザイではそうした銘柄のコードの前に「転」マークを付けているので、ぜひ本誌で確かめてほしい。
一方、時価総額ランキング上位30銘柄で理論株価に対して割高な銘柄は、「セブン&アイ・ホールディングス(3382)」、「パナソニック(6752)」、「村田製作所(6981)」など10銘柄。なかでも「JT(2914)」、「任天堂(7974)」、「ファーストリテイリング(9983)」の3銘柄は割高度が100%以上、つまり実際の株価が理論株価の倍以上になっており、実力以上に買われすぎていると考えられる。なお、時価総額では上位30銘柄に入る「キーエンス(6861)」は、前期が9カ月の変則決算のため、今回の理論株価は不算出となった。
理論株価の算出方法は?
最後になったが、理論株価の算出方法を紹介しよう。理論株価はその株の成長価値(予想1株益に将来の想定成長率を掛けて算出)と利益価値(予想1株益に将来利益の織り込み年数を掛けて算出)、そして資産価値(直近の1株純資産)を合計したもの。つまり、業績と財務のデータから算出している。
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