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似たような島なのに、なぜカリブ海の島国グレナダは
工業発展できず、台湾では最先端工業が発展したのか?
その重要な3つのポイントとは?

2023年8月9日公開(2023年8月9日更新)
ポール・サイ
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カリブ海の島も台湾も似たような島だが、その経済状況はなぜ大きく違うのか?

 今週、私はカリブ海の島国、グレナダに来ています。

 グレナダはハリケーンベルトの南なので、ハリケーンの被害にあうことは少ないです。私は自分のヨットをグレナダに置いているため、グレナダによく来ます。今回は7回目のグレナダへの旅です。

 台湾とグレナダのようなカリブ海の島を私はよく比較して考えます。

 両者はどちらも同じように島です。天気も似ています。

 しかし、台湾は世界の90%の先端チップの生産地になっています。一方、グレナダ経済を支えているのは観光と、各国から留学生を集めているセントジョージズ大学の医学部です。他のカリブ海の島々はみんな、観光が主要産業となっています。工業はなきに等しいです。

 なぜ、そうなったのでしょうか?

カリブ海の島国、グレナダはビーチが美しく、観光が主要産業。工業はなきに等しい。 写真:ポール・サイ

欧州諸国が南北アメリカ大陸を植民地にできた理由とは?

 私はジャレド・ダイアモンドが書いた有名な本、『銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎』を読んだことがあります。この本によると、社会や経済の発展度合いを大きく左右するのは環境です。

 たとえば、アメリカ大陸やアフリカ大陸の多くの場所では、なぜ、食料生産の開始が遅かったのでしょうか?

 その1つの理由は、それらの場所に馬のような家畜化できる動物がいなかったことにあります。アフリカにはシマウマがいますが、シマウマは馬のように仕事ができるわけではなく、家畜化するには問題があります。

 また、欧州諸国はなぜ、南北アメリカ大陸を植民地にできたのでしょうか?

 これには技術的な優位性もありましたが、アメリカ原住民が抵抗力を持っていない病原菌を、欧州諸国の人たちが持っていたことの影響が大きかったということです。

 結論としては、1つの国の地理、環境などはその国の発展に大きな影響を与える、ということになります。

カリブ海の島国、グレナダの問題はなにか?

 では、カリブ海の島国、グレナダの問題はなんでしょうか?

 グレナダでは、元々はサトウキビからできる砂糖が重要な商品でした。なので、アフリカから奴隷が連れてこられて、サトウキビを作っていました。

 しかし、ビート(てん菜)から砂糖が作れるようになって、サトウキビは以前より重要な商品ではなくなってきました。そのため、カリブの経済は崩壊し始めたのです。社会保障費などが負担になりそうなので、イギリスはどんどん植民地を独立させ、手放しました。

 その後、英語が公用語であるにもかかわらず、カリブ海のそれぞれの国は特に発展せず、たいていは観光と農業だけがメインの産業ということになりました。

グレナダの状況とアメリカ・台湾の状況を照らし合わせて浮かび上がる3つの重要なポイントとは?

 ここで、このようなグレナダの状況と、アメリカ・台湾の状況を照らし合わせて考えてみると、重要なポイントがはっきりとしてきます。

(1)教育は重要
(2)海外の経験は重要
(3)そして、その次に重要なのは英語

 この3つのポイントのうち、1つがなければダメになってしまいます。

 台湾人は海外で教育を受けたり、海外で仕事につくことが多いのですが、そういう人が台湾に戻って起業するという流れがあります。TSMC(台湾積体電路製造)はそういう流れで立ち上がった会社です。台湾人のPh.D.取得者が政府の呼びかけで台湾に戻ったのです。

 教育を十分に受けた人が多くなれば、政治、社会も安定してきます。そのため、さまざまな開発を進めていくのにいい環境ができます。

台湾 高雄市の工業地帯台湾 高雄市の工業地帯 写真:photoAC

 私の昔の同僚がアフリカのベンチャー起業へ投資していたのですが、最近、不正が発覚して、割と大きな損失を出しました。このような場合に先進国だと、法的手段をとって、ある程度リカバーできますが、アフリカだとお手上げです。

 先進国のベンチャー企業の中には、AI開発のような革新的なことを行っている企業もたくさんあります。だから、新興国のフロンティア市場へ投資する必要はないのではないかと思います。ちなみに、中国は今もよく新興国に分類されていますが、厳密な意味では新興国ではないと思います。

投資先として一番いい条件を完備しているアメリカ

 アメリカという国は一番いい条件を完備していると思います。

 地理的には、アメリカの地続きとなっている南北両側には、アメリカに友好的であり、アメリカの影響下にあるカナダとメキシコしかありません。アメリカの東西両側にあるのは大きな海です。アメリカへの直接的な地政学的リスク、戦争のリスクはゼロに近いです。

 アメリカの教育、特にエリート・英才教育は世界一なので、トランプのように民主主義へ挑戦するような人が出てきても、民主主義体制は崩壊しないでしょう。

 以上、グレナダと対比させて、アメリカ、台湾について簡単に紹介してきましたが、アメリカの流れ、台湾の流れ(中国と戦争はないと仮定)は大きくは変わらないでしょう。アメリカが私たちの住む世界のリーダーであることに変わりはないでしょうし、台湾も発展し続けます。そして、カリブ海の島々は工業化しそうにありません。

 投資するなら、アメリカ、台湾のような発展し続けるところに投資するのが得策でしょう。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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