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チャイナバブル崩壊で考えられる、最悪のシナリオは
台湾戦争。普通のシナリオは金融緩和。ベストシナリ
オは中国が正しく成長して、先進国に入ること

2023年8月25日公開(2023年8月25日更新)
ポール・サイ
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カリブ海のヨットから経済番組に映像付きで2回連続生出演! 10年間言われ続けているチャイナバブル崩壊は、本当に来るのか?

 2023年8月22日(火)、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている元フィデリティ投信トップアナリストのポール・サイさんが、ストックボイス社が手掛ける経済・マーケット番組「WORLD MARKETZ」(TOKYO MX 月~金 22時~23時)に生出演した

ポール・サイさんプロフィール

 前回の放送では、カリブ海のグレナダからポールさんが映像付きで生出演。上昇が続いている米国の株式市場や、米国の不動産業界の話を交えながら、世界を転々とするポールさんが自身のポートフォリオをどのように管理しているのか、詳しく語ってもらった。
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 今回の放送でも、ポールさんは引き続きグレナダに滞在中。港に停泊させているヨットの中から映像付きで生出演した。カリブ海の中心からの中継で、主に話題になったのは中国について。エバーグランデ(中国恒大集団)がアメリカで破産法適用を申請したことを受けて、10年間言われ続けているチャイナバブル崩壊は本当に来るのか、崩壊する場合に考えられるシナリオを解説してもらったので、さっそくチェックしていこう。

カリブ海でヨットレースに参加するFIRE投資家ポールさん。サンバカーニバルは4日間お祭り状態

 前回の放送から引き続き、カリブ海のグレナダに滞在中のポールさん。今回はヨットの船室から映像付きでの生出演となった。

(出所:WORLD MARKETZ)

 ポールさんがグレナダに滞在を続ける理由の1つが、週末に行われるヨットレースだ。

 グレナダにはグレナダ本島と、北に位置するカリアク島の2つの大きな島があり、グレナダ本島をヨットで出発してカリアク島で1泊し、次の日にグレナダ本島に戻るレースだそう。

 レースと言っても競争という感じではなく、みんなでワイワイしてパーティーするレースのようで、アシスタントの木村カレンさんも「そんな夏を私も過ごしてみたいです」と羨ましそうにしていた。

 ヨットレースの他にも、カリブ海のいろいろな島で行われていて、グレナダでも開催された、「スパイスマス」というサンバカーニバルに参加したポールさん。奴隷解放のお祝いでもあるカーニバルで、4日間、寝る時間以外はほとんどお祭り状態だそう。以下は、ポールさんが撮影したカーニバルの様子だ。

スパイスマスというカーニバルに参加。4日間、早朝から晩までずっとお祭り状態
全員参加で鮮やかなコスチュームを着ている。全ての体型が美しい!
マリーナの近くで海中に沈ませる予定の、スパイスマスがテーマの彫刻。チェーンと角のコスチュームは奴隷制度から解放されたことを表している
丘の上のレストランから港の夕日を眺めて

中国では誰も使わない駅、誰も住まないアパート、不必要なインフラがたくさん作られ、バブルになったものの、それが弾けないまま、今に至っている

 ここで、番組MCの渡部一実さんが、「サンバのところ申し訳ないが」と前置きしつつ、今回は主に中国の話を聞かせていただければと切り出した。

 8月17日(木)に、中国不動産開発大手のエバーグランデがアメリカで破産法適用を申請し、中国経済が減速すると言われている半面、チャイナバブルは崩壊すると10年間言われ続けたのに、結局は崩壊していないことについて、ポールさんがどう考えているのか気になるようだ。

エバーグランデ 週足(香港証券取引所) (出所:TradingView)

 これに対し、ポールさんはまず、中国の経済成長が2段階あったことから説明を始めた。

 中国は1990年代後半、テクノロジー的な遅れを改善するため、海外の資本などを投入し、生産性が上がったことで経済成長したことが1段階目。

 2段階目は固定資産投資による経済成長だ。固定資産投資は当初、利回りがよかったものの、だんだん利回りが悪くなってくると、誰も使わない駅、誰も住まないアパート、不必要なインフラがたくさん作られたそう。そういった無駄な投資は10年前から行われており、今では国全体の負債が295%ほどまで増え、その問題の一環がエバーグランデだとポールさんは語った。

 さらに、中国の個人は投資先があまりなく、海外の株なども簡単に買えないため、一番買いやすいのが不動産なのだそう。政府のインフラ投資も相まって過剰投資になり、バブル状態になっているけれど、それが弾けないまま、今に至っているのだという。

中国の不動産価格は日本と違ってずっと値上がり。 不動産バブルが弾けることを中国はまだ経験していないから、中国人は不動産が好き

 その話を聞いた渡部さんが「中国の人にとって投資先が限られるというのは、外貨規制ですか」と質問すると、中国人民元はそもそも規制されている、とポールさんは答えた。

 中国の個人にも外貨規制やいろんな金融規制があり、お金の出入りが制限されているのだそう。ビットコインが中国で流行ったりしたのも、外貨規制を潜り抜けたりできるためとのことだった。

 また、中国の個人の投資先が少なく、不動産などに限られるということもあるが、中国人やアジア系はもともと不動産が好きな人が多く、そういう文化もあるとポールさん。

 日本は新築住宅が人気なので、東京以外の中古住宅は値下がりするけれど、日本と違って中国の不動産価格は中古もずっと値上がりしてきているそう。

 不動産バブルが弾けることを、中国はまだ経験していないから、中国人は不動産が好きで、結婚するのに、男性が不動産を持っていないと、結婚できない場合もあるようだ。

若い男性に奥さんが見つからず、仕事もない状態が中長期で続くと、歴史的に見れば、社会的に不安定になっていく

 続いて、中国人男性の結婚の話の流れから、中国の一人っ子政策により、男性が多く、女性が少ないということが、マクロ経済に及ぼす影響があるのかを聞かれたポールさん。

 この問題は中長期で見ると、中国のみならず、アジア地域全体にとって大きいとポールさんは捉えている。

 中国の男女の比率を、20代から40代の結婚適齢期で見ると、1.05対1とか、1.1対1と言われているけれど、実際にはもっと悪いとポールさんは断言した。

 なぜかというと、中国の男性は自分より若い女性と結婚する傾向があり、若い人は少子化で少なくなっていくため、結婚相手の年齢で男女の比率で見ると、1.2対1くらいになるのだそう。その年齢層の2割や1割が1億人だったりするので、かなりの人数になるという。

 中国で女性が足りない状態が続くと、お金持ちの中国人が他の国の女性とお見合いすることになり、他の国にも問題が伝染。インドも同じような問題を抱えているため、2つの大国が男過剰の状態にあり、そのことをポールさんは心配しているのだ。家庭の形成が景気成長の要因にもなるため、そのあたりも中長期で心配な部分だという。

 そして、中国では今、若い人の失業率が高いようだ。それは、共産党による規制で景気が鈍化したことが原因で、共産党は高い失業率を開示しないようにしようとしているとのこと。

 若い男性に奥さんが見つからず、仕事もない状態が中長期で続くと、歴史的に見れば、社会的に不安定になっていくとポールさんは指摘した。

 だいたいは戦争になって人が減り、GDPが成長するか、無駄なインフラ投資を続けて、その間はGDPが増えるけれど、後になってさらに大きな問題になるかの2択だという。

チャイナバブルが崩壊したら、中国が正しく成長して先進国入りするのがベストシナリオ。普通のシナリオは金融緩和、最悪のシナリオは台湾戦争

 それでは、エバーグランデの破産法適用申請により、チャイナバブルが崩壊するのだとしたら、どのようなシナリオになりそうなのだろうか。

 ポールさん曰く、中国は独裁に近く、日本より自由度が低いものの、そのおかげでバブルが崩壊しづらいところもあるとのこと。

 ただ、時間がたつと、問題が大きくなりすぎて抑えられなくなってしまうため、崩壊時にはもっと悪いシナリオになる可能性があるようだ。

 日本には不良債権問題があったが、その時は景気が良くて、すでに先進国だった。一方、中国も不良債権問題はあるが、景気が悪く、まだ途上国のままだ。政策によって資金が正しい投資先に向かい、生産性が上がって景気が成長し、途上国から先進国に入っていければ、それがベストシナリオだとポールさんは教えてくれた。

 中国は、テクノロジーの業界やインターネットで世界をリードしており、旧ツイッターのXは、テンセントをモデルにして、会社を進化させたいという考え方だそう。中国でテクノロジーがかなり進み、アニマルスピリッツ(非合理的なまでに熱いビジネス的情熱)を取り戻していれば、もしかしたら回復させられる可能性は出てくる、ということのようだ。

 普通のシナリオで考えられるのは、日本と同じ金利引き下げ、金融刺激策をやること。これは病気で例えると、痛み止めを10年間取っているのと同じだそう。痛み止めが効いている間はいいが、病気を本当に治す薬を飲まないと、いつかは死んでしまうかもしれない。

 一番悪いシナリオは、台湾との戦争だ。コントロールできない不景気に陥ると、そうなるかもしれないとポールさん。今まで人類の歴史で、経済のリバランスを解消するために戦争をしたことは多く、ウクライナ戦争でもそういうにおいはあるという。

 ただ、台湾戦争と言われるけれど、実際には共産党も戦争をしたいとは思っておらず、同じ中華民族の文化の人たちで、中国と台湾の人が結婚していることも多いため、簡単に踏み込める話ではないし、そう祈りたいと、台湾系アメリカ人のポールさんは切に願っていた。

中国IT系でグローバルな企業は、たまたま中国にあるだけ。中国の国の要因で暴落していれば、買うチャンスになる

 最後に、もし中国株をやるとすれば、テンセントとかハイテクでグローバルな、イーロン・マスクが憧れるような中国IT系でグローバルな企業ならよさそうか、と渡部さんが質問した。

 そういう会社はたまたま中国にあるだけだとポールさん。ある程度グローバルに展開しているし、テクノロジーをずっとリードしてきているので、中国の国の要因で暴落していれば、買うチャンスになるとのことだった。

テンセント 日足 (出所:TradingView)

 世界の株のなかでリードしているのはテクノロジー株であり、AIなど人類の社会を大きく変化させる、生産性を大きくアップさせる企業は、中長期で考えれば、チャンスが生まれる可能性があるようだ。

 ただ、中国自体はリスクなので、タイミングと株価を見る必要があるとポールさんは語ってくれた。

 ここまで、8月22日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に電話出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオを見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。

(ザイ投資戦略メルマガ)

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中

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