【今回のまとめ】
1．イタリア株式市場の健闘が目立つ
2．ギリシャ危機の際、イタリアも問題国に括られた
3．均衡財政、ドイツとの貿易で経済の立て直し
4．投資に際してはアイシェアーズMSCIイタリアETFが便利
世界主要株式市場の年初来パフォーマンス
世界の主な株式市場の年初来パフォーマンスを見るとイタリア株式市場の健闘が目立ちます。
そこで今日はイタリア株式市場の近況について紹介します。
ギリシャ危機とイタリア
2009年末にギリシャの選挙で誕生した新政権が「帳簿を調べてみたら、前の政府が放漫な財政運営をしていたのが発覚した！」と発表しました。
これがいわゆるギリシャ危機の発端です。
それをきっかけとして、財政的に不健全と思われる欧州各国の国債は軒並み売られました。イタリアの場合、政府負債がGDPに占める比率が高いので「イタリアも危ない」とみなされ、「PIIGS諸国（ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン）」という問題国のグループの中に含まれてしまいました。
局面打開
しかしドイツが中心となって南欧諸国を財政的に支援したこと、欧州中央銀行（ECB）のマリオ・ドラギ総裁が緩和策を打ち出したことなどにより、最悪の局面は過ぎました。
それを反映してイタリア、スペインの国債利回りはドイツに近づいています。
上のチャートのように債券の利回りが低下するということは、債券価格は上昇していることを意味します。
イタリアはなぜ立ち直れた？
政府の借金の残高が多いことを除けば、イタリアの構造的財政収支は均衡しています。
つまり皆が考えるほど不健全ではないのです。
イタリアの主な貿易パートナーはドイツとフランスです。
欧州財政危機の期間を通じて、ドイツはヨーロッパを何とか支えてきました。そのドイツに寄り添うようなカタチで、イタリアも健康を回復してきたわけです。
GDPの変化率で言えばイタリアの方がドイツ、フランスより急改善しています。
つまり最近のイタリア株式市場の好調は、このへんのところを評価しているに違いないのです。
今後のイタリアの課題
もちろん、細かい注文をつければ、イタリアが改善すべき点は多いです。例えばサービス業の労働生産性の低さです。
また、イタリアは家族経営の会社が多く、家内工業のような零細な規模のビジネスが経済全体に占める割合が高いです。
これは職人芸を尊ぶ同国の伝統とも関連することですので、いちがいに悪いとは言い切れません。
ただ同族経営でコネがないと就職できないなど、旧習を打破しにくいビジネス環境と言えます。
イタリア株を買うには？
イタリアに投資する、いちばん便利な方法はアイシェアーズMSCIイタリアETF（ティッカーシンボル：EWI）を買うやり方です。同ETFの主な組み込み銘柄は下のグラフのようになっています。
業種別で言えば、金融とエネルギーが大きいです。
イタリア株式市場はようやく長期下降トレンドから脱したばかりです。
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