【1】今日の株式相場早わかり!
円安加速も上値の重い状況変わらず
日経平均株価は4日ぶりに小幅反落! 20日の米国市場では、ナスダック総合指数が8日ぶりに反落した一方、NYダウは上昇するなど高安まちまち。6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数などの経済指標がそろって市場予想を下回ったほか、ミネアポリス連銀総裁からのタカ派的な発言による利下げ期待の後退もあり、これまで好調だった半導体株を中心に利益確定売りが広がった。今日の東京市場でもハイテク株には売りが出た一方、海運株や保険株のほか、景気敏感株の一角には買いが入るなど高安まちまちとなった。為替は一時1ドル=159円台まで円安が進んだが、これを好感する動きは限られ、日経平均株価は前日終値を挟んだ一進一退が続いた。
個別では、レーザーテックやTOWAなどの半導体株の一角が大きく下落したほか、株主総会で特段の材料が見られなかったソフトバンクグループも利益確定売りに押された。一方、業績予想を上方修正したサイボウズが急伸。今晩の米国市場では、6月の購買担当者景気指数(PMI)や5月の中古住宅販売件数が発表される。
【日経平均】38596.47円→(-36.55円)
【グロース250】637.98→(-0.17)
【NYダウ】39134.76ドル↑(+299.90ドル、20日)
【ナスダック】17721.587↓(-140.645、20日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
6月の高パフォーマンス銘柄、アップル関連など
昨日の東証プライムの売買代金は今年最低を更新。その他の各種統計などからも海外投資家の日本株への注目度の低下が窺えるが、こうした中でも独自の背景で株価を伸ばしている銘柄は存在する。そこで今回は6月に入ってからの株価が高パフォーマンスな銘柄の中からいくつかピックアップして紹介しよう。
特に注目度が高いのは三菱重工業だろう。関連予算の増額など追い風が吹く防衛・宇宙に加え、再稼働機運が高まる原発、電力需要に応えるガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント(GTCC)など期待材料が豊富で、海外投資家からの注目度は依然高い。今回のランキングには入っていないが、同じ原発・防衛などで注目度を高めている企業としては日本製鋼所も挙げられる。同社も昨年末比でみれば株価上昇率は73.7%と驚異的なパフォーマンスを誇る。
太陽誘電やTDKなどの米アップル関連株も入った。6月14日号で取り上げたように、アップルは今月、次期基本ソフト(OS)への生成AI(人工知能)機能の搭載を発表。元々、過去のスマートフォンの売行き動向から今年が買い替え時期に該当するとの指摘もあったが、同社の発表を受け、今後の買い替え促進への期待が一段と高まっている。
6月はインフレ懸念が後退し米長期金利が低下したことで、中小型グロース(成長)に見直しの動きが強まり、GMOペイメントゲートウェイやJMDC、アンビスホールディングスなど、高い市場シェアや独自のビジネスモデルに基づく競争優位性を背景に強みを持つ関連企業が上位に入った。ただ、日銀が国債買入れ減額の具体的なペースを決定するのは7月の金融政策決定会合。金融政策に関する先行き不透明感が少しは晴れそうな次回会合を通過してからの方が、グロース株の買い安心感はより強まりやすいと思われる。
■三菱重工業株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
7月3日に新紙幣発行! 恩恵が期待される銘柄は?
7月3日の新紙幣発行が目前に迫ってきた。20年ぶりの刷新で、新たな肖像画の人物は1万円札が渋沢栄一、5000円札が津田梅子、1000円札が北里柴三郎となる。今週19日には製造工程が報道陣に公開され、発行に向けて関連報道が増えるとともに、認知・関心も高まりそうだ。
昨年12月15日号の当コーナーでは、当時すでに新紙幣の発行に伴う製品更新・改造需要が顕在化していた貨幣処理機大手のグローリーなどを取り上げた。金融機関や大手企業を中心に新紙幣への対応は進んでいるとみられるが、各種報道によれば、コスト高に苦しむ飲食業などでは未対応の店舗もいまだ多いという。グローリーの2025年3月期は特需の反動から大幅減益予想となっているが、今期も一定の対応需要が見込まれる。
一方で、新紙幣の発行がキャッシュレス決済の更なる普及につながるとの見方も多い。機器の買い替えコストを抑制するため、“キャッシュレス決済のみ”の対応に切り替えた飲食店などが各種メディアで取り上げられている。切り替え後も客数は減少していないなどといったコメントを見ると、まだ新紙幣に対応していない店舗がキャッシュレス決済のみに踏み切りやすくなるかもしれない。また、キャッシュレス決済限定の路線バスを可能にする規則改正が7月に実施されるとも報じられた。
こうした流れから、LINEヤフー傘下のPayPayや楽天グループの「楽天ペイ」といったコード決済は更なる拡大が期待されそうだ。交通系・流通系電子マネーの動向も注目され、JR東日本は「Suica」経済圏拡大に意欲を見せる。成長期待が高い新興株としては、GMOペイメントゲートウェイ傘下で決済端末「stera」を手掛けるGMOフィナンシャルゲートなどがある。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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