ロッテと言えば、ガムやお菓子で多くの日本人にとって馴染みの深い企業です。そのグループ会長が韓国・ソウルで身柄を拘束されています。創業者一族に便宜を図ったことが横領・背任にあたるという容疑ですが、便宜を“図られた側”に捜査が及んだ形跡がないなど不可解な部分が多く、また創業からの経緯を巡る複雑な事情なども絡んだ深い闇があるようです。金融・経済の裏側を知る刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、ロッテを巡る韓国の闇に切り込みます。
仕事をしない親族に給与を払った
容疑は「横領」だが捜査は不可解
ロッテグループの不正疑惑を捜査しているソウル中央地検は9月26日、グループ創業者の辛格浩(以下日本名、重光武雄)氏の次男で、韓国ロッテグループ会長の辛東琳(同、重光昭夫)氏に対する逮捕状を請求しました。
韓国検察は昭夫氏が、創業者一族を韓国および日本のグループ各社の役員に就かせ“何の仕事もしていない”にもかかわらず巨額の給与を支給したり、業務上の便宜を図ったことが特定経済犯罪加重処罰法上の「横領」に当たると判断しているようです。
問題とされている“何の仕事もしていない創業者一族”とは、昭夫氏の実兄・辛東主(同、重光宏之)氏、武雄氏の愛人・徐美敬氏とその娘。昭夫氏は彼らに計500億ウォン(45億円)を給与として支給し、韓国ロッテグループに損害を与えたというのです。
さらに昭夫氏は、徐氏が運営するロッテシネマ内の店舗等への発注を巡り、韓国ロッテグループに770億ウォン(70億円)の損害を与えたとされています。要するに親族に便宜(温情?)を図った容疑ですが、便宜を受けた実兄や実父への捜査状況は不明、徐氏親子に至っては無罪放免となるようです。
昭夫氏については、裏金や政官界への巨額賄賂の嫌疑もかけられていましたが、そちらは当然のように証拠不十分で容疑から外されています。8月26日に韓国ロッテグループ副会長の李仁源氏が自殺してしまった影響もあるようです。
韓国の政官界や検察や裁判所が、寄って集(たか)るとこういう結果になるのでしょう。
売上の9割が韓国でも資本は日本…
日本憎しで何でもアリの韓流裁きか
ところで、日本と韓国の狭間で急成長したロッテグループについては、もう少し解説しておく必要があります。
ロッテグループは、在日韓国人1世の重光武雄氏(94歳)が1948年に創業したロッテホールディングス(旧社名・ロッテ)を中核とする企業グループで、日韓国交正常化の1965年に韓国にも「進出」しました。
日本でも韓国でも上場していませんが、2014年の連結売上高は6兆5000億円、営業利益2300億円、総資産8兆9000億円の巨大企業グループです。売り上げの9割以上が韓国ですが、グループの持ち株会社は日本のロッテホールディングスという「ねじれ構造」になっています。
つまり、韓国目線で見ると、国内5位の企業規模でありながら、資本は日本(ロッテホールディングス)に握られているという「非常に面白くない企業グループ」なのです。
ロッテホールディングスは主要株主を重光一族が占めていますが、創業者・武雄氏の2人の息子(宏之氏、昭夫氏)は共に日本で生まれ育ち、2人とも日本語しか話せませんでした。
武雄氏は宏之氏を三菱商事、昭夫氏を野村證券でそれぞれ武者修行させ、ゆくゆくは長男の宏之氏に日本ロッテグループ(グループの持ち株会社であるロッテホールディングスを含む)、次男の昭夫氏に韓国ロッテグループを継承させる方針だったようです。
2009年に宏之氏はロッテホールディングス(日韓グループの持ち株会社)取締役副会長となり(会長は武雄氏、社長は外部から招聘した佃孝之氏)、昭夫氏も韓国ロッテグループの取締役会長となり、事業継承が進み始めたように見えました。
ところが2015年1月に宏之氏が突然ロッテホールディングス副会長をはじめ各社の役員を解任され(武雄氏が解任したといわれています)、同年7月には昭夫氏が韓国ロッテグループ会長のままロッテホールディングス副会長に就任、同時に武雄氏をロッテホールティングス名誉会長に祭り上げて実質的にグループの実権を握ってしまいました。
これだけなら重光一族内のよくある「骨肉の争い」なのですが、今回はその混乱に乗じて韓国の政官界に検察や裁判所までが結託し、一気呵成にロッテホールディングス(所有者は重光一族ですがれっきとした日本企業です)を国有化してしまおうとしている思惑が見て取れます。
日本憎しなら何でもありになってしまうのが韓国なのです。
人気球団・千葉ロッテマリーンズの親会社でもある日本企業「ロッテホールディングス」は、このまま恨みと妬みと憎しみが渦巻いた国家の闇に飲み込まれてしまうのか!? 金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」では、引き続きこの事件に注目していきます。
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