【1】今日の株式相場早わかり!
5日ぶり大幅反落、神田財務官から円安けん制発言も
日経平均株価は5日ぶり大幅反落! 22日の米国市場では、ナスダック総合指数が連日で過去最高値を更新する一方、NYダウは300ドルあまり下落した。ナイキが決算を受けて急落し、NYダウを押し下げた。先週、週間で2200円近く上昇した日経平均株価も短期的な過熱感が意識され、今日はNYダウの反落を受けて売り優勢でスタート。取引終盤に下げ幅を広げ、この日の安値で終えた。東京エレクトロンやメガバンク株が軟調で、小林製薬は紅麹の健康被害の恐れから取引時間中に売買成立せず、ストップ安となった。一方、アドバンテストやソシオネクストの値上がりが目立ったほか、京浜急行電鉄は土地売却などで純利益予想を上方修正し、好感した買いが入った。
神田真人財務官は今日、足元の円安進行を投機的とした上で、「あらゆる手段を排除せずに適切な行動を取る」と述べた。為替介入への警戒感が強まるか注視したい。今晩の米国では2月の新築住宅販売件数が発表される。
【日経平均】40414.12円↓↓(-474.31円)
【グロース250】750.24↓(-4.98)
【NYダウ】39475.90ドル↓(-305.47ドル、22日)
【ナスダック】16428.819→(+26.983、22日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
3月の優待変更、三井不動産の新設など積極化!
今日は3月に発表された株主優待の変更を見ていこう。株主平等の原則に反するといった批判などから、優待を廃止する企業が増えていると伝わるが、むしろこの3月も大企業の新設などが話題となった。新NISA(少額投資非課税制度)スタートによる個人株主の裾野拡大という狙いに加え、東証の要請などにより上場企業の株価への意識が高まったこともあり、優待の新設・拡充が期待できそうだ。
三井不動産は3月末を基準日として、1株につき3株の割合で株式分割を実施する。また、2025年3月末分から優待を新設。分割後100株以上1200株まで100株ごとに三井ショッピングパークポイント1000pt、1200株超で1万2000ptを贈呈する(保有期間の条件、長期保有者優待制度あり)。同社株への投資の魅力を高めるとともに、商業施設などの利用を通じて事業への理解を深めてもらうことが目的だ。最低投資額の引き下げと優待新設は、まさに個人投資家を意識した施策と言えるだろう。日銀による追加利上げ観測がくすぶる点には注意が必要だが、デフレ脱却による恩恵への期待は根強い(3月19日号参照)。
北陸地盤のドラッグストアであるクスリのアオキホールディングスは優待を拡充。昨年11月に株式分割(1→3株)を実施したことに伴い、分割後100株以上300株未満の区分が設けられた点などはうれしい。不動産のサムティは対象ホテルの拡充に積極的だ。また、北洋銀行が優待を新設したほか、ふくおかフィナンシャルグループが優待メニューの見直しを行った。地銀は低PBR(株価純資産倍率)にとどまる上、地元経済・顧客との結びつきを強めるためにも、積極的な優待施策が期待できそうだ。
■三井不動産株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
不透明感払拭や押し目買い意欲で堅調か
先週の日経平均株価は+2180.79円(+5.63%)。日銀による金融政策の正常化を巡る相次ぐ観測報道を受け、会合終了後の安心感に伴う株高を狙った買いが入り、週初から大幅高。その後、日銀は予想通り、マイナス金利の解除などを決定。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備理事会(FRB)が年内の利下げ回数について、従前からの3回という予想を維持したことも安心感につながった。日経平均株価は22日には4万888.43円と史上最高値を更新した。
日本では28日(木)に公表される日銀の金融政策決定会合の「主な意見」や、29日(金)に発表される3月の東京都区部消費者物価指数(CPI)に、米国では29日の2月個人消費支出(PCE)価格指数に注目。日銀やFRBの政策動向を巡って思惑が高まる可能性もあり、一時的な株価調整には注意したい。
一方、日米の金融政策イベントを通過し、目先の不透明感の払拭から概ね堅調な地合いが続きそうだ。27日(水)には3月末の権利付き最終売買日を控え、配当・株主優待の権利取り狙いの動きが相場を下支えすることが期待される。また、27日から28日にかけては、株価指数連動型ファンドによる配当再投資に伴う先物買いも想定される。他方、29日の取引終了にかけては、日経平均株価の構成銘柄の入れ替えに伴い、換金売りによる超過の売り需要が予想され、日経平均株価の構成銘柄には一時的な下押し圧力がかかりそうだ。
ただ、例年、海外投資家は4月に日本株を大きく買い越す傾向がある。企業のガバナンス改革や賃上げによるデフレ脱却など、日本経済の構造変化を指摘する声も多い中、今年も4月の海外勢による買い越しが期待され、一時的な下押し時には旺盛な押し目買いが入りそうだ。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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