8月の株価暴落時に外国株型投資信託から資金が大幅に流出! 投資を継続できるように長期投資としてのスタンスなどを確認しよう【投資信託の最前線】

8月の株価暴落時に外国株型投資信託から資金が大幅に流出! 投資を継続できるように長期投資としてのスタンスなどを確認しよう【投資信託の最前線】

2024年9月14日公開(2024年9月12日更新)
藤原延介
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8月は株価の乱高下で外国株型の資金流入額が減少
一方で日本株型の資金流入額は4カ月ぶりの高水準に

 2024年8月の株価の乱高下で、投資信託の資金動向はどのようになったでしょうか。

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 個人投資家の動向を反映すると言われる、ETFを除く追加型株式投信の資金流入額は、全体で1.3兆円程度となり、7月から6000億円程度の減少となりました。やはり、新NISAが始まってから初めての大きな相場変動だったため、7月までの順調な資金流入トレンドから変化が見られました。

 投資対象別に見ると、外国株型投資信託と日本株型投資信託のトレンドに、特に変化が見られました。ただし両者は全く異なった動きとなっています。外国株型投資信託は、8月の資金流入額が、7月に比べて7000億円近く減少新NISAスタート後の8カ月間で最低水準となるなど、マイナスの影響が大きい結果になりました。一方で、日本株型投資信託の資金流入額は8月に増加し、4カ月ぶりの高水準とプラスの方向に動きました。

 世界の中で、株価の乱高下がより激しかった日本株に投資する、日本株型投資信託への資金流入が加速したのは、日本株に対しては、逆張りの投資行動を取る個人投資家が多いからではと考えられます。ちなみ日本株に関しては、投資信託に限らず個別企業の株式でも、同様の傾向があることが知られています。

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日本株型は下がったら買う“逆張り”投資家に買われ
特に日経平均連動型のインデックス型が資金流入の牽引役に

 下のグラフで、日々の投資信託の資金フロー(流出入。モーニングスターの推計値)を見てみましょう。

 日本株型投資信託の資金純流入額(オレンジの棒グラフ)は、株価が大幅に急落した8月5日にかけて増加しています。その後相場が持ち直した8月中旬以降は資金純流入額は減っていき、資金流出(解約超過)に転じた日も散見されます。より具体的に内訳をみると、8月初旬は日経平均連動型などインデックス投資信託が買われています。日本株の相場観をしっかり持った逆張り投資家の存在が、8月の日本株型投資信託への資金流入を牽引したと言えるでしょう。

外国株型投資信託は暴落直後に大きく売られたが
リスク管理を見直して慌てて投資を止めることがないようにしよう

 一方で、外国株型投資信託の資金純流入額(青の棒グラフ)をみると、株価の急落を受けた8月7日(注:日本株型投資信託と比べて約定日が1日遅れる投資信託が多い)の資金流出が極めて大きくなっていることがわかります。

 これは外国株に投資するインデックス投資信託でも、アクティブ投資信託でも同じ傾向で、いずれも8月6日からの3日間に資金流出を記録しています。その後の資金フローを見ると、落ち着きを取り戻していますが、8月初旬の外国株式型投資信託の解約は投資家の急落に対する不安が表面化したものと言えるでしょう。

 この3日間における外国株式型からの資金流出額は2300億円程度となっています。新NISAでせっかく始めた投資を止めてしまった投資家もいるのかもしれません。しかし長く投資を続けていればこうした急落は起こりうるもの。そこで慌てて投資を止めることはオススメしません。「リスクを取り過ぎていないか」「どれくらいの期間で積立投資を行うか」など、長期投資家としてのスタンスを改めて確認しておく必要があるでしょう。

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藤原延介藤原延介(ふじわら・のぶゆき)
1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
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