セブンの死角 伊藤忠&三菱商事の逆襲#7Photo by Hideyuki Watanabe

ファミリーマートが伊藤忠商事の実質的な完全子会社になって2年半余り、両社によるシナジーの“目玉”がついに発表された。細見研介社長は「新事業で5年後100億円の利益を目指す」とし、従来とは別の競争軸でナンバーワンになる決意を示した。特集『セブンの死角 伊藤忠&三菱商事の逆襲』(全15回)の#7では、ファミリーマートの経営トップに、王者セブン‐イレブン・ジャパンに対抗する新戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

新規事業で利益100億円
コンビニ売り上げでセブンに肉薄する!

――2023年2月期は、新型コロナウイルスの感染拡大前の20年2月期比で売上高が1割減、純利益が2割減でした。競合のコンビニより回復が遅れているようです。

 23年2月期の下半期から業績の回復が顕著になっていて、3~5月の営業利益は過去最高です。

 昨年から電気料金や水道光熱費が上がるのは分かっていたので経費の節減などに取り組んできた成果が出ています。

――親会社の伊藤忠商事が5月に開いた投資家向け説明会で、岡藤正広会長兼CEO(最高経営責任者)が、ファミリーマートの収益改善がイマイチではないかという質問に対して、「ファミマに納入している(伊藤忠完全子会社の)日本アクセスは三菱食品を抜いて(食品卸業で)トップになっている。(同様に完全子会社の)伊藤忠リーテイルリンクは史上最高益だし、ファミマの周りで利益を出している」と発言しました。伊藤忠の全体最適という意味では正論ですが、ファミマの加盟店オーナーや社員には違和感があったのでは。

 日本アクセスは、コロナ禍で特需があったスーパーとの商売があります。伊藤忠リーテイルリンクも当社ファミマとの商売だけでやっているわけではありません。当社との取引が減っていない中で、プラスアルファで他の収益が乗ってきて史上最高益になっている。

 岡藤会長の話は、ファミマだけじゃなくて、生活消費関連ビジネスの全体を見てほしいという趣旨だったのではないかと思います。

――ファミマが我慢して、伊藤忠の他の子会社がもうかっているという話ではないと。

 全く我慢していません。常に(伊藤忠グループの他社に)文句を言っています。われわれは安く仕入れたい。低コストでサービスを受けたい。そのために、(卸などの取引先には)競争してもらわないといけません。そこは、われわれの食いぶちですから当然こだわります。

次ページでは、伊藤忠とファミマがタッグを組んで、いかに王者セブン‐イレブン・ジャパンに対抗しようとしているのかを具体的に細見社長に語ってもらう。業界ナンバー2だからこそできる新しい戦い方とは。