【1】今日の株式相場早わかり!
米株最高値を追い風に3万9000円台を維持
日経平均株価は続伸! 10日の米国市場で主要株価指数はそろって上昇し、ナスダック総合指数とS&P500指数は最高値を更新した。今週に発表を控える5月消費者物価指数(CPI)などを前に様子見ムードが強かった上、独自の生成AI(人工知能)プラットフォームを発表したアップルはサプライズに乏しく下落したが、半導体株などが堅調だった。フィラデルフィア半導体指数(SOX)も最高値を更新したことで、関連株に買いが入る中、今日の日経平均株価は上昇して始まると、円安も追い風に上げ幅を一時300円近くにまで広げた。一方、重要イベントを前に積極的な買いは手控えられ、その後は膠着感の強い動きが続いたが、3万9000円台を割ることはなかった。
個別ではハイテク株が堅調だった一方、海運株など景気敏感株の一角が下落し、東証プライム全体では売りが優勢だった。なお、今日から明日にかけて米国では連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。結果は日本時間13日未明(午前3時)に公表される予定だ。
【日経平均】39134.79円↑(+96.63円)
【グロース250】631.49↑(+5.71)
【NYダウ】38868.04ドル→(+69.05ドル、10日)
【ナスダック】17192.529↑(+59.403、10日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
アクティビストの投資候補を探せ、キャッシュリッチに注目
6月末にかけて株主総会が相次ぐが、アクティビスト(物言う株主)の動きが活発で、株主提案を受けた企業が最多になったとも伝わっている。そこで、今回は今後アクティビストによる投資または買い増し対象となりやすい企業に注目。主に「PBR(株価純資産倍率)1倍未満」「ROE(自己資本利益率)8%未満」などの条件を満たす企業の中で、ネットキャッシュ比率(現金及び現金同等物から有利子負債を差し引いたネットキャッシュを時価総額で割って算出)が高い企業をピックアップした。
エイベックスの株価はオリジナルIP(知的財産)の収益化の遅れなどから低迷中。ただ、資本コストや株価を意識した経営方針をすでに公表済みで、5月の決算時には大規模な自社株買いも発表。配当利回りも4%超と高い。直近、政府からの「新たなクールジャパン戦略」や、サウジアラビアでの人気アニメのテーマパーク建設が発表されたばかりでもある(6月7日号)。同社は昨年、子会社によるサウジアラビアでの新会社設立を発表しており、エンタメ関連としても注目できそうだ。
商業用印刷機械メーカー大手の小森コーポレーションは5月、2030年3月期にROE10%以上を目指す方針を発表。一方、プリンター業界はデジタル化による印刷需要の減少に直面している。結局、MBO(経営陣が参加する買収)が決まったローランド ディー.ジー.に対してブラザー工業が同意なき買収を仕掛けるなど、足元で再編の動きが激しい業界でもあり、今後もアクティビストによる投資対象となりやすい企業が多いとも考えられる。
資本コストを意識した経営方針を発表済みの企業でも、対応策が不十分とみられれば、アクティビストの投資対象にはなり得る。ネットキャッシュが豊富かつPBR1倍割れの企業には今後も注目しておきたい。
■エイベックス株価チャート/日足・6カ月
【3】火曜連載「ザイ編集部発! 週イチ『投資信託ニュース』」
「ニッポン中小型株ファンド」の好成績を支える基準株価とは?
5年間の成績は89.5%(2024年4月末時点)で、指数を上回る好成績を出し続ける日本株型の投資信託「ニッポン中小型株ファンド」。同投信は「ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2024」で、日本中小型株部門の最優秀賞にも輝いている。
ファンドマネージャー・苦瓜達郎さんに話を聞いた。
***
──どのような視点で銘柄を発掘されているのでしょうか?
苦瓜 私は「発掘」しません。(中略)銘柄の中から、成長性や経営の質が高いと思える銘柄を選びだして、自分が割安と思ったものから順番に買っていき、割安度が薄れたり、割高になったりしたら手放す。そのスタイルを粛々とずっと維持しています。
──成長性や経営の質をどう見極めているのですか?
苦瓜 (中略)見極めるよりなにより、まずはその企業のことをもっと知りたい。だから、経営者の方々に直にお会いして、生の情報をいただき、その会社に対する自分の実感を得るように心がけています。
(中略)中小型株投資信託のファンドマネージャーになってから20年になりますが、年間600~800社程度の企業取材はずっとしていますね。
(中略)
──成長力のある割安株をどうやって見つけるのですか?
苦瓜 そのために独自の「基準株価」を算出しています。現実の株価が基準株価よりも低い銘柄を割安、高い銘柄を割高と判定しています。それに照らし合わせて、割安度が高い順に買っていき、割安度が薄れたり、割高になった銘柄を手放すということですね。
***
インタビュー本編では、省略した「苦瓜さん独自の『基準株価』の算出方法」「苦瓜の企業発掘の姿勢と、取材企業の選び方」「銘柄入れ替えの判断、考え方」などについて解説している。長期目線の投資とは、など参考になる考え方も。ぜひ、インタビュー本編も確認を。
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