【1】今日の株式相場早わかり!
大幅反落、期初に国内投資家が利益確定売り?
日経平均株価は大幅反落! 米国などの海外主要市場は3月29日、聖金曜日(グッドフライデー)で休場だった。名実ともに新年度相場入りした今日の日経平均株価は続伸してスタート。しかし、前場中ごろを過ぎると大きく値を崩し、節目の4万円を割り込んだ。海外投資家の取引参加が少ない一方、国内投資家からは期初早々に利益を確保するための売りが出やすいとの見方があった。1~3月期の値上がり上位銘柄(3月27日号参照)の一角である三菱重工業などが大幅安。一方、金融事業の再編が伝わった楽天グループや、主力「すき家」での値上げを発表したゼンショーホールディングスは堅調だった。
日銀が今朝発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断指数(DI)が4期ぶりに悪化するも、想定内との受け止めが多かった。米国では、今晩発表される3月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数に注目したい。
【日経平均】39803.09円↓↓(-566.35円)
【グロース250】734.62↓↓(-11.83)
【NYダウ】休場
【ナスダック】休場
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
三菱重工や三井不動産が株式分割で買いやすく!
3月末(実質的には3月29日)を基準日として、61社が最低投資額の引き下げにつながる株式分割を実施した。新NISA(少額投資非課税制度)スタートや、東証による「資本コストや株価を意識した経営」の要請を受け、個人株主の裾野拡大を狙った株式分割は引き続き多く行われている。従来は最低投資額が高く、投資を見送らざるを得なかった銘柄も、今回の株式分割で買いやすくなったかもしれない。また昨年、1→25株の大型分割に踏み切ったNTTのように、個人投資家からの人気が急上昇する銘柄も出てきそうだ。
富士通と三菱重工業は1→10株という大型分割を実施。分割前の最低投資額は富士通が200万円超、三菱重工が100万円超に上ったが、10~20万円台へと大幅に引き下がった格好だ。また、三井不動産は1→3株の分割を実施するとともに、2025年3月末分から株主優待を新設すると発表(3月25日号参照)。まさに個人投資家を意識した施策と言えるだろう。
上の表には1~3月期の株価騰落率も併記した。1~3月期の株価パフォーマンスが良好だった銘柄ほど、今日の取引では国内投資家から利益確定売りが出やすかった。ただ、株式分割で個人投資家からの人気が一段と高まるなら、押し目買いの好機となる可能性もありそう。実際、1~3月期に大型株屈指の好パフォーマーとなった三菱重工は、分割後の取引でも大きく買われる場面が散見される。エネルギーや航空・防衛・宇宙と幅広い分野で活躍が期待され、当メルマガの水曜コラム「投資の疑問に答えます」などにもたびたび登場する人気株だ。三井不動産はデフレ脱却による恩恵が期待され、損保各社は不透明な取引慣行が問題視されつつも、「政策保有株ゼロ」に向けた取り組みが注目される。
■三菱重工業株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
週末まで様子見ムードが強まりやすい
先週の日経平均株価は-518.99円(-1.27%)。機関投資家による資産配分の調整(リバランス)を目的とした売りなどが重石になる一方、配当権利取り狙いの動きなどが下値を支えた。一方、週後半は為替介入に対する警戒感が上値を抑える場面があった。
今週は週末に米3月雇用統計や製造業決算の先駆けとなる安川電機の決算を控え、様子見ムードが強まりやすい。こうした中、短期的には、金融機関が簿価より時価が値上がりしている時点で株式を売却し利益を確定する、期初特有の「益出し」が相場の上値を抑制しそうだ。
米雇用統計は全体的に堅調な内容が予想されている。景気に対する楽観的な見方を支えてくれそうな反面、平均時給の伸びが市場予想を上回った場合、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が一段と後退し、株式市場の重石になりそうだ。米長期金利が上昇しても、為替介入の警戒感がくすぶっているため、円安の進行は限られそうで、実際の介入の可能性も踏まえると、輸出系企業の買いは慎重に行いたい。安川電機の決算では2025年2月期の業績予想が発表される。受注実績など足元の動向と合わせて、経営者の先行きに対する自信を確かめたい。
週末まで全体的に手掛けにくさが意識されやすい中、国内では2月期企業の決算を受けた個別株物色が強まりそうだ。賃上げによるデフレ脱却期待が高まる一方、円安による輸入インフレ再燃の懸念もくすぶっており、内需系企業の2025年2月期業績予想は、4日(木)の日銀の地域経済報告(さくらレポート)や、5日(金)の総務省の2月家計調査などと合わせて、国内経済動向を占う重要な材料となる。一方、4月は例年、海外投資家の買い越しが強まりやすい。長い目線では弱気になる必要はなく、下押したところは強気で臨みたい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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