成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

中台戦争は果たして起こるのか?領土争いの戦争はもう古い?過度に戦争を意識して投資する必要なし

2022年9月8日公開
ポール・サイ
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

 台湾系アメリカ人の私は、台湾、中国、アメリカ間のコンフリクトと戦争のリスクについてよく聞かれます。

 結論からいうと、従来のような戦争になる可能性は低いと考えています。しかし、市場の奪い合い、市場ルールの設定の仕方を奪い合う動きは激しくなると思います。

 戦争のリスクについて考えることに、なぜ「市場」が出てくるのでしょうか? 以下、説明していきましょう。

アメリカは第2次世界大戦に勝利したのになぜ、占領した国から最終的には軍をほとんど引き上げたのか?

 ここで1つ、歴史について、考え方のフレームワークを紹介したいです。

 第2次世界大戦に勝利したアメリカは、領土争いの戦争に勝利したにも関わらず、欧州、日本など占領した国に軍は駐留させたものの、独立を許しました。従来の戦争の勝利者とはまったく違う動きをしたのです。

 なぜそうなったか。

 農業中心の社会では重要だった土地よりも、現代では市場と経済の方が重要になったからです。

 市場は国境に制限されません。アメリカが戦争に勝利した果実は土地ではなく、市場でした。

 アメリカが勝利したことで、米ドルが準備通貨になり、アメリカ主導で一連の組織が作られました。国連(国際連合)、IMF(国際通貨基金)、NATO(北大西洋条約機構)といったものです。これらはアメリカが戦争に勝利した果実です。

 戦後、アメリカに有利なこのシステムを維持するということを主な目的として、アメリカは外交交渉を行なってきました。このシステムが維持されていることによって、アメリカは大きな利益と富を手にすることができました。

アメリカに有利なこのシステムへ、誰を入れて、誰を追い出すのか、決めるのはアメリカ

 アメリカはこのシステムのボスで、誰を入れて、誰を追い出すのか、決める/制裁する権利が一方的にあります。

 当初、アメリカは中国をこのシステムから追い出しましたが、まず、ニクソン大統領時代に米中の国交正常化が行われ、さらにその後、中国はWTOへ加入することができました。中国は米国中心のこのシステムへ入れてもらえたのです。そして、中国はこれによって経済発展してきました。

 しかし、今、中国は大きな存在となりました。政治体制の違いにより、アメリカと中国の間では利益を巡って衝突が多くなりました。アメリカは中国を警戒し始めました。中国はアジア圏のボスにならないと中国の国益を守れないと考え始めました。

中国が勝利しても台湾が焼け野原になってしまったら得られる果実はない

 そして、台湾問題の話になりますが、中国が台湾を占領するとしたら、その目的は従来からある、「領土を拡大する」という考え方によるものとなります。これは意味がありません。

 台湾は抵抗しますし、中国が勝利しても台湾が焼け野原になってしまったら、得られる果実はないのです。その代わり、アメリカが築いてきたシステム全体との衝突によって、中国経済は大きな代償を払うことになります。

 そのことはウクライナ戦争で中国に示されました。

 中国は数日間の戦いだけでは台湾を征服できないとわかっています。数日間で終わらないとなると、大きな代償を払うことになる、とよくわかっているはずです。

中国が台湾を放棄することも考えられず、現状維持の可能性が高い

 その一方、中国が台湾を放棄することもないでしょう。中国は実は大きく異なったいろいろな地方/文化が連合している国であり、台湾を放棄することになると、国内の連合が緩むので、放棄もできないのです。

 そして、メディアにとって、一般市民にとって、台湾を支配下に置くことは中華民族復興の重要なマイルストーンなので、放棄しづらいのです。

 台湾は地理的に重要な場所にあり、中国が必要とする半導体技術も持っています。なので、中国にとって台湾は歴史的意味合い以外の観点からも重要な存在です。

 台湾は中国にとって市場として、戦略的拠点として重要です。戦争して台湾を占領することは本末転倒になります。

 なので、中国と台湾の市場がしっかり結びついていれば、中期的に中国は台湾を攻めることはないと思います。その反面、台湾を放棄することも考えられないです。現状維持の可能性が高いです。

イラスト:barks / PIXTA(ピクスタ)

突発的な事件などがない限り、中台戦争は起こらないだろう

 中国とアメリカの市場の奪い合いは続きます。中国は経済的な手段で台湾、日本、韓国、アジア圏全体への影響力を増し、市場をより一層、コントロールしようとし続けるでしょう。

 戦争によって影響力、支配力が増すのであれば、中国は戦争するでしょうが、日本/台湾/韓国と中国との貿易が増え続けている中、戦争よりは平和的な、市場を利用した手段の方が効果的だと見ているはずです。突発的な事件などがなければ、戦争にはならないでしょう。

 過度に戦争を意識して投資する必要はありません。日本をはじめとしたアメリカの同盟国と中国が戦争するリスクは大きくないと思います。

 また、中国は中長期的に米国のシステムから脱却することはまだできないと考えています。

 米中の衝突もあって中国株は下落していますが、投資チャンスはそんな中に潜んでいると思います。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリスト&ポートフォリオマネジャーとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。Youtubeチャンネルも開始。


今日の注目株&相場見通し!!
最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード! 新しいFXの自動売買!「世界通貨セレクト」の3つの魅力とは?ザイ編集部が動画で解説!
マネックス証券の公式サイトはこちら 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード! 新しいFXの自動売買!「世界通貨セレクト」の3つの魅力とは?ザイ編集部が動画で解説!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強日本株
第1四半期絶好調株
ふるさと納税

10月号8月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[2025年夏の最強日本株]
◎巻頭特集
人気20銘柄の最新判断も!
初速がスゴイ!第1四半期絶好調株
●2025年後半の主役はコレ!快進撃の人気株
●配当&値上がりの両狙い!即買い高配当株
●業績好転で上昇に弾み!急騰狙いの逆襲株

◎第1特集
高利回りも大化けも!
買いの105銘柄を一挙紹介
2025年夏の最強日本株
●買い時は9~10月!日経平均は4万8000円
●強気派VS弱気派の戦い方
●安心して持てる人気株!大型優良株

1位:ソニーグループ 2位:NEC
●配当利回り4%以上がズラリ!高配当株
1位:伊藤ハム米久HD 2位:INPEX
●優待+αが狙える!株主優待株
1位:サイバーエージェント 2位:ラウンドワン
●お手ごろ価格で買え分散も!10万円未満株
1位:ソフトバンク 2位:野村不動産HD
●まだ上がっていない割安株!出遅れ株
1位:SRE HD 2位:ウエストHD
●大化け期待の中小型株!新興市場株
1位:Aiロボティクス 2位:タイミー
●リスクをとって資産増を狙え!1年で2倍株
1位:インティメート・マージャー

◎第2特集
サボったら家族がこんなに困る!
投資家のための終活大全

●「口座情報の共有」が第一歩!財産の一覧表を作ろう
●信用取引やFXは特に注意!株の相続の基本を知ろう

●子どものいない夫婦は要注意!30代でも遺言書は必要!?

◎第3特集
☆☆☆の数を見るだけでOK!
NISAで売れてる投資信託をズバ斬り!
投信格付240

●見直し!NISAで買う投資信託の選び方
●NISAで最安投信!インデックス型
●大きな利益を狙う!アクティブ型
●リスクを抑えられる!バランス型

【別冊付録】
ポイント還元終了の駆け込み直前!
ふるさと納税45品

●ポイント還元が終わる前におトクなサイトで寄附を!
●10月以降はどのサイトで寄附する?
●肉/魚介類/果物野菜/お菓子/日用品

◎連載も充実
​●NEWS:「ホームラン級の爆騰も⁉ 大谷翔平スポンサー株本命3選」 
●次の1カ月何が起きる?プロが今の株式相場のポイントを解説!
「米国の値下げ狙いで再び4万円台が定着か」
●ZAi編集部の新人・ザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人
「車は買う? 借りる?」
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年7月編
「初値4倍超の銘柄も! ただし過熱感に注意」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略
「セル・ザ・ファクトには要注意!」
●連載・おカネの本音 レンタルなんもしない人さん
「令和の新しい生存戦略。“なんもしない”で家族と生活していく!」
●マンガ恋する株式相場「100g175万円! 恋のゴールドラッシュ」
●マンガ「デメリットの回避策も! 事実婚のお金事情」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報