『サステナビリティ(持続可能性)』は投資のスタンダードに! ただし運用の中身で成績に差があるため、投資信託選びには注意【投資信託の最前線】

『サステナビリティ(持続可能性)』は投資のスタンダードに! ただし運用の中身で成績に差があるため、投資信託選びには注意【投資信託の最前線】

2024年9月28日公開(2024年10月1日更新)
藤原延介
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

「ESG」→「サステナビリティ」へ用語の変化も
長期で好成績が期待できる商品として注目が集まる

 2024年7月、金融庁が『「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」対話から得られた示唆』という報告書を発表しました。報告書は、2023年12月から2024年6月までに開催された、計4回の会合での対話から得られた示唆をまとめたもの。このダイアログ(対話)は、経済・社会の成長・持続可能性(サステナビリティ)の確保につながる投資を推進していくため、より魅力的なサステナビリティに関する投資商品を開発し、多くの投資家を呼び込むことを目的としています。

【※関連記事はこちら!】
8月の株価暴落時に外国株型投資信託から資金が大幅に流出! 投資を継続できるように長期投資としてのスタンスなどを確認しよう【投資信託の最前線】[第4回]

 これまで、「サステナビリティ投資」は、「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資」と呼ばれることも多かったと思います。改めて推進していくべきものとして、この報告書では「サステナビリティ」という言葉に統一しています。 

 また、「サステナビリティ投資」と「テーマ型投資」との違いについても指摘されています。「テーマ型投資」は、特定の分野に着目する投資のこと。これに対して、「サステナビリティ投資」は、事業の長期的な潜在性に着目する投資です。この報告書では、両者は概念的には異なる、との見解が示されました。

 さらに、サステナビリティ投資商品は、経済社会のサステナビリティ向上の観点から重要性が高く、私たち投資家にとっても長期的な投資収益を実現できる可能性があるとの前向きな見方が示されました。したがって、今後も注目が集まることが期待される投資アプローチとなるでしょう。

【ザイ投信グランプリ2024】を発表!本当にいい投資信託だけ表彰!

「サステナビリティ」投資における主要な3つのアプローチ
どの基準を使うかで組入れる企業も違う

 一方で、「サステナビリティ投資」は、分析する期間や用いる基準の違いによって、成績が異なるので注意が必要です。今回は、BNPパリバ・アセットマネジメントが公表したリサーチ「サステナビリティの基準が投資パフォーマンスに与える影響」から、2020年から2023年の成績に関する調査結果を見ていきたいと思います。

 その前に、認識しておきたいのが、「サステナビリティ」を組み入れた投資のすべてのアプローチが同じ目標を持っているわけではないという点です。

 ここでは「サステナビリティ」投資における主要な3つのアプローチで比較しています。(1)「責任ある企業行動指針(RBC)」に基づき、基準に満たない企業を除外する手法、(2)「ESG(環境・社会・ガバナンス)ランキング」の上位を組み入れ、下位30%を除外する手法(ESG指標を使用)、(3)「サステナブル投資(SI)」に該当する企業のみを組入れる手法、です。

「サステナブル投資(SI)」に該当する企業のみを
組入れる手法の成績は各地域でプラスで好調

 気になる成績の結果は下の表の通り(各カテゴリーの3つの投資アプローチ別の2020年から2023年の成績を、そのカテゴリーのインデックスと比較)。

 (1)のRBC(責任ある企業行動指針)を基準とする手法は、どの地域においても4年間で小幅なマイナスを記録しました。一方で、(2)の「ESGランキング」上位への投資は、欧州株以外の、グローバル株、米国株、新興国株に対してプラスの超過リターンを記録。(3)の「サステナブル投資(SI)」に該当する企業のみへの投資は、各地域でプラスとなり、とりわけ新興国での超過リターンが顕著となっています。

 (1)は、リスクを軽減することが主な目的となっている投資アプローチと言えるでしょう。逆に、(3)の「サステナブル投資(SI)」はよりリターンの向上を目指した投資アプローチと考えられます。

 こうした違いを明確にすることで、サステナビリティ関連の投資への理解がより深まります。投資信託を選ぶ際は、どの投資アプローチを組み入れているか確認して選ぶようにしましょう

【※関連記事はこちら!】
「オルカンとは何なのか」をマンガで解説! 新NISAで話題沸騰の「全世界株型(オール・カントリー)」投資信託は、低コストで分散投資ができる優れもの!

藤原延介藤原延介(ふじわら・のぶゆき)
1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
関連記事
業界20年超のプロが斬り込む!投資信託の最前線の記事一覧
ダイヤモンド・ザイ 2024年11月号好評発売中!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

人気の株500
米国株150激辛診断
最新理論株価

11月号9月20日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[人気の株500&米国株150激辛診断]
◎巻頭企画
植田ショック後の日本株の狙い目!

◎第1特集
「買い」「強気」の高配当株は95!暴落に強い株も判明!
人気の株500+Jリート14激辛診断

●儲かる株の見つけ方<1>旬の3大テーマ
第1四半期の利益が高進捗/株価挽回期待/円高追い風
●儲かる株の見つけ方<2>5大ランキング
通期計画を上方修正した株/“稼ぐ力”が強い高ROEの株/配当利回りが高い株
初心者必見の少額で買える株/理論株価よりも割安な株

●儲かる株の見つけ方<3>セクター別平均
配当利回りトップは海運に!
●2024年秋のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株/新興株/Jリート


◎第2特集
ITはもちろん高配当株や割安株も上がる!
人気の米国株150診断

●米国株大予測!
S&P500指数の今後を予想!
米国経済&業績はどうなる?/利下げでどんな株が上がる?
●Big8を定点観測
●買いのオススメ株
●人気の124銘柄を徹底診断


【別冊付録】
全上場3914社の最新理論株価
理論株価より割安な株は2645銘柄!


◎第3特集
利子で儲ける!
あつまれ!元本確保型商品

●定期預金/個人向け国債/新窓販国債/地方債/社債

 

◎第4特集
攻めと守りで考える!
NISA「オルカン」「S&P500」の次の一手!

●あなたに最適な投資信託を診断!
●攻めの投信:半導体・AI株/インド株/日本の成長株
●攻め&守りの投信:安定株
●守りの投信:金(ゴールド)

 

◎連載も充実!

◆NEWS:桐谷さんなど5人の株の達人から学ぶ暴落相場の必勝法!
◆連載2回目:ZAi編集部の新人・ザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人
「社会保険って何で払うの? 5つの社会保険でもらえるお金を知ろう!」
◆おカネの本音:鈴木おさむさん(エンジェル投資家&元放送作家)
「51歳で放送作家を引退。投資ファンドをつくり革新的企業を生み出す」
◆マンガ恋する株式相場「大暴落!キモチも株価も乱高下」
◆マンガ「経済データの基本GDPって何?」
◆人気毎月分配型投信100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報