駅に改札がなく、駅員もいないことが多いドイツ。鉄道会社がタダ乗りを防ぐ方法は?
私は今、欧州旅行をしていますが、ドイツ、スイス、チェコなどには駅に改札がありません。駅員すらいない駅もたくさんあります。切符なしでも電車に乗れてしまいます。タダ乗りを防ぐため、長距離電車には車掌がいて、切符をチェックしにきます。しかし、電車の乗客全員がすべての駅でチェックされるわけでもありません。
地下鉄、路面電車などだと、いわゆる車掌はいなくて、切符の確認だけする人が不定期に切符を確認しているようです。有効な切符を持っていないまま乗っていることがバレたら、1回目は高額な罰金で済みますが、2回目は刑事責任までも追及されるようです。私がベルリンに滞在している時、地下鉄と路面電車に乗っている間に切符のチェックは1回もありませんでしたが…。
改札がいらず、駅員も大きく減らせるので、コスト削減になる。ただ、利用者はわからないことがあっても聞ける駅員がいない
このシステムはほとんどの人は捕まるのを恐れて切符を買うという前提に立っています。たとえ切符をちゃんと買わない乗客がいても、罰金でその失った売上げは回収できます。
その代わり、改札がいらず、駅員も大きく減らせるので、コスト削減になります。私の推測では、たとえば、JR東日本は改札の維持などの変動コストが年間20~30億円ぐらいかかっています。
ただ、ドイツでは切符の買い方がわからなかったとしても、それを尋ねる駅員さんもいません。観光で来ている私は少し困りました。
ドイツという国はきちんと時間を守る印象がありますが、実はそうでもないのです。電車は70%ほどしか時間通りに発着しません。私が利用した電車も数回遅延したり、運休したりしました。その時は代わりの電車を探さなければいけないのですが、そういうことを聞ける駅員さんもいないのです。
日本は田舎でなければ、小さな駅でもほぼ必ず駅員さんがいます。改札もたくさんあります。同じ欧州の中でも、オランダに行ったら、自動改札があり、切符チェックもしっかりありました。
欧州と日本、文化によって考え方に違いがあることが鮮明に
以上のような、欧州と日本の鉄道会社のやり方に関する私の感想は…
(1)日本の鉄道会社はサービスがいいです。ドイツの鉄道会社はサービスが良くないですが、儲けを重視しているのでしょう。
(2)日本人はルールを守る人たちが多い印象ですので、逆に日本は改札なしでいい気もします。
(3)この切符の確認の例では、文化によって考え方に違いがあることが鮮明にわかりました。日本は組織が個々を世話する考え方です。たとえば、しっかり働ければ、終身雇用先の会社は働いている間の生活を守ってくれます。社会保障がしっかりあり、老後の生活も守られています。電車については、自分が切符をちゃんと正しく買っているかを確認する責任はなく、自動改札、もしくは駅員がそれを教えてくれます。
(4)ドイツの場合、正しく切符を買っていなければ、自己責任になります。バレたら、罰金を取られます。わからなかったという言い訳は通用しません。
日本もどんどん自分で責任を取らなくてはならない方向へ変化。自分の将来に、豊かな経済的基盤を築くためには…?
2つのシステムには、それぞれいいところ、悪いところがあります。
日本で生活していると、自己責任を取る生き方に今一つなじみが薄くなってしまうかもしれません。しかし、日本は社会の変化によって、終身雇用が崩れることによって、お金の面で、どんどん自分が責任を取らなくてはならない方向へ進んでいます。
このような流れの中、iDeCo(個人型確定拠出年金)、NISA(少額投資非課税制度)などが誕生しました。
組織や組織のリーダー、上司は頼りになりません。まだ組織がすべて自分の世話をしてくれると考えていたら、老後などが大変になる恐れがあります。しかも、投資は時間でリターンを稼ぐものなので、若いうちにそれに気づかなければ、手遅れになってしまいます。
自分の将来に、豊かな経済的基盤を築くため、勉強して、行動しなければいけません。リターンがある資産、長期目線で投資できる資産、すなわち株式を持つのは必須だと思います。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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