このところ書いているとおり、私は今、カリブ海の島国、グレナダに来ていますが、先週末はそのグレナダで、グレナダ一周ヨットレース(Around Grenada Yacht Race)に自分のヨット、アローンナで参加しました。
[参考記事]
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グレナダ一周ヨットレース、行きはいいタイムを出して3位に
アローンナはあの辛坊治郎さんのヨットと同じスウェーデンのメーカー(ハルベルグ・ラッシー)のヨットです。辛坊さんは元ニュースキャスターで、単独太平洋横断を達成したセレブの人ですね。ただ、アローンナは辛坊さんのヨットと同じメーカーですが、モデルは1つ新しいもので、HR40というモデルになります。
グレナダには主要な大きな島が2つあります。その1つ、グレナダ島の南の方からこのヨットレースは初日スタートします。そこから、カリアクという島の南のタイレル湾までがコースになっています。
行きと帰りは島の反対側を進まないといけないので、グレナダ1周ということになります。行きは最短距離で40海里ほど(約74㎞)、帰りは最短距離で32海里(約59㎞)です。
レースには、私を含めて6人で参加しました。セイリングしていたのは3人で、残りの3人はお客さんとして乗っている女性たちです。
アローンナは遠海用のヨットであり、レース用のヨットではありませんが、それでもなかなかいいタイムを出してくれました。行きのタイムは8時間47分で3位でした。帰りのタイムは6時間18分でした。
遅れを取り戻そうと大きな帆を上げたが、それが裏目に
グレナダは貿易風が吹いていて、風向きはほぼ常にいっしょです。行きの日は風が弱く、島の風下を走ったので、途中で風が弱くなりました。
他のヨットは沖の方にコースを取っていて、風がほぼなくなり、動けなくなりました。一方、アローンナは陸に近い方のコースを取っていて、風が少し残っていました。
他のヨットがほぼ停止状態の中、私たちだけ、ゆっくりですが、少しずつ前進できました。そのおかげで3位になりました。船は船体が長いほど速く走れるので、長さの分を調整すれば実質1位だったと思います。
帰りの日は風上の方、すなわち島の東側を走ります。なので、風は初日より強くなります。天気も変わって、全般的に風が強くなりました。
2日目はすごくいいスタートを切って、レースの最初の4分の1ではリードしていました。しかし、途中で携帯電話を探し始めたことで、コースから少しずれてしまい、スピードダウンしました。わずか数十分のことですが、順位は後ろの方になってしまいました。
そこで、キャッチアップしようとして、もっと大きなスピンネーカーという帆を上げました。しかし、スピンネーカーは追い風専用の帆で、風上に向かって進むことができないので、風の微妙な状況から、結局、下ろさなければならなくなりました。これでまた遅れてしまいました。
2つの間違いがありましたが、それは小さく感じられるものでした。しかし、こうしたことがあって、2日目は8位になってしまいました。全体では4位となり、結局、入賞できなかったのです。私たちクルーはすごく残念に思いました。
成金を目指すのは投資ではなく投機。ヨットレートも投資も地道に少しずつ安定的に進んだ方がよい
このヨットレースを振り返って考えてみると、レースの過程には投資に関する教訓も含まれていると思いました。
アンソニー・ボルトンは、欧州のフィデリティで一番成功しているファンドマネジャーですが、彼は昔、私にこう言いました。
「投資は大きい当たりを取るより、間違い、すなわち損失を最小限にすることの方が重要だ」
[アンソニー・ボルトンに関する参考記事]
●私の歩んできた道(4)中国株には素人とプロの間に情報格差がかなりある。中国株はガバナンスに注意! 怪しい会社も多い!
今回のヨットレースで最初の間違いは注意力が足りなかったということです。そしてその後、遅れを取り戻すため、スピンネーカーを上げて、リスクを取り過ぎました。それで負けました。
投資も過剰なリスクを取ってはいけません。成金を目指すのは投資ではなく、投機です。今回のヨットレース、帰りも行きと同じように地道に間違いなく、少しずつ安定的に進めば、勝っていたと思います。投資もそうしないといけないと感じました。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。過去1年のポートフォリオの成績は+50%超。
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