【1】今日の株式相場早わかり!
反発、米ハイテク株安を引き継ぐも円安で買い
日経平均株価は反発! 21日の米国市場では、NYダウが小幅に4日続伸する一方、ナスダック総合指数は続落した。半導体のエヌビディアは続落して-3.22%となり、時価総額トップから陥落。同社を筆頭に、これまで大幅に値上がりしてきた半導体関連株は利益確定売りに押された。一方、S&Pグローバルが発表した6月の米購買担当者景気指数(PMI)が上昇し、為替市場では一時1ドル=160円近くまで円安が進行。週明けの日経平均株価は下落してスタートしたが、円安で輸出関連株などに買いが入り、上昇へ転じた。売買代金上位では、トヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループが堅調だった。
神田真人財務官は円安進行を受けて、為替介入について「いつでも準備できている」などと述べ、再び実施に踏み切るか注目される。また、欧米では週末にかけて政治イベントが相次ぐため、経済指標や企業決算の発表予定とともにコラムコーナーで確認しておこう。
【日経平均】38804.65円↑(+208.18円)
【グロース250】638.77→(+0.79)
【NYダウ】39150.33ドル→(+15.57ドル、21日)
【ナスダック】17689.361→(-32.226、21日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
日立・アシックス・三井物産が株式分割で買いやすく!
6月末(実質的には28日)を基準日として、22社が最低投資額の引き下げにつながる株式分割を実施する予定だ。権利付き最終売買日は今週26日で、翌27日から株式分割後の株価で取引が始まる。3月末基準で実施した企業(61社、4月1日号参照)ほど多くはないが、個人株主の裾野拡大を狙った株式分割はまだまだ出てきている。従来は最低投資額が高く、投資を見送らざるを得なかった銘柄も、株式分割で手が届くようになるかもしれない。また、今回も株価が好調に推移し、先行きに期待が持てる有力企業が散見されるため、要チェックだ。
日立製作所は1→5株の分割を実施。現在の最低投資額は160万円超とやや高額だが、株式分割後は30万円台まで下がる見込みだ。同社は上場子会社の整理を終え、「デジタル」「グリーン」「イノベーション」の3つを成長の柱に据える。特に企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する「Lumada(ルマーダ)」事業がけん引役として期待されるほか、最近では傘下の日立エナジーが送配電機器の増産へ積極投資することも市場で好感された。
日立の株価は年初来で+64.70%となっており、値上がりに伴う株式分割は好印象。最低投資額の引き下げで個人投資家からの人気が一段と高まる可能性は十分ありそうだ。また、年初来で株価が2倍以上になっているのはアシックス。ランニングシューズの好調ぶりが光る。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の投資先として根強い人気のある三井物産や、「資本コストや株価を意識した経営」の好事例とされる荏原製作所(3月18日号参照)などにも注目したい(ただし、三井物産は今日の取引終了後に株式の海外売出しを発表)。
■日立製作所株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米PCE&米マイクロン決算に注目
先週の日経平均株価は-218.09円(-0.56%)。極右政党が台頭するフランスの政治情勢が警戒され週初は急落も、その後は過度な懸念が後退し、緩やかに株価は回復した。一方、20日に東証プライムの売買代金が今年最低を記録するなど商いの低調が目立った。
今週は30日(日)にフランスの下院議会選挙の第1回投票を控えている上、28日(金)には米連邦準備理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)価格指数の5月分の発表も控えているため、週末まで動きづらいだろう。一方、週内の注目材料としては米コンファレンスボードの6月消費者信頼感指数のほか、物流大手フェデックスやスポーツ小売大手ナイキ、半導体メモリ大手マイクロン・テクノロジーなどの米企業決算が挙げられる。
米経済をけん引してきた個人消費には徐々に陰りが見えてきている。消費者信頼感指数の結果に加えて、フェデックスとナイキの決算も悪いと、景気後退懸念が強まる恐れがある。マイクロンの決算は半導体株全体への影響が大きいだけに要注目だ。先週末に米国市場はオプションの満期日が集中するトリプルウィッチングを通過し、需給の変化が想定される。マイクロンの決算では生成AI(人工知能)向けに旺盛な需要が期待されるが、需給変化の背景から素直には株高につながらない可能性もあり、結果と株価反応に注目だ。
米5月PCEの食品・エネルギーを除いたコア価格指数は前年同月比および前月比で伸びの鈍化が予想されている。予想通りの結果となれば、FRBの利下げ期待の高まりを通じて株式相場を下支えしてくれそうだ。27日(木)には米大統領選挙に向けた討論会が開催される。バイデン大統領やトランプ前大統領からの発言を受けて改めて米中貿易摩擦などへの懸念が強まる可能性には注意しておきたい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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