「勝者のゲーム」と資産運用入門

米国の債務上限問題は決着、海外投資家の日本株買い続く。日本株に上昇トレンド。日経平均最高値更新も視野。個人投資家よ、トレンドに逆らうな。波に乗ろう!太田忠の勝者のポートフォリオ 第87回

2023年6月6日公開(2023年6月5日更新)
太田 忠
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

米国の債務上限問題は意外にあっさり解決。マーケットは混乱もなく好転

 米国政府の債務上限を2025年1月まで停止する法案が5月31日に米連邦議会の下院で可決され、翌日の6月1日には上院でも可決された。その後、6月3日にバイデン米大統領が法案に署名し、法律が成立。懸念されていた米国のデフォルト(債務不履行)は回避された。

 私は第84回のコラム「米国の債務上限問題、株式市場への影響をどう見るか?」で次のようにコメントした。「米国の債務上限問題はいつも最終的には解決されており、議員たちは“米国破綻”の道は選ばない」「議員たちはあくまで政争の具、すなわち政治の駆け引きとしてこの問題を扱っている」「ギリギリまで戦うポーズを見せながら、最後は妥協点を見出す形になる」と。私の予想では最後までもつれてタイムリミットまでに解決できず、トランプ前大統領やオバマ元大統領の時代に起こった政府機関の一部閉鎖に至る可能性もあると考えていたが、意外にあっさりと決着したという印象である。

 今回の政府債務が現行ルールの上限に達したのは今年1月である。バイデン大統領は無条件の債務上限引き上げを共和党に求めてきたが、最終的には共和党の主張する歳出削減にも応じる形となった。すなわち、2024年度の社会保障や国防費などを除いた支出を2023年度並みにし、2025年度も支出の増加を1%に留める。

 一時は格付け機関が米国債の格付けを引き下げようという動きも出ていたようだが、マーケットはきわめて冷静だった。金利が急上昇したり、米ドルが大きく売られたり、株式市場が先回りして急落したりすることは全く見られず、慌てふためく気配もなかった。 

残念な個人投資家の狼狽売り。市場好転時の反対行動は痛い目に遭う

 第85回コラムで書いたように「ごちゃごちゃトレードは厳禁、安値売りの高値買戻しを招くだけ」である。このところ私宛てに「金融不安だからいったん売って、安くなってから買い戻したい」とか「米国の債務上限問題でマーケットが下がると思うので、いったん売ってから安く買いたい」という質問が多数寄せられたが、自分の思い通り都合のいいことは起こってくれない。結局、安値で売ってしまい、高くなって買い戻せないという結果を招いてしまう。これは非常に重要なことなので、ぜひ覚えておいていただきたい投資姿勢である。マーケットが良い方向に向かおうとしているのに、反対の行動を取ると痛い目に遭う。軽率な投資行動である。

 さて、5月第4週の投資部門別売買動向が発表された。海外投資家の買い越し額は3186億円となり9週連続の買い越しである。買い越し総額は3.95兆円。買い越しが始まる直前の3月24日の日経平均は2万7385円だったため、ちょうど4000円の上昇を演出したのが海外投資家だ。買いの主体は日本株に特化したファンドによる資金流入である。例えば英国エディンバラに拠点を置くベイリー・ギフォードは3.2兆円もの日本株を運用している超大手であるが、日本株ファンドへの問い合わせが急増しているそうだ。3月31日に東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に資本効率改善要請を出したが、ちょうどこの週から海外投資家の買い越しが始まっており、大きなムーブメントになっていることがわかる。大量報告書でもノルウェー銀行、ブラックロックグループ、オアシス・マネジメントなど長期投資マネーのビックネームが続々と出ている。ノルウェー銀行と言えば、傘下の投資管理部門において世界最大規模の年金基金を運用していることで知られる。

海外投資家の本気の日本株買い。5月のパフォーマンスは日経平均が突出

 5月のパフォーマンスが出揃ったが、世界市場において日経平均株価の伸びが際立っている。7%高という上昇率で首位となった。単月のパフォーマンスで首位になるのは1年8カ月ぶりである。ところで、私が注目していた日本の個人投資家の動きはどうなっただろうか?

 日経平均が2万8000円を超え始めた4月14日の週から売り越していたが、5月第4週は442億円の売り越しとなり7週連続の売り超である。総額は2.33兆円。5月第3週が9273億円と飛び抜けて多くそこからは急速に縮小しているが、「3万円超えは利益確定売りのチャンス」「あるいはカラ売りで儲けるチャンス」という認識を改めてきているのではないかと思う。そもそもグローバルで割安な日本株、世界でも珍しい金融緩和策、日本企業の今後の資本効率改善努力、本格的な海外投資家の買い、そして来年からの新NISAによる本格的な日本人の資産形成作り…となれば売る理由などどこにもなく、買う理由ばかりが目立つことに気が付き始めたのだ。大きな流れが日本株にやって来ているのを実感しつつあると思う。

 「日経平均3万円は通過点に過ぎないだろう」「今はまだ逆業績相場であるが、来たるべき金融相場になれば過去最高値の日経平均3万8957円も超える可能性がある」と私は言ったが、このシナリオの実現に向けてやはり動き出していると思う。

明日開催のWebセミナーでは上昇トレンドに乗るための投資戦略を公開!

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週は日々&週間&月間(5月)ベースでの過去最高値を更新し、年初来高値も6銘柄と好調だった。日本株に大きな上昇トレンドが来ていることを実感しつつ、得意のロング戦略が奏功している。

 6月7日(水)20時より毎月恒例のWebセミナーを開催する。テーマは『日経平均3万円後の投資戦略』。今後大きな上昇が期待される注目銘柄も詳しく解説。セミナー後半では皆さまからのすべてのご質問にお答えする形で進めていく。会員限定だが、10日間無料お試し期間中でも参加可能。セミナー当日14時までのお申込み(15時URL配信)。毎回大きな盛り上がりを見せているが、今回も多くの皆さまのご参加をお待ちしております。誰でも参加できるので、興味のある方はぜひ一度顔を出していただきたいと思う。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


「勝者のゲーム」と資産運用入門 バックナンバー

»もっと見る

今日の注目株&相場見通し!!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

お金が減らない高配当株
NISAお悩み相談室
株トレ

12月号10月21日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[お金が減らない高配当株78銘柄]
◎第1特集
死ぬまで使える資産がつくれる!
お金が減らない高配当株 厳選78

●武藤十夢と一緒にマスター!高配当株なら資産がつくれてお金が減らない!
●優良高配当株を持ちっぱなしで増やす

・勝ち組のワザ!
立川一さん
「増配傾向の株に投資」
なのなのさん「利回り4%以上に注目」
・10年以上増配が続く株
・配当がド安定の株
・増益基調の増配株

●割な安高配当株を売買しながら増やす
・勝ち組のワザ!
御発注さん
「高配当株の人気化を待つ」
配当鳥さん「高配当株を逆バリで買う」
・高利回りの景気敏感株
・成長期待の高ROE株
・キャッシュリッチな中小型株


◎第2特集
オルカン積立続行でOK?
持ち株をズバリ診断!
NISAのお悩み相談室

●NISA人気NO.1投信「オルカン」積立て続けても大丈夫?
●NISAの使い方&投信お悩み相談
●アナタの持ち株ズバリ診断!
●今さら聞けないNISAのギモン14にすべて答えます


◎第3特集
NISAで買えて長く持てる!
注目テーマの好成績投信27

●テーマを選ぶコツ&注意点
●テーマ別好成績投信
ハイテク全般/半導体/インフラ・製造業/エコ・ESG/AI(人工知能)/ロボット・クラウド

 

◎第4特集
円安も円高もビッグチャンスに!
今すぐ儲ける!FX入門

●マンガでFXの魅力を理解!
●儲かる仕組み:為替差益/レバレッジ
●儲けるコツ:チャート/政策・指標
●FX口座の選び方


【別冊付録】
累計15万部のベストセラー
一問一答の株ドリル!買っちゃダメな株がスグわかる!

株トレ出張版 ファンダメンタルズ編

 

◎連載も充実!

◆NEWS:東京メトロが10月23日に上場!これから買うならいつが正解?
◆連載3回目:ZAi編集部の新人・ザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人
「年金だけで老後暮らせる? 老後にもらえる年金額を知ろう!」
◆10倍株を探せ!IPO株研究所「上場日集中で買いが分散!銘柄により明暗!」
◆マンガ恋する株式相場「大谷翔平銘柄!株価もSHO-TIME!」
◆マンガ「収入減の心配は無用!男性こそ育休を取ろう」
◆人気毎月分配型投信100本の「分配金」速報データ!
「9月も低調が続き100本中4本の分配金がダウン!」

 

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報