FANGには入っていたのに、GAFAには入っていない企業とは?
以上、アップル、アマゾンなどの2022年のチャートをチェックしてみたが、ポール氏の買い推奨銘柄の話に入る前に、このような米国の主要大型テクノロジー株を表す「略語」の変遷についてちょっとたどらせてほしい。
このような略語で最初に普及したのはFANGという用語だろう。
FANGはアメリカの絶叫系株式コメンテーター、ジム・クレイマーが提唱したものだが、なんとFANGには天下のアップルが入っていなかった。そのため、アップルも含めたFAANGという言葉がその後、使われたりした。
しかし、日本ではいつの間にやら、FANGやFAANGはあまり使われなくなり、替わって台頭してきたのがGAFAという略語だ。GAFAという言葉はニューヨーク大学スターン経営大学院教授のスコット・ギャロウェイの著書に由来するが、英語版の原書にその言葉はなく、日本で出された翻訳書に日本の編集者がつけた言葉だという。
ハイキャリアを誇示するものとして「GAFA部長」という肩書きを使う人物が登場するぐらい、GAFAという略語は日本社会に浸透した。
GAFAは元々は投資家向けに作られた略語ではなかったが、日本では次第に投資の世界でもよく使われるようになった。そして、GAFAにはマイクロソフトが入っていないが、やがて同社を入れたGAFAMという言葉も投資の世界ではよく使われるようになっていった。
ここまで米国の大型テクノロジー株について略語の変遷を書き連ねてきたのにはワケがある。FANGにFAANG、GAFAにGAFAM、その構成企業はだいたい同じようなものなのだが、FANGには入っていたのに、GAFAやGAFAMでは抜け落ちてしまった企業があるのだ。
略語の変遷上、以前より重要視されなくなったように見える、まさにその企業こそ、ポール・サイ氏がポートフォリオに組み入れ、成功したテクノロジー企業の1つだった。
FANGには入っていたのに、GAFAには入っていない企業。どの企業だか、おわかりだろうか?
ネットフリックス(ティッカー:NFLX)である。
(つづく)
(取材・文/フリーライター・井口稔)
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言する米国株メルマガを配信中。
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