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日本以外は世界的に金利が高い今、債券投資に注目!時間分散によって、金利リスクを抑える「ボンドラダー」とはどんな債券投資戦略?

2023年11月8日公開(2023年11月8日更新)
ポール・サイ
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 しばらく前まで、金利は長い間、世界的に低いレベルにあり、債券投資に対する注目度はかなり下がっていました。しかし、日本以外で世界的に金利が大きく上昇している今、債券投資にもう一度注目すべきだと思います。

米ドル建て債券でボンドラダーを組むのはいい投資戦略。為替リスクには対応できる

 将来のキャッシュフローニーズがはっきりしていれば、リスクを最低限に抑え、将来の現金の必要性を確実に満たす方法は、ラダー型ポートフォリオによる債券の運用(ボンドラダー)です。日本は金利が低いので、この方法をとることはまだ難しいですが、米国では金利が十分高いため、米ドル建ての債券でボンドラダーを組むのはいい投資戦略だと思います。

 日本人がこの運用を行えば、為替リスクをとることになりますが、金利と物価と為替の相関性をトータルで考えたいところです。

 まず、長期の為替は購買力平価で動きます。ビッグマックの価格は世界で同じ価格に収斂する傾向があります。

 日本政府・日銀が望んでいるシナリオは物価が上昇し、為替は今のレベルぐらいということだと思います。なので、日本の金利は長く、低く抑えられます。そうなると、為替相場は円安になるか、または今のレベル程度で維持される可能性が高いので、為替リスクには対応できると思います。

ボンドラダーではどのような債券ポートフォリオを組むのか?

 ボンドラダーは、異なる日付で満期を迎える複数の高格付け債券(米国債をはじめとした先進国の国債など)を組み合わせたポートフォリオです。

 この戦略は、債券利回り変動の影響を最小限に抑えつつ、将来の金利収入を得ることを目指して設計されています。

 同じ年に満期を迎える予定の債券を購入するのではなく、満期日を段階的に迎えるような複数のCD(譲渡性預金)または債券を購入します。満期日を分散させることで、投資家がマーケット・タイミングを予測しようとするのを防ぐことができます。規律を守り、満期を迎えた債券の収益を再投資することで、投資家は債券利回りの変動を乗り切ることができます。

 債券は保有期間中は金利がもらえ、デフォルトせずに満期を迎えれば元本が戻ってきます。元本割れのリスクは、金利が上昇して、債券を途中で売却する場合のみ生じます。国債は元本保証商品の元祖とも言えます。しかも、国債を自分で組み合わせて購入すれば、手数料を最小限に抑えることができます。

ボンドラダーは時間分散によって、金利リスクを抑える戦略

 金利上昇局面におけるボンドラダーは、定期的にポートフォリオの一部を解放し、より高い金利の債券に再投資することになります。その後、金利が低下し始めると、ボンドラダーは、その債券ポートフォリオの少なくとも一部がラダーに最初に投資した際より高い利回りを維持できています。

 一方、すべての資金が同じ日に満期を迎える債券に投資されている場合、金利が上昇する前や、金利が低下し始めたあとに満期を迎える可能性があり、いつも最適な選択肢をとれるとは限りません。

 ボンドラダーは時間分散によって、金利リスクを抑える戦略なのです。

 たとえば40万ドルを投資して、10年間、収入を得たいと考えます。20段のラダーを作ろうとすると、1つのラダーは2万ドルになります。債券は米連邦預金保険公社(FDIC)の保証がついたCD、または米国債を買います。

 満期日をどう組み合わせるかは収入ニーズに合わせて決めます。ボンドラダーでどれだけの収入を得られるかは自分で計算することもできますが、インターネットにもボンドラダーの計算ツールがあります。

似たような満期の債券が組み入れられているETFを複数組み合わせてボンドラダーを作るのは割と手軽なやり方

 国債を直接購入することのハードルが高ければ、iシェアーズのiBONDS ETFがおすすめです。

iシェアーズ iBONDS ETF公式サイトiシェアーズ iBONDS ETF公式サイト

 あるいは与信リスクをもっと取るならば、インベスコのBulletShares fixed income ETFsがおすすめです。

インベスコ BulletShares fixed income ETFs公式サイトインベスコ BulletShares fixed income ETFs公式サイト

 iシェアーズのiBONDS ETFは米国債、インベスコのBulletShares fixed income ETFsは米ドル建ての社債に投資するETFのシリーズですが、1つのETFには似たような満期の債券が組み入れられています。それが1年ごとに提供されているのです。

 たとえば、iBONDS ETFシリーズで、IBTEというティッカーの銘柄は2024年1月1日から12月15日までに満期を迎える米国債が組み入れられています。組み入れられている債券が満期になったら、再投資はせず、現金にする場合が多いです。

 そして、そのETF全体が満期になったら、投資家はその分の資金を使って自分でさらにラダーの最後の方にもう一段、iBONDS ETFシリーズの別のETFを買い足すか、自分の都合によっては、再投資しないという選択肢が取れます。

 iBONDS ETFを活用してボンドラダーを作る例を挙げてみましょう。今の金利で合計10万ドル分のボンドラダーを作ることにします。2023年満期から2033年満期まで合計11本のiBONDS ETFでボンドラダーを作ると、利回りは4.73%、管理手数料はわずか0.07%、実質的に保有する米国債の本数は166本になります。

iシェアーズ iBONDS ETFの満期の異なるETF一覧iシェアーズ iBONDS ETFの満期の異なるETF一覧 出所:iシェアーズ iBONDS ETF公式サイト

 このETFは、債券と同じように満期がありますので、デフォルトさえなければ、満期になると元本が戻ってきて、もちろん利息ももらえます。投資額が小さめの投資家にとっては使いやすい金融商品だと思います。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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