超成長株投資で資産10倍計画!

バルカー(7995)の株価は7年後に3~4倍を狙える!
高収益のストック型ビジネスモデルで、財務も安定。
株価は今期減配懸念を織り込み割安。中長期で買いか山本潤の超成長株投資の真髄 第81回

2020年10月7日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

7年後に株価7000円台を狙えるバルカー(7995)

 配管などから気体や液体が漏れるのを防ぐシール材大手のバルカー(7995)は、2019年に過去最高の売上512億円、営業利益56億円を計上しました。そのけん引役が半導体産業向けです。微細化でトランジスタの構造が立体的になり、NANDメモリーが100層を超える多層になったため、需要が爆発しました。ただ、その後はコロナショックによる需要低迷で業績悪化。今期の減配懸念もあり、株価は1926円(10月7日終値)です。

 同社は、配当を含めて総還元率50%にしています。2021年3月期の純利益予想は15~20億円で、予想EPSは90~120円程度です。これに50%を適用すれば予想配当は45~60円で、現在の株価水準から求めた配当利回りは約2~3%となり、今期の減配懸念は株価に織り込まれていると判断します。

 同社の7年後の営業利益は80~90億円と想定。半導体とディスプレイなどが成長を牽引し、さらにタンクコンテナなどの医薬品や化学品向けも貢献するでしょう。配当は170円を想定し、目標株価は7000円の大台を想定します。

交換やメンテ需要が中心のストック型のビジネスモデルが強み

 株価低迷の一因には、同社のビジネスモデルが正しく理解されず、市場から過小評価されていることもあるでしょう。同社の強みは、頻繁に交換やメンテ需要が中心のストック型モデルであることです。

 例えば、半導体向けでは、スループットを高めるためにプラズマのエッチングが激しくなり、よりパーティクル汚染に敏感になったことで重要が急増。シール材の痛みが激しいため、頻繁に交換することが求められるのです。この分野は新規参入も度々あるものの、同社に加えて米国のデュポン社とGreen Tweed社の3社でかなりの占有率になります。

 もう1つの牽引役である配管やタンク内部で使われるライニング材もストック型です。半導体装置には多くの配管があります。配管は汚染が許されず、装置の点検も頻繁にあります。ライニングの鋼管やバルブなどが定期修繕で交換されます。こうしたメンテ需要が継続的な収益につながるのです。同社の売上の6~7割はメンテ需要が占めると想定しています。

半導体向けは今後も年率二桁の成長が期待。高い投資効率も魅力

 現状、半導体向けの売上比率は3~4割程度と想定しています。半導体への取り組みは1970年代に遡り、早い段階から東京都町田市に研究センターを設けて手がけてきました。努力の甲斐もあり、日の丸半導体は凋落したものの、部材や装置メーカーは生き残っている日本企業は多く、同社もその一社です。

 半導体向けは今後も年率二桁の成長率が期待できるでしょう。競合に勝つために開発費はそれなりに必要ですが、物性開発であり配合技術が要素である以上、投資効率は高いです。有形固定資産が140億円台で、売上500億円を創出できる能力があることが投資効率の高さを証明しています。

 課題は構造不況業種である石油化学プラント向けです。日本は1990年代の超円高を皮切りに石化プラントの新設はなくなり、主戦場は海外になりました。ただ、石油化学プラント、タンクコンテナ、火力発電所などは、各国とも法定定期修繕を義務付けており、約2~4年間に一度はタンクの洗浄、タンクや配管やバルブのチェックをします。需要増加の見通しは低いもののストック型ビジネスであること、国内事業も残存者利益を期待できるとあって、収益に貢献するでしょう。

投資効率が高く、財務重視の経営で安定感

 2018年と2019年と2年連続で営業利益率が二桁を超え、フリーキャッシュフローもプラスを維持。自己資本比率は約7割など、財務重視の経営で安定感があります。1961年に上場以来、営業赤字は一度もありません。理由は、半導体という成長市場で存在感ある製品を出し続けたこと。それ以外の分野でも定期修繕需要があること。顧客の多くがシクリカルな産業ではあるもののメンテ中心のストック型であることでしょう。もちろん、新規の設備投資の方が恩恵は大きいでしょうが、稼働が続く限り修繕や交換需要を定期的に取り込めます。

 収益率は長期で上昇傾向にあります。売上成長は7%程度で可能であり、営業利益は10%成長を想定します。自動車や航空機などのエンジン向けのシール材もあるが、売上比率は6分の1程度と高くないと想定。今期はこの需要が消滅していますが、2021年は徐々に戻るでしょう。

PBR約1倍と市場は過小評価、中長期的に見れば買い

 同社のPBRは約1倍と市場からは低成長株と見られているようですが、過小評価だと思います。なぜならば、ビジネスモデルが秀逸なストック型で、上場以来営業赤字もない。フリーキャッシュフローは恒常的に黒字で、配当成長率も二桁。その変動率の標準偏差は8%に過ぎません。資本コストは5%以下と想定すると、現在の株価は大幅な減配リスクを織り込んでいると推定します。

 同社は2027年に向けて、ROE15%と売上800億円(現状のほぼ倍)という目標を掲げています。2018年の状況では売上600~700億円、営業利益80億円程度はすぐに手の届く範囲と思われました。株価も3700円ありました。現在の株価は約半値です。

 今後は期待できるでしょう。上場延期したとはいえNAND大手のキオクシアの新規の半導体工場の建設が来年か再来年には始まります。米国も日本政府も安全保障上の理由で半導体投資に多額の補助金を用意しています。中国の半導体業界も独り立ちを模索しており、同社のような部材メーカーにとってもチャンスでしょう。プラント分野などでも世界で大きなチャンスがあると考えます。現在落ち込んでいる自動車向けなども戻るため、収益の改善が期待できます。中長期ではM&Aなども駆使して賢く着実な増収を目指していくでしょう。

(DFR投資助言者 山本潤)

 この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤 10年で10倍を目指す! 超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます

バルカー(7995)/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)


ダイヤモンドZAi 2024年6月号
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

配当&株価が10倍株!
NISA投信グランプリ
ふるさと納税

6月号4月19日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[配当&株価が10倍になる株!]
◎第1特集
配当&株価が10倍になる株!
10年持ちっぱなしで「配当が10倍」になる株や「株価10倍」になる大型優良株を発掘
・誰もが知ってる大型株・優良株で実現
・新興国に進出/AI・半導体/
高齢化・人手不足/環境・EV
・番外編:1年で株価2倍になる株


◎第2特集
ダイヤモンド・ザイ
NISA投信グランプリ2024

2回を迎える、投資信託のアワードを発表!
NISAの投信選びや保有投信のチェックに最適

・NISAで運用できる投資信託のみが対象
・個人投資家が選びやすいよう、本数は30本のみ!
・個人投資家がわかりやすい部門で表彰


◎第3特集
ふるさと納税 日本3大グルメ&生産地
返礼品60 

日本3大和牛、3大地鶏、といったブランド食品や、日本3景、3名泉のベストグルメ、大注目の魚介、フルーツの3大産地の返礼品などを紹介

◎第4特集
FXで1億円!
年億稼ぐトレーダーの「神トレ」大公開!

ドル/円が34年ぶりの安値更新など、活況の為替市場。
FX界隈では、1年で「億」を稼ぐ「年億」の個人投資家が続々誕生しています。その手法を、わかりやすくお届け


◎【別冊付録】

いつまでたっても始められない人に贈る
新NISA「超ラク」スタートBOOK
完ペキさを求めてなかなか始められないより、「ラク」に「早く」始めたほうが、結果的にオトク
なかなか始められない人向け、ぐうたら指南書


◆出遅れJリートに投資チャンス! 利回り4~5%台投資判断&オススメJリート 
◆おカネの本音:渋澤 健さん
◆10倍株を探せ! IPO株研究所
◆マンガ恋する株式相場「コンビニがGAFAの一角に!?」
◆マンガ「昭和のボロ空き家はそのまま貸せばいい!?」
◆人気毎月分配型投信100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!



「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報