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米国の老舗百貨店「メーシーズ」の決算発表に注目!
アマゾンに押されて低迷中だが、ネット戦略の強化と
コア顧客拡大に成功すれば、業績挽回は十分に可能!

2017年8月7日公開(2017年11月30日更新)
広瀬 隆雄
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老舗百貨店のメーシーズは
売上げトレンドが低迷中

 メーシーズ(ティカーシンボル:M)は米国を代表する老舗百貨店です。毎年、アメリカ人の2人に1人がメーシーズでショッピングします。しかし、同社は近年、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)から激しい攻勢に晒されており、顧客を奪われています。

 下は既存店売上比較のチャートです。

 最近になるほど、売上トレンドが低迷していることがわかります。

低迷中のメーシーズだが
企業としての足腰はまだまだ強い

 このように苦戦を強いられているメーシーズですが、同社の業績は再起不能なほど悪化していません。

 まず、メーシーズのグロスマージンは39.4%あり、利幅は健全です。

 次に、2016年の投下資本利益率(ROIC)は18.5%で、百貨店のグループの中では最高でした。

 過去5年の年間営業キャッシュフローは、平均して14.8億ドルを稼ぎ出しており、安定しています。

 下は、同社の一株当たりの業績のチャートです。

 こうした財務的な健全さに加え、メーシーズは、老舗百貨店としてアメリカ人や海外からの観光客に愛され続けています。つまりブランド・イメージは傾いていないのです。

 メーシーズが信頼できるイメージを維持する理由はマーチャンダイジングにあります。つまり商品を選別する目が鋭く、「メーシーズに行けば、自分のイメージしている商品が見つかる」と消費者は考えているのです。

 その証拠に、婦人服、ドレス、ジュエリー、腕時計、ハンドバッグ、香水、紳士服、カバンなどのカテゴリーで、メーシーズは全米No.1ないしはNo.2の売上高を上げています。

 なお、同社の売上構成は次のようになっています。

 さらにメーシーズは、「メーシーズでしか手に入らない」独自ブランドを展開しています。

 つまり経営改革の出発点として、このような財務力、ブランド力は、決して悪くないポジションだということです。

メーシーズの弱点は
SALEの乱発やデジタル戦略の弱さ

 それでは逆にメーシーズがダメなところはどこでしょう?

 まず、商品の価格設定が複雑で、値引きSALEの乱発が混乱を招く傾向があります。それは価値提案がぼやける問題を生じています。また、メーシーズのデジタル戦略は百貨店の中では比較的進んでいる方ですが、実店舗とネットの連係プレーが、まだ悪いです。

 メーシーズは、全米のトップクラスのショッピングモールの72%に出店しており、しかもモール内のロケーションという点でも、最高のところに位置しています。ただ、出店数がいささか多すぎるので、隣接する商圏の店舗同士の食い合いが見られます。

メーシーズの巻き返し戦略は
コア層の強化と拡大

 以上を踏まえた上で、メーシーズは次のような巻き返し戦略を打ち出しています。

 まず、店舗数を適正な水準まで絞り込む計画です。

 つぎにデジタル戦略では、上得意の常連客の購買行動をつぶさにモニターし、コアなファンをだんだん拡大してゆく戦略を採ります。具体的にはメーシーズでショッピングする顧客のうち、最もひんぱんにメーシーズを訪れる上位9%の得意客は、平均して1年で18回メーシーズでショッピングし、1人当たり2010ドルの買い物をします。これは同社の売上高の46%に相当します。

 つまり、このコアのファンをがっちり掴み、さらにこのコア層を徐々に拡大してゆくことが、メーシーズにとって最も効率的なのです。

【今週のまとめ】
業績挽回を図るメーシーズは
今週8月10日に決算発表!

 メーシーズは、このところ既存店売上比較の数字を大きく落としています。アマゾンからの攻勢がその主な理由です。

 しかし、メーシーズは財務力がありブランド・イメージも損なわれていないため、挽回のチャンスがあると思われます。消費者を混乱に陥れる、無秩序なSALEを控え、デジタル戦略によりコアなファンを拡大してゆくことで業績挽回を図るつもりです。

 なお、同社の第2四半期決算は、2017年8月10日(木)寄付き前に発表される予定です。コンセンサス予想はEPSが46セント、売上高が55.2億ドルです。

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