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ビッグ・テックの決算はどうだった?→AI革命進展中!株価が上に行くか下に行くか。短期的には50:50だが中長期的には株価はファンダメンタルズに沿って動く

2023年11月2日公開(2023年11月2日更新)
ポール・サイ
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 今回はいくつかのホットトピックについてコメントしたいと思います。

 米金利が上がっていく中で、株は下押しされました。ビッグ・テックの株も下落しました。

ビッグ・テックの決算はおおむね順調。株価が下落した銘柄もあるが、AI革命は進んでおり、中長期的には心配ない

 まずはビッグ・テックの決算について取り上げたいと思います。

 7~9月期の決算はおおむね順調でした。アルファベット(ティッカー:GOOGL、GOOG)、アマゾン(ティッカー:AMZN)、メタ(ティッカー:META)、マイクロソフト(ティッカー:MSFT)は揃って売上高も利益もコンセンサスを上回って着地しました。

 グーグルの持ち株会社、アルファベットは売上高が前年同期比11%増、純利益は前年同期比42%増、Youtubeの広告収入が良かったです。クラウド部門の売上高は前年同期比22.5%の成長でしたが、コンセンサスは下回りました。AIは業績アップに効いています。株価はクラウド部門に対する失望で下落しましたが、これは長期的な問題ではないと思います。

アルファベット日足アルファベット(GOOGL)チャート/日足・3ヵ月(出典:SBI証券公式サイト)

 マイクロソフトは純利益が前年同期比27%増、主力のインテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比19%増で、コンセンサスも上回りました。ガイダンス(業績予想)もアナリストの予想を上回り、株価は少し上昇しました。.

マイクロソフト日足マイクロソフト(MSFT)チャート/日足・3ヵ月(出典:SBI証券公式サイト)

 メタは売上高が前年同期比23%増で、これはコンセンサスを上回るものでした。純利益は前年同期比164%増。これもコンセンサスを上回りました。ユーザー数も順調に増加しており、AIが効いているとのコメントがありました。株価は少し下落しました。

メタ日足メタ(META)チャート/日足・3ヵ月(出典:SBI証券公式サイト)

 アマゾンは売上高が前年同期比13%増で、コンセンサスを上回りました。純利益は244%増で、これもコンセンサスを上回り、株価は上昇しました。

アマゾン日足アマゾン(AMZN)チャート/日足・3ヵ月(出典:SBI証券公式サイト)

 決算発表後のビッグ・テックは株価が下落した銘柄も中にはあるものの、決算の数字そのものは各社悪くなかったと思います。AIが業績向上につながっており、AI革命は進んでいます。中長期的には心配ない状況だと思います。

 米10年債利回り、米5年債利回りなどの上昇は成長株にマイナスの影響を及ぼすはずですが、ビッグ・テック株はAI革命のおかげで、金利上昇のマイナス面を補って、これからも堅調なはずです。

米金利は上昇要因と低下要因が拮抗し、5%未満ぐらいの状況が続くのではないか

 米金利はいろいろな問題が重なって、5%未満ぐらいの状況が続くのではないかと考えています。そのポイントを挙げてみると、以下のとおりです。

(1)名目および実質金利を上昇させるポイント

(a)7~9月期の米GDPは前期比年率4.9%増。個人消費が強く、インフレは本格的には収まっていない

(b)FRB(米連邦準備制度理事会)は国債を買わなくなっており、売りに転じている

(c)財政赤字、政治麻痺

(2)名目および実質金利を低下させるポイント

(a)中東、ウクライナでの戦争

(b)政治麻痺の解消

 以上のようなことで、金利の押し上げ要因と押し下げ要因が拮抗し、5%台で均衡しているのではないかと思います。

 金利が上昇すると債券価格は下がります。景気の過熱と政治麻痺はいつか解消されます。中東の戦争の金利押し上げ要因はまだそこまで大きくないことから見ると、今後、金利は下がって、債券価格が上がることが考えられます。それと、金利自体は高いので、仮に債券価格が変わらなかったとしても、金利収入がありますので、債券投資も悪くないと思います。

株価が上に行くか、下に行くか。短期的には50:50だが、中長期的にはそれは違う

 高止まりする金利、地政学的リスクなど、今の世の中は不確定要素が多いです。そんな中で、AI革命は比較的確実なものだと考えています。しかし、あと数ヵ月程度でAI革命の果実を享受できるわけではなく、中長期に渡らないとそれは株価に完全には反映されないと思います。

 短期的な株価の動き、すなわち数分とか数日で株価が上に行くか、下に行くかの確率は50:50でしょう。しかし、ファンダメンタルズが良くなっていくと、じわじわ株価は上がります。なので、中長期で見ると、株価の上下動は50:50ではないです。株価はファンダメンタルズに沿って動きます。AI革命はそのファンダメンタルズ的な変化のうち、重要なものの1つです。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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