リーマンショック級の危機にはならないだろう。そして、危機の中にチャンスはある!
銀行はブラックボックスで、銀行株は長期保有に向いていないというのが私の基本的な考え方ですが、銀行を中心とした現在の状況について、ポイントとなることをいくつか紹介したいと思います。
(1)危機の中にチャンスはあります。そこまで直接的な影響がなくてもいっしょに売られている銘柄があります。そういう銘柄に注目して、タイミングを見計らって仕込むべきです。
(2)今回の危機はすべての銀行に同じ影響が出るわけでもないです。中堅の銀行に影響が大きく、大手銀行にとっては、長期的に見てむしろプラスです。ルールが変わらなければ、預金は大手銀行に流れがちになります。
(3)リスクは分散によってコントロールすることが可能です。
(4)日本の銀行、特に地銀は長年、低金利の環境下にあり、貸し出し需要の乏しい状況にありました。地銀の手数料収入は大手銀行より少ないです。そうなると、金利リスクを取る、すなわち長期国債で稼がなければいけなくなります。
(5)日本の地銀全体が保有する国債の平均残存期間は6年ほどで、SVBと同じぐらいです。日本の金利は低いので今は問題ないですが、金利が上昇すると問題になります。金利はグローバルにつながっているものなので、世界の金利が上昇していれば、日本にも金利上昇の圧力がやってくると思います。
(6)最終的に当局、国は銀行セクターを救わなければいけません。銀行が機能しないと、経済が機能しなくなりますから。
今回の事件でアメリカがリセッションに陥る可能性は増したかもしれませんが、依然として深いリセッションになることはないと私は見ています。現時点では、リーマンショック級の危機にはならないというのが私の見方です。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中。
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