・半導体株の一角が上昇も国内3連休や来週の米FOMCを控え 日経平均は反落…
・今日は神戸物産やビジョナル、タイミーなどの注目決算
・自民党総裁選で期待の選挙関連銘柄を点検
【1】今日の株式相場早わかり!
3連休や金融政策イベント前に戻り一服
日経平均株価は反落! 12日の米国市場で主要株価指数はそろって上昇。欧州中央銀行(ECB)が2会合ぶりに利下げを決定したことに加え、一部報道を受けて、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の大幅利下げが行われることに対する織り込みが進み、経済のソフトランディング(軟着陸)期待を背景にハイテク株から景気敏感株まで幅広く買われた。一方、今日の日経平均株価は小幅高で始まったものの、円高が重石になったほか、前日に今年3番目の大きさの上げ幅を記録していただけに戻り待ちの売りが出やすく、すぐに下落に転じた。また、国内3連休入り前に加えて、来週の日銀の金融政策決定会合や米FOMCを控え、持ち高調整の売りも出たようだ。
前日に大きく上昇した東京エレクトロンやアドバンテストなどの半導体株の一角が続伸したものの、その他のハイテク株は軟調だった。一方、外資証券による新規「買い」推奨が確認された川崎重工業が急伸し、その他の防衛関連株も買われた。今晩の米国市場では、9月のミシガン大学消費者調査が発表される。
【日経平均】36581.76円↓(-251.51円)
【グロース250】644.48↓↓(-8.79)
【NYダウ】41096.77ドル↑(+235.06ドル、12日)
【ナスダック】17569.676↑↑(+174.145、12日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
今週の注目決算! 神戸物産や中小型グロース
今日は今週発表された企業決算をまとめて振り返ろう。決算の内容と株価反応を精査することで、いまの投資家心理が垣間見えてくるかもしれない。
今週は中小型グロース(成長)株の決算発表が多かった。会員制転職サイト「ビズリーチ」を運営するビジョナルは2024年7月期の営業利益が前期比34.9%増と会社計画および市場予想を上回った。一方、2025年7月期は7.4%増と増益率が鈍化し、市場予想も下回ったことで今日の株価は大きく下落。スキマバイトサービスの先駆けであるタイミーは上場後初めての決算発表で、第3四半期実績が市場予想を下回り、株価は急落した。他方、クラウド型POSレジなどを手掛けるスマレジは第1四半期が大幅増益で市場予想も大きく上振れ、株価は大幅高。VTuberグループ運営のANYCOLORは継続的な配当実施が評価された。
総じて、悪い決算は売られ、良い決算は買われるという自然な流れにみえる。ただ、ビジョナルなどは市場予想に対する下振れ率が大きくない上、もともと保守的な計画を出す傾向があること、また株価が高値圏にあったわけではないことを踏まえると、株価反応は厳しい印象。投資家の目線はシビアになっているようだ。
業務スーパーの神戸物産は第3四半期の営業増益率が鈍化し、市場予想を下回ったことで発表直後の株価は下落したが、今日は大幅高で早々に発表前の株価を上回ってきた。米国景気や円高に対する懸念が根強い中、円高メリットの内需株を好む投資家の志向が表れているといえる。中小型グロース株も、「米景気懸念→米金利低下→円高→大型外需株の下落」という構図の中では、むしろ「内需中心」「金利低下メリット」という追い風があるため、中身がそこまで悪くない場合、株価の出直りは早いかもしれない。
■ビジョナル株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
自民総裁選後に衆院解散観測も、選挙関連銘柄
自民党総裁選が12日に告示され、過去最多となる9人が立候補した。投開票日は27日で、新総裁は臨時国会(10月1日召集を軸に調整中と報道)で新首相に指名される。
岸田政権は政治資金問題などで支持率の低迷にあえいだ。衆院議員の任期満了を来年10月に控え、次期総裁には「選挙の顔」としての役割が期待されそうだ。小泉進次郎元環境相などは、首相になったら早期に衆院を解散すると発言。総裁選の行方は予断を許さないが、新首相が早期の衆院解散・総選挙に打って出るとの見方が広がっているようだ。
解散・総選挙の観測が出てくると、選挙に必要となる製品・サービスを手掛ける関連銘柄の売買が活発化することも多い。代表格としては、投票用紙読み取り分類機などの選挙機器・システムを提供しているムサシが挙げられる。同じく選挙関連機器ではグローリー、封筒ではイムラも需要が期待されるところ。また、政党の広報に絡み、大手広告代理店の電通グループや博報堂DYホールディングス、PR会社のプラップジャパンが注目されやすい。世論調査や出口調査、各種リサーチではパソナグループ、マクロミル、インテージホールディングス、トランスコスモスなどが挙がる。
最後に、総裁選の情勢が明らかになるとともに、有力候補の掲げる政策に沿った銘柄が注目されてくるだろう。また、改革派と目される首相が誕生すれば、海外投資家の日本株買いを誘う可能性もある。27日の投開票に向けて関連報道に目配りしておこう。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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