闇株新聞[2018年]

EU離脱を問うイギリス国民投票目前!
あの波乱相場の仕掛け人・ソロスが投資を再開闇株新聞が聞く金融相場の不気味な足音・1

2016年6月16日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

雇用拡大・経済成長の減速が危惧される米国、英国のEU離脱懸念が現実となりつつある欧州、通貨下落と資金流出に歯止めがかからない中国、デフレ逆戻りの瀬戸際にある日本、etc. 各国は金融政策で景気後退を食い止めようとするも、余剰資金は株式市場に流れ込み株価は高値圏を維持している。市場に生じた歪みが徐々に膨らみギシギシと軋む。刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」は、相場の闇に鳴り響く不気味な音を聞き分けます。

ソロスを再び相場に駆り立てる大相場の予感
投資家は“その時”に向けた心の準備を

 あのジョージ・ソロスが投資の第一線に復帰したとの報が伝わってきました。伝説の「クォンタム・ファンド」を率い、1992年には英国政府の為替介入にポンド売りで対抗し、勝利した男です。

 御年85歳になったソロスは2011年に外部顧客から預かった資産を全て返却し、最近は自身と家族の資産だけを(と言っても300億ドル=3兆円以上ですが)運用していたはずでした。その彼が何かを嗅ぎ付け、腰を上げたのです。

 まず米国株の比重を減らし金(ゴールド)への投資を増やしているようです。また、人民元の空売りを仕掛けているとも噂されます。つまりは、世界の金融市場が大混乱に陥る時期が近づいていると感じているのでしょう。

 本紙は根拠薄弱な陰謀論を振り回すことを厳に謹んでおり、今回の記事もそういった類のものではありません。しかし、世界経済や金融市場にはここのところずっと「軋(き)しむ音」が聞こえおり、日に日に大きくなっています。

 それがどこから聞こえてくるのか、折れてしまった時にはどんな大混乱が起きるのか、何がそのきっかけになり、どうすれば被害を回避できるのか――を、真剣に考えておく時期に来ているような気がしています。

 ただ、即座に株や不動産が大暴落するとも考えていません。経験的にはこのような音が聞こえてからのほうが、市場が急伸することもあるからです。熱狂に踊らされ過大な資金を投じたり、大混乱に遭ってパニックに陥らないよう、心の準備をしておきたいものです。

その音はどこから聞こえてくるのか!?
闇株新聞が懸念する国債利回りの低下

 本紙が最も警戒すべきと見ている兆候は「世界的な国債利回りのさらなる低下」です。ここ数年の趨勢でもありますが、国債利回りを含む長短金利水準の低下は、先週さらに加速しました。

短期金利は金融政策を、長期金利はその国の経済見通しを反映するものと本紙は考えます。そしてもっと重要なことは、長期国債利回りは実体経済に“やや先行して”反応するはずであることです。

 世界的に金融緩和が実施されていますから、市場には余剰資金が溢れています。企業は余剰資金を事業への投資ではなく株主還元に回しています。そのため国債に比べ株式の相対的な投資妙味が増し、これから株価を押し上げる可能性があります。

参考:円高、株主還元につられた株高へ 雇用統計ショック以降の世界の株と為替はどうなる?(2016年6月10日公開記事)

 しかし、長期国債利回りに見られるように世界的に経済は減退傾向にありますから、事業の成長や収益増には期待できません。にもかかわらず投資資金が注ぎ込まれ株価が押し上げられるならば、それは正真正銘のバブルです。

 バブルだと懸念する市場参加者がいる限り、それは簡単には弾けません。何らかの外的要因で下落しても比較的短期間で値を戻し、そのことが安心感につながりさらに買いを集めてバブルが膨らんでいく構図です。今はまだその始まりの段階と言えましょう。

下げ止まらぬ人民元は中国経済崩壊の予兆か
英国がEU離脱を決めたら世界不況に陥るか!?

 世間では「中国経済の崩壊」と「英国のEU離脱」に警戒する声が多く聞かれます。実際はどうなのでしょう。

 中国経済については人民元が一時1ドル=6.59元あたりまで下落していました。大幅下落が始まった2015年8月が同6.11元でしたから「下落が止まらない」とは言えその角度は緩やかであり、たかだか7.5%です。

 また中国の外貨準備は2014年6月の3兆9900億ドルをピークに、(人民元が大幅下落する直前の)2015年7月でも3兆6500億ドルありました。それが本年5月には3兆1900億ドルまで減っています。

 中国の経常収支は2015年も2016年も3000億ドルに近い黒字であり、差し引きでは巨額の外貨が中国から流出していることになります。しかし、海外企業は直接投資を減らしているとはいえ、中国への投資を引き上げているわけではありません。流出する外貨の大半は厳しい為替管理を潜り抜けた中国人の対外投資あるいは資金逃避となります。

 つまり、最近の人民元の水準は貿易収支など経済活動においては「かなり割安」なのは間違いなく、中国人の投資感覚で先安観があるに過ぎません。さらに言えば、膨大な過剰設備や国営銀行が不良債権を抱えているといった懸念も「中国の国内問題」に過ぎません。

 中国は他の新興国のように外貨建て債務が大きいわけでもなく、何と言っても共産党一党独裁の国ですから、経済・金融政策も(それが正しいかどうかはさておき)中央政府からの指令が徹底されるはずで、すぐに経済あるいは金融危機を引き起こすとは思えません。

 それでは、英国のEU離脱問題はどうでしょう。6月23日に迫った国民投票を前に、現在は離脱派の勢いが増しており、13日の世論調査(ICM)では離脱支持53%:残留支持47%との結果が出ました。これを受けて金融市場では英ポンドが乱高下するなど緊張が高まっています。

 市場では「もし本当に英国のEU離脱が決まってしまったら世界恐慌になる」との声も聞かれますが、本紙は「離脱にせよ残留にせよ英国の国内問題であり、ユーロ圏を含む世界経済への影響は一時的・限定的であるはず」と見ています。


来週の『週刊 闇株新聞』は、英国のEU離脱/残留が経済・金融市場に及ぼす影響と、それよりもっと大きな「軋む音」について、引き続き掘り下げて解説していく予定です。なお、経済のプロも愛読する刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』ではこの問題について、より早く・より濃く・より詳しく、議論を展開しています。興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。
 

闇株新聞PREMIUM

闇株新聞PREMIUM
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時  【価格】 2,552円/月(税込)
闇株新聞PREMIUM 闇株新聞
週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。
お試しはコチラ

 

DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)

●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?

金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料! 


世の中の仕組みと人生のデザイン
【発行周期】 隔週木曜日  【価格】 864円/月(税込)
世の中の仕組みと人生のデザイン 橘 玲
金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。
お試しはコチラ

堀江 貴文のブログでは言えない話
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時  【価格】 864円/月(税込)
堀江 貴文のブログでは言えない話 堀江 貴文
巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。
お試しはコチラ

 


ダイヤモンド・ザイのお得な定期購読はこちら!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

配当&株価が10倍株!
NISA投信グランプリ
ふるさと納税

6月号4月19日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[配当&株価が10倍になる株!]
◎第1特集
配当&株価が10倍になる株!
10年持ちっぱなしで「配当が10倍」になる株や「株価10倍」になる大型優良株を発掘
・誰もが知ってる大型株・優良株で実現
・新興国に進出/AI・半導体/
高齢化・人手不足/環境・EV
・番外編:1年で株価2倍になる株


◎第2特集
ダイヤモンド・ザイ
NISA投信グランプリ2024

2回を迎える、投資信託のアワードを発表!
NISAの投信選びや保有投信のチェックに最適

・NISAで運用できる投資信託のみが対象
・個人投資家が選びやすいよう、本数は30本のみ!
・個人投資家がわかりやすい部門で表彰


◎第3特集
ふるさと納税 日本3大グルメ&生産地
返礼品60 

日本3大和牛、3大地鶏、といったブランド食品や、日本3景、3名泉のベストグルメ、大注目の魚介、フルーツの3大産地の返礼品などを紹介

◎第4特集
FXで1億円!
年億稼ぐトレーダーの「神トレ」大公開!

ドル/円が34年ぶりの安値更新など、活況の為替市場。
FX界隈では、1年で「億」を稼ぐ「年億」の個人投資家が続々誕生しています。その手法を、わかりやすくお届け


◎【別冊付録】

いつまでたっても始められない人に贈る
新NISA「超ラク」スタートBOOK
完ペキさを求めてなかなか始められないより、「ラク」に「早く」始めたほうが、結果的にオトク
なかなか始められない人向け、ぐうたら指南書


◆出遅れJリートに投資チャンス! 利回り4~5%台投資判断&オススメJリート 
◆おカネの本音:渋澤 健さん
◆10倍株を探せ! IPO株研究所
◆マンガ恋する株式相場「コンビニがGAFAの一角に!?」
◆マンガ「昭和のボロ空き家はそのまま貸せばいい!?」
◆人気毎月分配型投信100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!



「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報