闇株新聞[2018年]

次に狙われそうなのは楽天か、ソニーか!?海外空売りファンドが続々日本に上陸の気配闇株新聞が探した「実力に比べ株価が高い企業」とは

2016年8月31日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

海外空売りファンドが日本企業を標的にするケースが立て続けに起こりました。今のところはまだ「局地戦」に過ぎませんが、これから続々と日本に上陸してくる気配がしています。次に狙われるのはどの企業なのか!? 金融・経済のプロも愛読しネタ元にしていると評判の刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、大胆に切り込みます!

 世界的に株価が天井に近づけば「買い」より「売り」で儲ける方が簡単になります。伊藤忠やサイバーダインは、あらかじめ売り玉を仕込んだ空売りファンドが自社レポートで売り煽る手口でしたが、空売り専門でなくとも同じことはできますし、レポートなど出さずとも売買手腕(売り叩き)だけで大儲けするファンドはゴマンとあります。

[参考記事]
●サイバーダインが「売り推奨レポート」で大幅下落、空売りファンドが大挙して日本市場に押し寄せる!?(2016年8月26日)
●空売り投資家「グラウカス」が日本上陸。伊藤忠(8001)は第2の東芝事件になるか!?(2016年8月5日)


 そこでどういう企業が次の「空売りターゲット」になるのかを考えてみます。会計上の不正を探るとか、高度な業績予想などは必要ありません。実力に比べ株価が高い企業はどこかを考えればいいのです(本紙は個別銘柄の売買推奨をしていません)。

独自の会計処理で実態が見えにくい
楽天の減損処理事業はまだまだある!?

 例えば楽天(4755)です。2015年12月期連結決算は、売上高こそ前年比19%増の7135億円でしたが、営業利益は同11%減の946億円、減損損失が381億円もあり最終損益は同37%減の444億円となっていました。

 この減損額の6割以上は2010年に買収しECサイト運営「プライス・ミニスター」と、2011年に傘下に収めた電子書籍企業「kobo」で、両社とも200億円以上を投じながら収益化できていません。

 2016年1~6月期連結決算は売上高が前年同期比11%増の3689億円でしたが、営業利益は同11%減の488億円とさらに減り、最終損益も同4%減の265億円となっています。

 楽天は(今に始まったことではありませんが)非経常的な損失を決算から除外する「独自の処理方法」を採用、2016年1~6月期に「在外営業活動体の換算差額」として675億円もの損失を“外出し”しており、四半期包括利益合計額が443億円の赤字となっています。

 この「在外営業活動体の換算差額」とは海外子会社の為替差損を含む減損処理額のはずですが、2015年通期には107億円「だけ」でした。楽天の決算は大変に実態がわかりにくいのです。

 また別に発表している資料では、楽天ののれん代は2015年12月末の3694億円から2016年6月末の3270億円まで424億円も減少していますが(それだけ減損処理しているはずですが)、まだまだ高水準です。

 その中には2014年2月に「突然」9億ドルもの大金を支払って買収したキプロスのSNS会社Viber分が2015年12月末に1001億円、2016年6月末に854億円(ようやく減損した?)含まれています。償却対象はまだまだありそうです。

ECは下り坂、外郭は金融事業なのに
PBRが異様に高い理由とは!?

 つまり、楽天の収益モデルとは単にスタートが早かっただけでそれほど差別化できているわけでもないEC事業を中心に、銀行、証券、カード、保険などを付け加えたものでしかなく、アマゾンなど海外大手が日本でシェアを伸ばしていくと、たちまち収益が陰ってしまうことになります。

 そのうえ、手当たり次第に買収した海外子会社の収益化も遅れ、減損負担が一気に加わることになります。EC事業が行き詰まると、その悪影響はとんでもないスピードでグループ全体の損益と資産に広がることになるはずです。

 楽天の先週末(8月26日)の株価は1272円で、本年高値の1428円(1月4日)から11%しか下落していません。楽天は通期収益予想を発表しないためPERは計算不能ですが、先週末時点のPBRは2.97倍もあります。

 楽天の連結資産には銀行/証券/カード/保険などの金融関連が多いのですが、これら事業を単体で行う企業はPBR1倍を大きく下回るのが普通です。それに比べ楽天の株価が異常に高いのは、投資家がいまだに「高成長企業」あるいは「IT企業」のイメージを抱いているからでしょう。

 楽天の株は流動性があり、海外での貸株調達も容易です。海外のファンドはこういうところを見逃しません。すでに数多くのファンド(空売り専門ファンドとは限りません)に目を付けられていると考えても不思議ではありません。

苦境なのに株価が高いソニーも
すでにファンドに狙われている!?

 もうひとつ、実力に比べ株価が異様に高い例としてぱっと思いつく企業にソニー(6758)があります。7月29日に発表された2016年4~6月期連結決算では、営業利益が前年同期比42%減の562億円、最終損益が同74%減の211億円と暗雲が立ちこめています。

 通期決算予想も下方修正して営業利益を前年比2%増の3000億円、最終損益を同46%減の800億円としていますが、円高も進んでおり「とてもそんな下方修正で収まる」ようには思えません

 ソニーについては今週の『闇株新聞プレミアム』で、さらに詳しく解説しています。ご興味のある方は是非そちらの記事もお読みいただければと思います。

 また闇株新聞では読者の方からの質問にお答えするコーナーもあります。「この企業について解説せよ」とのリクエスト、空売りファンドの手口についてなど、読者の皆様から質問には随時お答えしています。こちらもぜひご活用ください。

本連載は金融・経済のプロも愛読し”ネタ元”にしていると評判の刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」で配信された記事から、一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガにご登録いただくと、政治経済や金融の話題を中心に、歴史文化や娯楽まで他のメディアでは決して読めない、濃くて深くてためになる記事が、毎週1回5本程度の本編と付録、番外編、速達便がお読みいただけます。日々のニュースを読み解くセカンドオピニオンとしてご活用いただければ幸甚です。
 

闇株新聞PREMIUM

闇株新聞PREMIUM
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時  【価格】 2,552円/月(税込)
闇株新聞PREMIUM 闇株新聞
週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。
お試しはコチラ

 

DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)

●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?

金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料! 


世の中の仕組みと人生のデザイン
【発行周期】 隔週木曜日  【価格】 864円/月(税込)
世の中の仕組みと人生のデザイン 橘 玲
金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。
お試しはコチラ

堀江 貴文のブログでは言えない話
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時  【価格】 864円/月(税込)
堀江 貴文のブログでは言えない話 堀江 貴文
巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。
お試しはコチラ

 


今日の注目株&相場見通し!!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

攻めと守りの高配当株
NISAの攻略法
高配当株トップ300

9月号7月20日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[攻めと守りの高配当株]
◎巻頭企画
誌上初対談!
優待株で5億円超!桐谷広人さん×累計利益100億円!テスタさん

「どんな相場でも勝てる戦略で年後半に挑む」

◎第1特集
インフレに強い!NISAにもピッタリ!
攻めと守りの高配当株
●守り:持ちっぱなしOK!ド安定高配当株63

・過去最高に稼ぐ高配当株
・減配しない10年配当株

●攻め:配当と値上がり益を両取り!

欲バリ高配当株29
・さらに増配する高配当株
・稼ぐチカラがある高配当株
・中小型の増配株

●高配当株の達人 かんちさんの投資術
●隠れ高配当株に注目!
●武藤十夢のアガる高配当株教えて!


◎第2特集
勝ち組8人のリアルバイ!
8人8色の攻略法を大公開!NISAで何買ってる?
●成長投資枠は投信・ETFメイン
米高配当ETFをスポット購入/高配当株投信を積立など
●成長投資枠は株メイン
割安&高成長の配当株を長期保有/優良IPO株の当選待ち!など


◎第3特集
つみたて投資枠投信の6カ月の通信簿
●積立てた時の成績上位50本ランキング
●好成績で発進した8本を分析!

 

◎第4特集
株主総会2024-37社の突撃レポート!
●桐谷さんも参戦!要注目のお騒がせ株
ダイドーリミテッド/日産自動車/ニデック
●みんなが持ってる人気株
東京エレクトロン/ソフトバンクG/ソニーグループほか
●気になる高配当&金融株
三井住友FG/三菱HCキャピタル/オリックス
●ザイの新人記者がNTTの総会に初参加!
●2024年株主総会の4つの特徴


【別冊付録】
買いか売りかをズバリ判定!
利回り4.1%以上ぜんぶ載せ!
高配当株トップ300大診断

 

◎連載も充実!

◆おカネの本音!VOL.25ジャスティンさん
「働き方の常識を更新 エジプトで暮らせば月収5万円で悠々自適」
◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年6月編
「新興株市場の底打ちでIPO株も取引が活発化」
◆株入門マンガ恋する株式相場!VOL.93
「サイバー攻撃でヤりたい放題!?」
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「困った場合の救済策も!奨学金を人生の重しにしない方法」
◆人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報