【1】今日の株式相場早わかり!
史上最高値近辺で売り買い拮抗
日経平均株価は3日ぶりに小幅反落! 先週末16日の米国市場で主要株価指数は揃って下落。1月卸売物価指数(PPI)が予想を上回り利下げ観測が後退したことで、ハイテク株を中心に売られた。一方、今日の日経平均株価は下落して始まるも、朝方には3万8555.84円(+68.60円)と上昇に転じる場面もあった。半導体関連株が売られる一方、銀行や商社、鉄鋼など景気敏感系のバリュー(割安)株に幅広く買いが入り下値を支えた。ただ、史上最高値近辺で高値警戒感がくすぶる中、決算発表が一巡して手掛かり材料難だったこともあり、その後は膠着感の強い動きが続いた。
アドバンテストやソシオネクストなどの半導体株のほか、新型ゲーム機の販売時期に関する一部報道で期待が後退した任天堂が大きく下落した。一方、三菱商事や三井物産などの大手商社株が大幅高。なお、今晩の米国市場はプレジデントデー(大統領の日)の祝日に伴い休場。今週は米半導体大手エヌビディアの決算などが予定されている。週間のスケジュールや見通しについては後のコーナーでぜひ確認してほしい。
【日経平均】38470.38円→(-16.86円)
【グロース250】765.49↑↑(+12.24)
【NYダウ】38627.99ドル↓(-145.13ドル、16日)
【ナスダック】15775.654↓(-130.520、16日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
上方修正ランキング、好調維持できそうかが焦点に
先週までに2023年10~12月期の決算発表がほぼ終わったため、様々なランキングで振り返っていこう。今日は第3四半期決算発表時に通期営業利益予想の上方修正率が高かった3月期決算企業のランキングだ(時価総額3000億円以上の大型~中堅銘柄が対象)。
トップはサンリオ。2024年3月期の営業利益予想は従来188億円だったが、第3四半期決算発表時に268億円(前期比で約2倍)へ上方修正した。店舗・テーマパークでは、国内客・外国人観光客により人流が活発化する中、「ハローキティ」50周年限定商品・イベントなどの施策が順調で、収益を押し上げた。ライセンス事業でも、引き続き「複数キャラクター展開」などの戦略的な施策が奏功したという。
期初の営業利益予想は112億円だったが、3度の上方修正で大幅に引き上げられた。上方修正ランキングでは常連とも言える銘柄で、それだけに期初予想がかなり保守的な可能性があり、5月の通期決算発表では注意点となるかもしれない。しかし、追い風頼みでなく企業努力もあって業績好調を維持している点は高く評価できるだろう。
そのサンリオとともに、決算発表前後の株価パフォーマンスが良好だったのは第一三共、また化学のデクセリアルズなどだ。第一三共は今後の利益拡大、デクセリアルズは業績回復を期待する声が多い。一方、上方修正にもかかわらず株価が伸び悩んでいるのは東北電力やANAホールディングス。電力各社は2025年3月期、「燃料費調整制度」に基づくタイムラグ差益がはく落するとみられる(タイムラグ差損益は昨年3月22日号参照)。すでに来期を視野に入れ、業績好調が続きそうかどうかで選別が行われているようだ。
■サンリオ株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
エヌビディア決算と米長期金利に注目
先週の日経平均株価は+1589.82円(+4.31%)。東京エレクトロンが業績予想を上方修正したことで日経平均株価は週初から急伸。米1月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ると利下げ観測が後退し一時伸び悩んだが、為替の円安基調が下値を支えた。週末には米半導体大手アプライド・マテリアルズの決算が好感されたほか、景気敏感系のバリュー(割安)株への物色の広がりが相場を押し上げ、日経平均株価は取引時間中には3万8865.06円まで上昇し、1989年に付けた史上最高値(終値ベースで3万8915.87円、取引時間ベースで3万8957.44円)まであと100円を切る場面もあった。
今週は20日(火)に発表される米半導体大手エヌビディアの決算に注目だ。日米ともにここまで相場をけん引してきたのは半導体株だ。生成AI(人工知能)ブームの火付け役となった同社は半導体株の中でも筆頭格として注目度が高い。株価指数について高値警戒感がくすぶっている中、今回のエヌビディアの決算内容と株価反応が短期的には相場の先行きを左右する可能性が高い。半導体株の年初からの上昇率や、先週末の国内半導体株の高寄り後に失速した動きを踏まえると、今回のエヌビディアの決算は好内容でも材料出尽くし感につながりやすいと思われる点には注意しておきたい。
また、米長期金利が高止まりしている中、連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(1月開催分)や連邦準備理事会(FRB)高官の発言機会、2月S&PグローバルPMI(購買担当者景気指数)にも注目だ。議事録内で利下げに慎重な姿勢が確認される、もしくはタカ派的な発言などがあれば金利の一段の上昇につながりやすい。PMIも予想を上回れば景気後退懸念を緩和させる一方、上振れが大きいと利下げ観測を後退させるため結果を注視したい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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