緊急レポート!
[日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命]
郵政3社の株はいつ売り、いつ買うべきか?
個人投資家の人気を集め、上場後に大きく上昇した郵政3社。今後の株価予測とともに損しない売買タイミングについてプロの意見を聞いた。
指数連動の投信の買いは2015年末に終了へ!
大口の買い手の減少で短期では下落トレンド!?
2015年11月4日にゆうちょ銀行(7182)とかんぽ生命保険(7181)、その2社の持ち株会社である日本郵政(6178)の3社が同時上場。公募価格での配当利回りが2~3%と高かった点や政府が大株主という安心感から、個人投資家の人気を集めた。郵政3社の株が大きく上昇した点について、SBI証券のシニアマーケットアナリストの藤本誠之さんは次のように分析する。

「買いが極端に多かったというより、新興株のIPOのようにベンチャーキャピタルなどの大口の売りがなく、上場後に出回った株数が少なかったのが、過熱化の原因です。特にかんぽ生命はストップ高となりましたが、他の2社に比べて売り出しの株数が7分の1の6600万株と少なかったのが影響しました」
現状、3社とも大きく上昇しているが、かんぽ生命保険(7181)はいったん売却したほうがいいと、25年間のファンドマネジャー経験がある楽天証券チーフ・ストラテジストの窪田真之さんは忠告する。
「公募価格から大きく上昇したことで、配当利回りで見た魅力が低下しています。郵政3社のIPOに当選しなかった個人投資家の買いや、株価指数に連動する投資信託による買いといった特殊な需給要因によって、特にかんぽ生命保険(7181)は株価に過熱感があり、今後、さらなる上値を追うという展開にはなりにくいでしょう」
郵政3社は時価総額も大きいため、TOPIXなどの指数に連動する投資信託は組み入れの必要があり、市場に出回っている株数に対して、そうしたインデックス投信の買いの影響は大きい。
「売り出し株数に対してのインデックス投信による買いの割合は、12~19%程度ですが、実際に市場に出回っている株数はさらに少ない」(藤本さん)
中でも、最も影響が大きいのは15年12月末のTOPIXへの組み入れで、その前後でインデックス投信の買いは終了し、株価は下落トレンドに入ると2人のプロは予測している。実際に、TOPIXに組み入れられた日本航空と第一生命保険の2社はインデックス投信の買いが終了したと思われる40日目以降から株価は下落トレンドに転換した。
◆株価上昇とともに利回りは低下へ! | ||||||
公募価格 | 初値 | 高値 | 12月4日時点 | 最新の 株価チャート |
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日本郵政(6178) | 株価 | 1400円 | 1631円 | 1972円 | 1972円 | |
配当利回り | 3.00% | 2.58% | 2.13% | 2.13% | ||
ゆうちょ銀行(7182) | 株価 | 1450円 | 1680円 | 1785円 | 1769円 | |
配当利回り | 2.90% | 2.50% | 2.35% | 2.37% | ||
かんぽ生命保険(7181) | 株価 | 2200円 | 2929円 | 3890円 | 3375円 | |
配当利回り | 3.18% | 2.38% | 1.80% | 2.07% |
郵政3社の来期の配当性向は50%程度となる予定で、今季会社予想の1株利益の50% の配当額で利回りを計算。公募価格では、3社ともに約3%の利回りだったが、株価上昇とともに、2%台前半まで低下した。
郵政3社も当面は株価下落の可能性が高いが、公募価格付近まで株価が下落すれば、高配当狙いの買いによる株価の下支えも入ってくる。これから買いたい人は、焦らずに配当利回りが2%台後半まで高まったところが狙い目だ。一方で、IPO当選して保有中の人は、配当狙いでなければ、いったん売却して、安値で買い戻すのもありだ。