毎年恒例のジャクソンホール会議が開催。FRB議長の発言に世界が注目
「時が来た」―。
毎年8月下旬にカンザスシティ連銀の主催で3日間にわたって米国のワイオミング州のジャクソンホールでシンポジウムが開催される。各主要国の中央銀行総裁や幹部、経済学者らが集まり様々な議論が交わされる。これがジャクソンホール会議と言われるものであり、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演も行われる。米連邦公開市場委員会(FOMC)と同様に世界中が注目するイベントである。
毎年「何かが起こる」ジャクソンホール。一昨年はパウエル議長のわずか8分40秒の演説において「やり遂げるまでやり続けなければならない」とインフレ退治を目的に利上げを継続する決意を表明。2023年早々にも政策金利は低下するとのノーテンキな楽観相場に対して警鐘を鳴らし、タカ派的な姿勢を鮮明にしたことでマーケットは急落。「逆金融相場」への流れが強まった瞬間として記憶している方々も多いと思う。
時が来た。9月FOMCで利下げが確実視。金融相場への号砲がついに鳴る!
今年は8月23日にパウエル議長の講演が行われた。冒頭の「時が来た」というのが今回のメッセージである。時が来た、というのはもちろん「利下げをする時が来た」ということであり、「物価目標2%の達成への自信が深まっている」と明言した。米国市場は3指数揃って上昇し、NYダウは前日比462ドル高の4万1175ドルにて取引終了。7月17日につけた過去最高値4万1198ドルにあと一歩と迫った。
これで9月のFOMCにおいて利下げが確実になったわけであるが、世界最大の経済大国である米国の4年半ぶりの利下げは、世界の市場やマネーの動きにも大きな影響を与える。2020年3月以来の金融緩和政策の持つ意味は大きい。
米国の現在の政策金利は5.25〜5.50%であり2001年以来の高水準となっている。コロナ禍を経て経済活動が急速に活発化し、社会全体の需給バランスが崩れて物価が高騰。利上げによって企業や家計の活動を鈍らせ、経済全体の需要を抑えて物価を押し下げる狙いがあった。一時は9%を超えていた消費者物価指数(CPI)は現在2%台まで低下しており、利上げでインフレ退治が着実に進んでいることを示している。まさに「時が来た」である。
利下げすると株式市場はどうなる?その答えはマーケットサイクルに聞け
ところで利下げをすると、株式市場では何が起こるのだろうか?
私がいつも皆さまに説明している「マーケットサイクル」を理解していれば、容易に予想できるのだが、一般の個人投資家たちにとってはあまり認識されてない概念であるため、今一度整理しておきたい。
株式市場は常に上下を繰り返しながら長期的には右肩上がりに上昇する。上昇の原動力は経済成長であり企業利益の増加である。淡々と着実に右肩上がりであればいいのだが、そう単純ではない。それが私たちを戸惑わせ、株式投資を難しくさせている。
株式市場に一番大きな影響を及ぼしているのが中央銀行の金融政策である。要するに政策金利が株式市場を動かす最大要因である。単に景気や企業業績を見ているだけでは株式市場の実像は見えてこない。むしろ「景気や業績がいいから株価は上がる」や「景気や業績が悪いから株価は下がる」という一般常識にとらわれた発想しか出てこなくなる。この考え方ではマーケットを正しく捉えることができず、むしろ間違った投資判断をしかねない。
マーケットサイクルの基本的な構図とは?4つの相場サイクルからなる
以下が、マーケットサイクルの基本的な構図である。
① 金融相場
・「不況、企業業績低迷」ゆえに金融緩和実施で「低金利、金余り」
・相場全体が上昇(バリュー株よりグロース株優位)
② 業績相場
・「景気回復、業績好調」ゆえにテーパリング(量的金融緩和縮小)を視野
・マーケットはファンダメンタルズ重視(バリュー株復権、グロース株選別)
③ 逆金融相場
・「景気&業績ピーク、インフレ懸念」ゆえに金融引き締めで利上げ実施
・相場全体が下落(グロース株よりバリュー株選好)
④ 逆業績相場
・「景気悪化、業績悪化」ゆえに金融緩和を検討
・ファンダメンタルズは機能せず(大型株優位、小型株壊滅)
以上のようになる。現在は④逆業績相場から①金融相場へ移る局面である。
今回到来する金融相場を占う3つの重要ポイント
ここで今回やって来る金融相場の重要ポイントを3点挙げておく。
①逆業績相場ですでに株式市場が上昇しており、金融相場の上昇分をどれくらい先取りして織り込んでいるのか?
②日本は金融正常化のための利上げをしていくが、それが日本株市場にどう影響するか?
③逆金融相場&逆業績相場で徹底的に売り込まれた小型グロース株の本格的な復調はあるか? 大型バリュー株が大きな脚光を浴びる中、従来の急騰パターンは見られるのか?
これらを点検しながら来たるべき金融相場で投資戦略を進めていく必要がある。FRBと日銀の金融政策は「ねじれ」の関係があり、これがどこまで日本株市場にとって影響を及ぼすのかは興味深々である。
9月17日のFOMCにおいて利下げが正式に決定されれば金融相場突入への号砲が鳴る。直近に暴落を経験しただけになかなか頭を切り替えるのが大変だと思うが、ここからはポジティブなマインドが必要である。皆さんはマインド切り替えの準備はできているだろうか? 今週で8月相場が終わるが、いよいよワクワクの9月相場の到来である。
ポジティブマインドへの転換が必要。9月5日WEBセミナーは必聴だ!
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。8月8日のWebセミナーでは『令和のブラックマンデー到来、今後のマーケットと投資戦略を考える』というテーマを取り上げた。次回は9月5日(木)20時より開催予定。テーマは『ついにFRBは利下げへ、金融相場の到来に注目』である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能だ。
そして、スペシャル講義では『ポートフォリオ理論』に続き、太田流『ポートフォリオ実践』がスタートした。資産運用においてポートフォリオ運用のノウハウを知っておくことは必須であり、個人投資家にそれを身に付けてもらうことを目的としている。また、太田流『新NISA活用法』もすでに完結した。700名の会員たちはすでにバッチリ新NISAに取り組んでおり大きな成果を出している。資産運用を真剣にお考えの皆さま、「勝者のポートフォリオ」で一緒に大きく飛躍しましょう。ぜひ、ご参加をお待ちしております。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる
「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!
老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス。週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!