前回ご紹介したように私は今、カリブ海の島国、グレナダに来ています。
[参考記事]
●似たような島なのに、なぜカリブ海の島国グレナダは工業発展できず、台湾では最先端工業が発展したのか? その重要な3つのポイントとは?
そのグレナダで知り合った友人にケビンというカナダ人がいます。
「FIREするのは思ったより簡単」と40代でFIREを達成したカナダ人は言った
ケビンはカナダのオイルサンドで石油採掘の仕事をしていたのですが、40代で引退しました。40代でFIREを達成したということです。
ケビンはそこそこの収入があったようですが、決して高収入でもないと思います。おそらく石油業界の平均ぐらいだと思います。
彼から聞いたFIREの秘訣、それはまさに私が今までこの連載で書いてきたことでした。
ケビン曰く、「FIREするのは思ったより簡単」とのことです。2つのことだけでできるというのです。
1つめは収入の50%しか使わないことです。そして、2つめは残りの50%をひたすらローコストの株式ファンドに分散投資することです。あとは待つだけ。とても簡単ですよ、と彼から言われました。
ケビンは金融のエキスパートではありません。彼は個別株をたくさん持っていたわけでもありません。ひたすらSPY(S&P500指数に連動するETF)のようなETFなどを長期に持っていただけで、FIREを達成したのです。
ケビンはFIREを達成したらヨットを購入して、まずヨットでカリブ海を回ったりして、その後、世界一周にもチャレンジするという話でした。コロナ禍でプラン実行は少し先送りになったものの、いずれ世界一周に向かうのでしょう。
一見簡単だが実はすごく難しいFIRE。それを実現するための3つのやり方
投資をして、FIREすることは一見簡単なことですが、実はすごく難しいです。
なぜ難しいのでしょうか?
まず、人間は短期で大儲けしたいという心理になりがちだからです。そのため、金融商品の取引をしていても、投機的な取引をしてしまう人が多く、本格的に長期で投資している人はそれほど多くありません。
それと、やはり今の消費主義の社会では収入の50%をセーブすることも難しいからでしょう。
その難しいことをどうやったら克服できるのでしょうか? そのやり方をいくつか提案したいと思います。
(1)給料をもらったら、貯金する予定のお金は証券口座へ。すなわち日常生活で使う口座には必要以上にお金を置かないことです。
(2)定期的に分散投資することです。時間の分散と投資対象の分散、両方を行うことです。
(3)リスクをもっと取れる人(収入が高い人・若い人)、調べて投資判断するスキルがある人であれば、30~60銘柄ほどの個別株でポートフォリオを構成するのがいいと思います。銘柄は国、業界、通貨などを分散した方がいいと思います。
お金を増やすことより、生きがいを見つけることの方が難しい
ビールを飲みながらケビンから聞いたのは、お金を増やすことより、人生の意味、すなわち生きがいを見つけることの方が難しいということです。
[参考記事]
●お金持ちになっても、なぜ幸せでない人がいるのか? 海外でブームの「生きがい(Ikigai)」という言葉からメンタルの重要性、生きる意義について考える
彼は目標の資産額を達成し、いきなり仕事を全然しなくても良い状態になりました。ヨットで世界を回るというプランはかねてから彼が目標としていたことでしたが、新型コロナの感染拡大もあったため、それを一時期、あきらめつつあったのです。彼は生きがいを見失い、毎日ビールを飲んでのんびりしてしまっていました。
これではいけないとケビンは気づきました。何か目標を作らないといけないと感じました。それでここ数ヵ月はヨットの整備に力を入れてきたのです。ケビンはあと少しで長旅に出るようです。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでFIREを目指すポートフォリオを提案するメルマガを配信中。
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