ひとり勝ちの様相を呈していたアメリカ経済だが
今後は景気後退が予想される
先週、アップルの利益警告をきっかけにドルが急落する局面がありました。1月中旬から、米国では2018年第4四半期の決算発表シーズンに入ってゆきますが、アップル同様、これから悪い決算を発表する企業が相次ぐことが予想されます。
アメリカ経済は、2018年を通じて「ひとり勝ち」の様相を呈していましたが、ここへきてその相対的な優位は揺らいでおり、先週金曜日の非農業部門雇用者数の数字は強かったものの、全体的な流れとしては今後景気後退に向かって不安な展開が続くと予想されます。
一方、米中貿易戦争のもうひとつの当事者である中国も経済の減速が著しいです。また中国で生産された商品がアメリカへ輸出される場合、それは関税の対象となるリスクが高まっていますので、世界のメーカーは中国からそれ以外の地域への生産拠点のリロケーションを考え始めています。
このような状況は、投資先としてベトナム株が見直される好機だと思います。なぜなら、ドル安局面では新興国株式が選好される傾向がありますし、ベトナムは中国からのリロケーション先として好適だからです。
投資先として見直されるベトナムは、
GDPが順調に推移し、海外からの直接投資の流入も高水準
ベトナムのVN指数は、2018年4月の高値1211.34から大きく調整し、現在880.90となっています。
ベトナムに投資する方法として一番便利なのは、ヴァンエック・ベクトル・ベトナムETF(ティッカーシンボル:VNM)を買うというやり方だと思います。このETFは、ニューヨークに上場されており、普通の米国株を買うのと同じ方法で購入することが出来ます。 組入れ上位のセクターは、不動産(28%)、消費安定(16.9%)、金融(15.6%)、消費循環(11.5%)などとなっています。
ベトナム社会主義共和国は、人口9,466万人で都市部人口は全体の36%、農村人口が64%となっています。ちょうど。かつて中国が経験したのと同様、農村から都市部への人口の流入が経済成長を押し上げるという構造になっています。労働人口は若いです。
国土の面積は約33万平方キロメートルで、ちょうど日本から九州を除いたくらいの広さです。人種的にはキン族が全体の9割を占めています。
1986年に始まった市場経済への積極的な移行で、ベトナムは急速な成長を遂げています。1人当たりGDPは、下のチャートのように伸びています。
またGDP成長率は、近年、安定して高水準を保っています。
第4四半期のGDP成長率は7.31%でした。この経済成長は、所得の伸びに裏打ちされた消費主導型の経済成長と形容することができます。
次にインフレ率ですが、こちらも安定的に推移しています。
11月の消費者物価指数は2.98%でした。失業率は2.2%と極めて低いです。生産性は順調に向上しています。
この他、金利ならびに為替の安定、国内での起業が盛んなこと、銀行のバランスシートが強固なこと、経常黒字がGDPの2.7%に達している事(2017年)、海外からの直接投資の流入が高水準であることなど、同国の経済を巡る条件は良好です。
ベトナムの課題は、金利政策の引き締めや
政府系企業と政府系商業銀行の改革
ベトナムの課題としては、まず金利政策が緩すぎるので、もう少し引き締める必要があると思います。過度の信用成長も抑制する必要があります。
さらに、外国からの資本流入が多額なので、それが激しく変動した場合、ショックに弱いです。外貨準備はやや不足していると言えます。
政府系商業銀行(SOCBs)の資本再構成も急務です。また、ベトナムは昔から非効率で競争力の無い政府系企業がのさばり過ぎており、政府系企業(SOEs)の改革が望まれます。
外国人株式保有制限の一層の緩和も必要です。また、同国のインフラストラクチャは弱いです。
【今週のまとめ】
安定的に成長を続けるベトナム市場に
世界中の投資家が注目している!
ドル安局面では、世界の投資家は新興国株式に注目します。米中貿易戦争が中国経済に影を落とす中、中国に代わる加工輸出拠点としてベトナムが脚光を浴びています。
ベトナムの経済のファンダメンタルズは強く、近年は極めて安定的に成長してきました。強いて言えば、政府系企業や政府系商業銀行の改革を押し進めてゆく必要があります。
ベトナムに投資するにはニューヨーク市場に上場されているヴァンエック・ベクトル・ベトナムETF(ティッカーシンボル:VNM)が便利だと思います。
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